BUSINESS
オトナ語の謎。
オレ的にはアグリーできかねるんだよね。

■  第67回 オトナ語出版編:その6 


全国のオフィスでがんばる諸先輩方、
お世話になっております!

諸説入り交じる混沌の会議室へようこそ。
『オトナ語の謎。』の書籍化をめぐり、
宣伝会議のボルテージも上がってまいりました。

本気と遊びがほどよく錯綜するバーチャル宣伝会議、
今日はどんな意見が飛び出すのでしょうか?
色のついている発言が投稿です。
みなさんもお気軽にぜひご参加くださいませ。
それでは、会議室をのぞいてみましょう。



〜これまでのあらすじ〜
『オトナ語の謎。』を書籍化することが決まった。
大手出版社からの依頼が殺到するなか、
ほぼ日刊イトイ新聞は自社発行、および、
既存の流通を使わない販売を決意。
しかも、大きな広告費を投入せずに3万部を売れ、という。
この無謀なプロジェクトを裏で指示していたのは
なんと、糸井社長その人だった。
「いったいどうすればいいのか‥‥」
苦悩する渡辺本部長。進行役、長瀬雄一。
そして全国のオフィスから馳せ参じた諸先輩方。
お茶をいれる、わがし。
今日も会議室に先鋭が集った──。

長瀬雄一
「本日もお忙しいなか、
 お集まりいただきありがとうございます。
 『オトナ語の謎。』宣伝会議、
 始めていきたいと思います。
 まずは、前回の会議で挙がった意見を
 整理してみましょうか。ええと、たみやんさん、
 いつの間にか書記係をお願いしてしまってすいません」

たみやん
「前回の南鷹さんのご発言にありました、
 共有・発展・参加のキーワードを中心に、
 みなさんのご意見を勝手にまとめてみました。
 
 【共有系】
  ・通常の本より、贈呈10倍。
  ・口コミ策として「有名人」、
  「現場(様々な業種)の方々」、
  「読者の声」コメントを収集。
 【発展系】
  ・「オトナ語を駆使した宣伝標語」を読者から募集。
 【参加系】
  ・読者募集の「オトナ語宣伝標語」を
   メールのシグニチャに使ってもらう。
  ・バナー作戦。
  ・即売会とライブ中継の組み合わせ。
 【書店対策】
  ・全販売店掲載により
   「ほぼ日サイトが営業活動の武器として使える」事を
   全国の書店にアピールする。
  ・納品数に合わせ掛け率を変えるサービスの検討。
 【プレスリリース】
  ・書評担当へのプレスリリースや、本を郵送する際は、
   各社の担当部署や担当記者を確認した上で
   宛名に詳しく書く。
 【その他】
  ・大学生協。
  ・企業の社内報。
  ・トイレットペーパー作戦。
  ・毛糸のパンツ作戦。
   ‥‥以上です」


渡辺本部長
「あ〜、たみやんくん、ユニークな意見だが、
 下のふたつは削除してくれたまえ」

たみやん
「失礼、まつがえました」


長瀬雄一
「それでは、どなたか意見を‥‥」

jimmy
「九州場所がはじまりましたね。
 ジャックしましょう。
 九州場所ジャックです。
 取り組み前に土俵をぐるっとまわる
 タタミ大の懸賞広告です。
 全取り組みで出すんです。
 インパクト大ですよ」


長瀬雄一
「もしもし? 落ち着いてください。
 突然そのようなことを言われ‥‥」

jimmy
「何しろオトナが観るスポーツです。
 国技です。
 これはいけますよ!
 たしか1本15万円です。
 基本コピーは、シンプルに
 「よろしくどうぞ。オトナ語の謎。」
 なんかでいいんじゃないでしょうか?
 そして、糸井社長がご贔屓の力士には、
 独自の垂れ幕で‥‥」


渡辺本部長
「ああ、もう、そのへんでけっこう」

jimmy
「では、次、またがんばります」


長瀬雄一
「ほかに意見は‥‥イカゾーさん、どうぞ」

イカゾー
「11月といったらカレンダーです。
 もう、山のようにカレンダーがとびかう季節です。
 わたくしの所にも毎年たくさん届きまして
 年末はカレンダーの品評会をいたします。
 つまり、皆であーだこーだ言いながら
 これはあそこに、これは私がもらうわ、
 なんて具合に選ぶわけです。
 ここで重要なのは、ひとつひとつ
 「1度は開いて見る」ということです。
 そう、たんなる広告をみるのとはわけが違います。
 来年に思いをはせつつ、1年間おつきあいする
 相手を真剣に吟味するのです。
 魅力的なカレンダーは販促の武器になると
 思うのですがいかがでしょう?」


長瀬雄一
いいか悪いかは別にして、おもしろいですね。
 が、いまからでは、
 制作が間に合わないかもしれません。
 ほかに‥‥、あ、地方紙で編集をしている
 じゃっしぃーさん。どうぞ」

じゃっしぃー
「新聞社、という視点をもう一度見つめ直して
 書評欄ジャックに向けての
 オトナテクを私なりにまとめて参りました。
 1つは「問い合わせは担当者まで!」
 たいてい問い合わせ先として掲載されている
 新聞社の電話番号は代表番号です。
 その番号に直接かけて、
 「送付先をおたずねしたいのですが…」と訊けば、
 当然教えてくれるでしょう。けれどこれでは
 その方だけで話が終わってしまい、
 電話があったことすら担当記者に伝わりません。
 担当記者の名前すら教えてもらえない場合もございます。
 そこで、代表番号にかけたら
 最初に電話に出た方に送付先を聞かず、
 「書評担当の記者様はいらっしゃいますか?」
 と訊くのです。
 この聞き方ならば電話はたぶん
 担当記者へと回してもらえるでしょう。
 もう1つは「夜をねらえ!」です。
 書評欄を担当する文化・文芸・生活情報担当の記者は、
 ほかの部署の記者同様、
 日中は取材に出かけていらっしゃらないことが多いです。
 せっかく先ほど申し上げたような努力をしても、
 本人がいなかったら代理の方に電話が回ってしまいます。
 しかし、夜は記事の執筆や、
 校正作業などで記者さんは詰め所に戻るはずです。
 午後6時以降くらいがねらい目だと私は思います」


長瀬雄一
「なるほど、現場のご意見、ありがとうございます。
 あ、そこで手を挙げているのは新入社員のガトくん、
 キミも何か意見があるかな?」

ガト
「こないだまで学生をやってた身としまして、
 もうすぐ社会人になる学生というのも
 当然オトナ語に強く興味を持つ層だと思います。
 これから働く中でいままで使ったことのないコトバが
 飛び交う職場でやっていけるのか?
 という一抹の不安も持っております。
 でもこの本があればその一端に触れられ、
 かつ就職活動ですさんだ心も和ませられますよね。
 そこでです。就職活動を行う学生のほとんどが
 情報源として活用しているのが就職情報サイトです。
 4月、5月にもなれば毎日必ずチェックするほどです。
 ここのトップページに、
 「この本でオトナ語を一足先にマスター!」
 みたいなバナーがあれば
 普通のサイト以上に効果があるのでは。
 できるなら特集でインタビュー記事とかでも。
 また発売予定の11月下旬は
 まさに就職活動スタートの時期。
 これを逃す手はないと思います。
 ついでに本屋でのバイト経験でいうと、
 やはり通常のルートでないと難しいかなと思います。
 でもこれ、置けば絶対売れる本だとは思います」


渡辺本部長
「なかなか目のつけどころがいい」

長瀬雄一
「考えてみる価値が十分にありますね」
 さっそく、就職情報系メディアに
 なんらかの形でオファーするよう指示します」

渡辺本部長
「よろしくたのむ。おや? 
 そこにいるのは、ほりえくんじゃないか」

長瀬雄一
「‥‥どなたですか?」

渡辺本部長
「アルバイトから例外的にプロパーとして採用された、
 販売企画のエキスパートだ。
 ほりえくん、どう思う?」

ほりえ
「ここまで考えを整理した上で、
 販促案を述べさせていただきます。
 まず販売側である「ほぼ日」が
 設定している前提条件は、
 ・既存流通に頼らないこと
 ・既存の広告費投下による告知に偏重しないこと
 この2点です。
 この条件を守りながら「3万部」という
 数的目標を達成するための具体的な手段として
 PRを活用するという方針は、
 やはりこれしかない、と言わざるを得ないと思います。
 既にあがっている
 ・媒体社への『オトナ語』リリース送付
 ・個人サイトに協力を依頼してのバナー告知
 ・つながりのあるマスメディア(ラジオ局)
  などを介したPR
 ・ほぼ日での取扱店リスト掲載を
  インセンティブにした書店ルート営業
 ・自主的にお願いできる範囲での読者の方による露出
 などの案は素晴らしいものなので、
 これらは可能な範囲で実現できるものを
 実地に移していくことが理想といえましょう」


長瀬雄一
「おっしゃるとおりです」

ほりえ
「さて、そこでこれまで出ている案以外に
 新しいことができないかを考えました。
 まず、少し話しが戻ってしまうかもしれませんが、
 ターゲットに注目したプロモーションを
 もう少し検討した方が良いと思います。
 誤解を恐れずにいいますと
 「勤め人」「主婦」「学生」と言ったくくりによる
 ターゲットの絞込みは余り意味が感じられません。
 これまで「専門用語編」などで見てきたとおり、
 どの世界であっても特有のオトナ語が存在しております。
 どのカテゴリーに属する人であっても
 オトナ語を楽しむ人は楽しみますし、
 そうでない人は関心が薄いというのは事実でしょう。
 そう考えると「全国のオフィスにつながりのある」
 「主婦は外せない」「学生にも届く」といった観点での
 プロモーションは、
 全体を補完する意味で強い効果を発揮しますが、
 逆に各セグメント内でのコミュニケーション以上には
 ならないことが難点と言えるかもしれません」


渡辺本部長
「ふむ。続けてくれたまえ」

ほりえ
「では職業などのデモグラフィックなカテゴリーに
 依存しないコアターゲットとは何なのか?
 これは、当たり前の答えで拍子抜けかもしれませんが
 「ほぼ日」のファンであり、
 オトナ語のような言葉遊びに共感する知的関心層、
 と定義します。
 もちろん、「ほぼ日」ファンでなければならないという
 ワケではありませんがターゲット含有の
 可能性が高いという意味で定義しています。
 この人達にもっとも効率的効果的な方法で
 接触する方法はないか? これが課題です。
 こう考えたときに、「ほぼ日」には偶然ですが、
 タイミング良く行っている事業がありますよね。
 ──そう「ほぼ日手帳2004」の販売です」


長瀬雄一
「あ!」

ほりえ
「以前、「ほぼ日手帳2004」のお話で、
 手帳というモノが必要な人とは
 普段からインターネットを必要としている人と
 少し違う気がする、
 といった主旨の話があったと記憶しております。
 ソースが明確でなく申し訳ないのですが、
 確か「今日のダーリン」だったかと思います。
 普段からの「ほぼ日」ファン、
 そして「ほぼ日手帳」を推奨された
 普段は「ほぼ日」と接触の少ない
 ノンインターネットユーザー。
 このデジタル層からアナログ層への口コミ拡大は、
 まさに「オトナ語」出版物が
 目指すべきところであります。
 可能であれば、ほぼ日手帳の中に
 「オトナ語」の要素を刷り込みたいぐらいですが、
 残念ながら11月末の発送にあわせ、
 手帳の制作は順調とのこと。
 しかしですね、手帳の発送時に
 一枚モノのお知らせを同封する、というのは
 おさえておきたい部分であります。
 ありきたりの手法かもしれませんが、
 ありきたりなのは「効果があるから」です。
 もちろん他のプロモーションと並行して、
 ということが基本ですがこの辺り
 ひとつ念頭においていただければと思います」


長瀬雄一
「‥‥お見事です」

渡辺本部長
「これも、さっそく動いてくれたまえ」

長瀬雄一
「ただいま制作中のプレスリリースを流用するかたちで
 手帳の発送に封入できないか訊いてみます。
 プレスリリースの制作も急がなければ‥‥」

わがし
「お茶入りましたー。
 ところで長瀬さん、小早川さんから
 何度もお電話入ってるみたいですけど‥‥」


長瀬雄一
「ああ、そうみたいですね。
 会議が終わってからかけ直してみます。
 いったいなんだろうな‥‥」

──コン、コン。

渡辺本部長
「入りたまえ」

小早川秋子
「失礼します。何度か電話したのですが、
 お忙しいようなので直接参りました。
 社外の方もいらっしゃるようなので
 自己紹介しておきます。
 私、糸井の社長秘書をしております、
 小早川秋子と申します」

長瀬雄一
「‥‥コホン。で、なんですか?」

小早川秋子
「本日は、糸井じきじきの命令により、
 みなさまへのミッションをひとつ携えて参りました」

一同「!」

         〜つづく〜



わあ、なんだよ、いいところで続いちゃったよ。
あいかわらずの流動的な展開、
バーチャル会議はどこへ行くのか。
ともあれ、みなさまからのメールをお待ちしております!

■宣伝会議に参加してください!

 『オトナ語の謎。』の本を宣伝したいのですが
 どういうふうにやればうまくいくでしょうか?
 どの媒体に、どういうふうに紹介するべき?
 その際の切り口は? アピールポイントは?
 あなたが会議室のテーブルについているとして、
 アイデア、問題点、打開策、注意点、可能性、
 その他自由に発言してみてください。
 もちろん、オトナ語を駆使した
 にぎやかし発言も大歓迎ですよ!
 「書店関係者」からの
 現実的な意見も待っています。
 よろしくどうぞー。
あてさきはpostman@1101.comです。
表題は「オトナ語会議」としてください。


■■■ アシスタントよりご報告申し上げます。 ■■■

こんにちは、関西生まれの美人アシスタントです。
このコーナーでは、
「オフィスでよく遭遇する読みまつがい」を
紹介してまっせー。



美人アシスタント様

いつもステキな「でんがなまんがな」関西弁を
楽しませて頂き有り難うございます。
ツッコミや茶々はやはり関西弁がよく似合いますね。

さて、私の恥ずかしい読みまつがいはといいますと、
まだ社会に出る前のケツの青い学生時代に遡ります。
友人(1歳年下)と電話で話しているときに
ちょっとばかしカッコイイ
オトナ語を使ってみたいと思い、
「その旨よく検討してよね」などと偉ぶって
サラリと言い放ちました。
しかしその友人はしばし黙ったあと、

「それって『そのウマ』じゃなくて
『そのムネ』なんじゃないの?
 ‥‥まさか本気で間違えたん?」

返す言葉がなくって
あはははと笑ってごまかしときました。
立派な社会人になった今でも
「その旨」を使いこなす自信がないですわ。
(提供者:さいこ)

えええええっ! そう来たか!
「そのうま」てどの馬やねん!
誰がサラブレッドやねん!
どうがんばっても検討できひんやろ。
どうがんばってもよろしくお願いできひんやろ。
「旨い」という言葉が好きなきみは、
かなりの食いしん坊やな。
食い倒れの街、大阪にふさわしいっちゅうこっちゃ。
この調子で、なにわの街ぶいぶいっと言わしたり。

それから誰が関西弁やねん。
こっちは大都会東京で働いてるオフィースレデーやで。
こんな完ぺきな標準語を
「でんがなまんがな」なんてようゆうたな。
オトナをおちょくんのもええかげんにしとかなあかんで。



添付ファイル→×そえつけファイル ○てんぷファイル

以前勤めていた会社の同僚が発した言葉です。
聞いた直後は何を言っているかわからなかったのですが
前後の言葉から推測して気づきました。

「そ、それ『てんぷ』って読むんやで」
って教えてあげると
「え、それは英語のほうやろ?」
と返ってきました。

どうやら彼女は「てんぷふぁいる=temp file」だと
思っていたらしいのです。
その後、頑張って説明したのですが
「てんぷって発音、
 日本語としてありえへん感じがする‥‥」
と最後まで腑に落ちない様子でした。
私はただただ、
お客さんの前で言ってないことを祈りました‥‥。
(提供者:naka)

そえつけ‥‥。ああ、嘆かわしい。
添え物やないんやから。
刺し身についてるツマやないんやから。
わかるけどもな。雰囲気はわかるけども。
送り仮名てなろたやろうが。
日本語としてありえへんのは、きみの友だちやがな!
指さしてゆうたり、
「おまえがあ・り・え・へ・ん! お・ま・え!」と。
なんでみんな、読みまつがいする子らは、
ガンコなんかなあ。
なんかおばちゃん、悲しなってきたわ。
もうおやすみ。朝まで起こさんとってな。
寝言として言わしてもらうけど、
まだまだ投稿お願いなー。


■テーマ2:「オトナの読みまつがい」募集!

 『オトナ語の謎。』単行本化にあたり、
 特別付録として、知性あるオトナたちが
 うっかり間違ったままにしている言葉を
 正しい読み方とともに掲載しようと思います。
 例)
 代謝→×だいしゃ ○たいしゃ
 市井→×いちい ○しせい
 均一→×きんいち ○きんいつ
 シミュレーション→
     ×シュミレーション
あてさきはpostman@1101.comです。
表題は「オトナ語読み方」としてください。

オフィスからのふつうのおたより、
当コーナーへのふつうの感想なども
お待ちしております!
あてさきはpostman@1101.comです。
こちらのほうの表題は
ふつうに「オトナ語」でけっこうです。
みなさまからのメールが
新たなテーマをつくるのです!

2003-11-10-MON

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