BUSINESS
オトナ語の謎。
オレ的にはアグリーできかねるんだよね。

■■■  第44回 オトナ語発展編:その7 ■■■

気がつくと、すでに当コーナーの内容は
「実践編」とはかけ離れており、
その意味では「発展編」とでも名づけたい。
思えばそのきざしは
第38回の「焼肉」の回から見えており、
謹んでここに、「発展編」が
すでに始まっていることを宣言する。
いや、たんに名前を変えただけですけれども。

さあ、今日もたっぷりご堪能ください。
すっかりお馴染みですが、テーマは以下です。
我々はこんなことをして遊んでいるのです。


  募集してます! 

 昔話「など」を、自由にオトナ語でアレンジ!
 日本の昔話だろうと、海外のおとぎ話だろうと、
 童謡だろうと、民謡だろうと、JPOPだろうと、
 俳句だろうと、小説だろうと、なんでもOK!
 いちおう、原題だけ添えてください。
 もう、好きにしてくれー。

   

全国のオフィスでがんばる諸先輩方、
お世話になっております。
本日も抱腹絶倒感心至極でお届けします。
いや、ほんと、
ビジネスマンの頭が固いなんてうそっぱちだわ。
まずはオーソドックスにおとぎ話から行きましょうか。


『ありとキリギリス』
※キリ=キリギリス

キリ「お世話になっております。
   本日は、無理を承知でお願いに上がりました。
   ありさん、大変恐縮ですがそちらの在庫品を若干、
   お譲りいただくわけにはまいりませんでしょうか」

あり「そう言われましてもキリギリスさん、
   倉庫を持たない完全受注生産のおたく様と違い、
   手前どもは年間の
   生産計画というのがありましてねぇ、
   ご存知のようにこの時期は特に資材調達が厳しくて、
   お譲りする程の在庫がないのが実情なんですよ」

キリ「そこをなんとか。
   オプションで一曲歌わせてもらいますから」

あり「いや、今回は泣いてもらうしかないですねぇ。
   そちら様は夏の間は、
   実際の数字が上がってくる前から
   イベント続きで長くお楽しみのようでしたし、
   その間こちらは地道に
   フル稼動でやってましたもんで、
   内部の人間もやっと今が休みなんですよ。
   これ以上働かせると組合も
   黙ってないと思うんですよねー」
 (提供者:さとさと)

■ああ、哀れなり、キリギリス!
 たしかに彼には年間を貫く
 生産計画というものがなかった。
 いわば視野が狭かった。
 ひいてはグローバルな視点にかけた。
 ビジネスの世界はいつだって盛者必衰。
 勝ってるときほど守りに入れ。
 つぎは日本の名作から。


『走れメロス』

メロス「ただいま戻りました」

渡辺 「でた!メロス大先生!」

メロス「あ、渡辺本部長、遅くなりまして。
    実は大手町と例の件でナニしておったんですが、
    納期のことですったもんだアレしてしまいまして。
    なるはやで帰るつもりが
    こんな時間になってしまい申し訳ございません」

渡辺 「いやいや、ゼンゼンOK」

メロス「告白しますと、
    一瞬チョッコーチョッキも考えたんですが、
    本部長が待っているんだからと思い直して
    社に戻ることにしました。
    納期の件は、今日のところは
    持ち帰りということでアレしてきました。
    みょうにち午後イチで再度もんできます。
    落としどころさえ間違わなければ
    軟着陸できると思います」

渡辺 「そうかそうか、それはよかった。
    それからな、実はさっき君を待ちながら
    私も一瞬思ったんだよ、
    今日はもう待たずに帰ろうかな、と。
    でもメロッちゃんを置いて
    先に帰るのもと思い直して
    アレしておったところだよ。
    ま、ま、いずれにしても遅くまでご苦労さん。
    どうだい、今日あたりこっちの方は?」

メロス「夜の部ですね。ごちそうさまです」
 (提供者:さんこー)

■うーーーん、名作ダイナシ!
 「メロッちゃん」って、どうなんだ。
 メロスもメロスだ。
 「持ち帰りということでアレして」いいのか!
 けど、なんだね、あくまで仮定の話だけれど、
 メロスが会社に入ったとして、
 誰かが彼をあだ名で呼ぶとしたら、
 やっぱり、その、「メロッちゃん」かしら?
 ええと、つぎは有名な時代劇からの一幕。


『水戸黄門』

えー、皆様お取り込み中のところ、
誠に申し訳ございませんが、
作業の手を一瞬休めていただいて、
こちらに注目のほう、よろしくお願いします。

私、新潟繊維商会本社の営業部長を拝命しております
渥美、と申します。よろしくお願いいたします。

さて、私の手元にありますコチラ、
なんだかおわかりでしょうか。
おわかりの方は挙手をお願いします。
ハイ、皆様おわかりのようでらっしゃいますね、さすが。

では私の方から御紹介させていただきます、
弊社元副社長、現顧問の徳川でございます。

ああ、皆様そのようにかしこまる必要はございません。
普段通り、楽にしていただいて結構でございます。
では、徳川の方から皆様に挨拶がございます。

ただいま御紹介にあずかりました徳川でございます。
新年度にあたりまして、本年度中の黒字回復に向け、
問題点の洗い出しと改善をテーマに、
各営業所の視察を行っております。

本日これまで視察させていただきましたところ、
いくつか要改善と思われるポイントがございまして、
さきほどこちらの所長の島津くんを交えて
ディスカッションを行いました。

後日、島津君の方から具体的なアクションプランが
皆さんに提示されると思います。
それでは皆さん、一丸となって頑張りましょう!
 (提供者:し)

■いやああ、うまいなあ。感心するわ。
 むしろこの人の平素の仕事ぶりが心配になるわ。
 「元副社長」でとどまらせず
 「現顧問」にしてるあたりとかが
 うまいんだよな。細かいこと言うけどな。
 さあ、歌、行ってみましょうか、歌。


『スーダラ節』

当初はですね、さくっと小一時間の心づもりで
暖簾をくぐったわけなんですが、
そのうち心身共にいい感じになりまして、
とても1軒では済まされないという状況に陥ったわけです。
その後の記憶については定かではないのですが、
我に返ったときには
駅のベンチでゴロン、という次第でして。
夜の部がこんな状態では、
当方の健康面にとってもよろしくないことは
重々承知しておりますが、
これが実際問題になるとどうも、いかんともしがたいと。
 (提供者:無頼庵)

■もともとオトナの世界をうたった歌を、
 さらに現代のオトナ語に変換するのは奇妙だ、
 とは投稿者の弁。あ、そーれ、すいすい……。
 ええと、もう一曲行きましょう。
 へえー、あの歌ってこんなタイトルだったんですねえ。


『日立の樹』

渡邊 「長谷川君、ちょっと。
    この木は何の木だっけ?」
長谷川「えーっと、何の木でしょうねぇ?気になりますね」
渡邊 「いや、現場のキミが、それじゃ、困るんだよ。
    至急、確認しておいてくれよっ!」
長谷川「あ、すみません。
    しかし、逆に、見たこともない木なので
    見たこともない、花が咲くと考えられますよね。」
渡邊 「いや、いや。仮定の話じゃ困るんだよ。
    しっかり頼むよ。長谷川選手。」
 (提供者:みけ)

■長谷川選手、怒られております。
 たしかに、あの歌って、
 あれだけしつこく質問してるのに
 けっきょく答え教えてくれてないんだよなあ。
 それじゃ会社的には困るよなあ。
 おつぎの曲は、若い人には伝わりきらないのかも?
 前回に引き続いてこの曲です!


『港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ』

少々前なら記憶にあるのですが
二四半期前ですと当方にもデータがなく分かりかねます
髪の長い女性とおっしゃられましても
こちらにはたくさんいらっしゃるものですから…
大変申し訳ないのですが、
別の場所をお探しになられたほうが
よろしいのではないかと。
失礼ですが、あなた様はあの方とどういったご関係で?

半年前に退社したはずなのですが…
私どもには特に何の挨拶もなく
社員の顧客を奪ったとのことで
それはもう大騒ぎでございました
モラルなしではかなり
肩身の狭い思いを強いられることとなるかと…
失礼ですが、あなた様はあの方とどういったご関係で?

横浜からいらした女性、
ということでお間違いないでしょうか
立ち回りがことのほか得意で
三日ほど前までいらしたはずなんですけれど…
小さな子猫と一緒にどちらかへ
お発ちになられてしまいました
どちらへ行かれたのかは手前どもには分かりかねますが…
失礼ですが、あなた様はあの方とどういったご関係で?
 (提供者:ユキ)

■ジャジャッジャッジャジャージャッ!
 という決めのリフが聞こえてくるようじゃないですか。
 いやあ、何度も読み返したくなる名作です。
 え? 意味がわからない? 
 年齢は? 22歳? ああ、それじゃ無理だわ。
 なら、これはどう? 「あみん」って知ってる?


『待つわ』

○○社 ××様

前略 貴社ますますご繁栄のこととお喜び申し上げます。
先日御社の部長より直々に「わりとやるもんだね」と
お褒めの言葉を頂いた由、非常にうれしく思い、
こちらもプロジェクトに対する気持ちを入れなおしました。

先週はちょっと出たり入ったりでして、
行ったりきたりのすれ違いになってしまい
誠に申し訳ございませんでした。
このままでは言った言わないの話になってしまい、
進捗状況の報告もままならないと思いましたので、
メールにてとりあえずのご連絡をお送りいたします。

「空」に関しては、青く広いということで、
どちらの所有でもないということが判明しました。
また、「雲」の件につきましては、
何度もチャレンジしているものの、
流して流されてといった感じで、
なかなか次の段階にいけないのが実情です。

以上のことを鑑みまして、こちらの態度といたしましては、
そちらの出方を待つということで決定いたしました。
最大限お待ち申し上げております。
逆に言えば、結果がどう出るにせよ、
お待ちするということです。
そちらにもご都合があるかと思いますはが、
お待ちすることで一致しておりますので、
競合他社さんとの兼ね合いもあるかと存じますが
お待ちしているということを
よろしくご配慮いただけるよう、
お願い申し上げます。
 (提供者:RS)

■くーーーっ、ブラボー!
 どこを取ってもすばらしいが、
 転調部分の表現がとくに見事!
 思わずハモりそうになった。
 サビの最後のところで
 「ほかの誰かにあなたがふられる日まで」あたりまで
  きちんとフォローしているのもすばらしい。
 しかし、これだけ完成度が高い投稿を読むと、
 みなさん、ビビってしまうんじゃないかと思うんですが、
 気軽に送ってくださってけっこうなんですよ。
 べつに、長くなくてもいいんです。たとえばコレ。


『知らざあ、言って聞かせやしょう』

「ご存じなければ、
 お伺いしてご案内させていただきたいと思うのですが」
 (提供者:モリタツ)

■いや、これはこれで見事ですよ。
 コンパクトにまとめて切れ味で勝負。
 いいですねえ。


『この世をば我が世とぞ思ふもち月の
 かけたることもなしと思へば (藤原道長)』

「ゴリ押しもネゴも得意な俺、ジュニア。
 逆に言うなら、全然OK!」
 (提供者:ashi)

■うはははは、なんだこりゃ。
 意訳! 超意訳! それはそれで遊び心!
 さあ、ぼちぼち、ぶっ飛んだやつ行きましょうか。


『王様の耳はロバの耳』

秘密保持契約書

王様(以下、「甲」という。)、
床屋(以下、「乙」という。)は、
甲の頭部に存在する毛髪(以下、「本品」という。)
に対する乙の理髪に際し、
甲が保有する秘密情報を開示・提供するに際し、
次の通り秘密保持契約を締結する。

第1条(目的)
本契約は、「本品」に対する
乙の理髪を円滑に推進する目的で、
甲が「本品」に関連し所有する
秘密情報を開示するにあたり、
これの漏洩を未然に防止するため、
「本秘密情報」(定義後記)の
取扱いについて定めるものである。

第2条(定義)
本契約において「本秘密情報」とは、
「本品」に関連し甲が保有する情報で、
甲より乙に、前条の目的のために
開示されるすべての情報をいう。

第3条(「本秘密情報」の保持)
乙は、甲のすべての「本秘密情報」を
自己の所有に帰属する秘密を取扱うと同様に
善良な管理者の注意を持って保持し、
相手方の事前の書面による承諾なくして、
第3者に対してこれを開示してはならない。

第4条(損害賠償)
甲が本契約に関連して、
乙の直接的又は間接的な行為により損害を被った場合、
乙を斬首することができるものとする。

第5条(有効期間)
本契約の有効期間は、本契約の締結の日から無期限とする。

第6条(疑義解釈)
本契約に定めない事項又は本契約の各条項につき
疑義を生じた場合には、
甲、乙誠意をもって協議の上決定するものとする。

本契約の成立を証するため本書2通を作成し、
甲乙記名捺印の上各一通を保有する。
 (提供者:JM)

■契約書って、ほんっと、ワケわかんない。
 床屋も圧倒されただろうなあ。
 「なんかわからんがハンコ押しゃあいいんだろ」
 ってな感じでついつい同意しちゃったんだろうな。
 でも、「乙を斬首することができるものとする」とか
 さらっと書いてあるんだよなあ。
 投稿者の平素の業務がうかがい知れる投稿である。
 それでは本日最後の作品はコレ!


『文化祭の模擬店について〜朝のホームルームより〜』

「実際問題三日後の朝にはよーいどんで
 全部署実際に動き始めなきゃなんないのに、
 実際に動くといってもなにをしたらいいか
 分かってない人も多いのが実情なんですよね。
 つまり現時点ウチに一番必要なのは
 作業工程や店舗設営のコンセンサスだと思うんですね。
 その上車出せる出せないの問題は
 ここで話してても着地点の見えない話じゃないですか。
 それなら各自一度持って帰って
 結論は明朝ということにして、
 今この場では各部署の進捗状況を
 全員で把握することに使うのが一番ベターかな、と」
 (提供者:べに)

■こんな高校生はイヤだ!!
 楽しい文化祭をこんな高校生に仕切られるのはイヤだ!

というわけで、もちろん、
みなさまからの投稿をまだまだお待ちしておりますよー。
あと、今回は久しぶりに
アシスタントのコーナーもあります!
おしりまでじっくりご笑覧ください。


  しばらくこの問題を募集します! 

 
昔話「など」を、自由にオトナ語でアレンジ!
 日本の昔話だろうと、海外のおとぎ話だろうと、
 童謡だろうと、民謡だろうと、JPOPだろうと、
 俳句だろうと、小説だろうと、なんでもOK!
 いちおう、原題だけ添えてください。
 もう、好きにしてくれー。
   

この実践問題の受付は終了いたしました。
 たくさんの投稿、ありがとうございました!


■■■ アシスタントよりご報告申し上げます。 ■■■

こんにちは、アシスタントです。
こちらは、オフィスからの自由なメールを
募集、掲載する自由なコーナーです。



はじめまして。
「オトナ語」、いつも楽しく拝見させて頂いております。
テーマとはズレているのですが、
先日職場で聞いた「学生語」が
懐かしくて可笑しかったので聞いて下さい。

お盆明け、研修を終えた
新卒の新入社員が配属されてきたのですが、
ある日、彼が何かを一生懸命探していたので尋ねました。
「どうしたの?」
「あ、イエ、あの。なんでもないです。」
でも明らかに何かを探している様子。
するとそれに気付いた男性社員がまた尋ねました。
「どうした?」
「あハイ、あの、あの。
 この辺にあったプリント、知りませんか?」
「え、いや知らないけど。ぷ、プリントって(笑)
(みんなに)なんか懐かしい響きじゃない?」

新入社員にカワイそう、と思いつつも、
しばらく笑いが止まりませんでした。
確かに「プリント」って、オトナは使いませんよね。
(提供者:あい)

プリント!いかにも学生らしい、あまえた響きやなあ。
「プリント」言われても、企画書なんか、見積もりなんか、
中身が何なんか、さっぱりわからへん。
オトナの世界は、中身があんのかないのか、それが勝負や。
・・・コホン、失礼しました。
「プリント」にも勝る学生さんならではの、
あまっちょろい言葉を、
もっともっとお待ちしておりまーす!



先日、知り合いで年上の方(60ウン歳)から
退任のご挨拶状をいただいたのですが、末尾に一筆。

「ご母堂様にもよろしくご鳳声ください」

うーん、まいりました。
私も40代、いっぱしの「オトナ」と思っておりましたが、
これは言えませんねー、「ご鳳声」。
「ご母堂様」くらいだったら太刀打ちできるのですが、
「ご鳳声」。いやぁ私は鳳凰だったんですね。
「竜顔」というと天子様のお顔ですが。

さすがに年期の入った「オトナ」の方には脱帽です。
(提供者:baba)

おおおおおっ!めっちゃ手ごわい。
ゴボウかなんか知らんけど、「よろしく」言われても、
おかんもビビるで。
今回はさすがのあたしもひいたわ。意味がわからん。
じゃーねー。ばいばーい。
・・・コホン、失礼いたしました。
このような一級品のオトナ語を
体験された方からのご応募も
たくさんお待ちいたしておりまーす!


オフィスからのふつうのおたより、
当コーナーへのふつうの感想なども
お待ちしております!
あてさきはpostman@1101.comです。
こちらのほうの表題は
ふつうに「オトナ語」でけっこうです。
みなさまからのメールが
新たなテーマをつくるのです!


■■■ オトナの基本用語 ■■■

基本用語のほうも、これまでどおり募集します。
あてさきはpostman@1101.comです。
表題は「オトナ語基本」としてください。
「これはもう出てたっけ?」というものでも
気にせず自由に気軽にメールしてください!
ちなみにネタの説明文は
こちらで書き起こしておりますので、
適当に書いていただくだけでかまいません。

2003-09-10-WED

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