BUSINESS
オトナ語の謎。
オレ的にはアグリーできかねるんだよね。

■■■  第39回 オトナ語発展編:その2 ■■■

いよいよもって8月も終わりである。
アブラゼミのリサイタルもラストスパートである。
冷夏ということで野菜が高いのである。
オトナたちの月末はばたばたしているのである。

全国のオフィスでがんばる諸先輩方、
お世話になっております。

実践編の出題が複雑化するにつれ、
投稿数はやや減少の傾向にあるものの、
そのクオリティーは上昇する一方である。
このぶんなら、そのうち伊藤園のお茶の缶の側面などに
「サラリーマンオトナ語傑作選」といったタイトルで
掲載されてもおかしくないのではないだろうか。

世迷い言はさておき、前回の設問を振り返る。


  実践問題その15 

 
ホームランを打ったプロ野球選手が、
 ヒーローインタビューを受けています。
 マイクを向けられた選手は、答えます。
 なぜか、オトナ語を駆使して。
  

またしてもムチャな問いかけだったが、
全国の諸先輩方はひるまなかった。
傑作選をとくとご覧いただきたい。
ビジネスマンの頭が固いなんて、うそっぱちだぜ。

「今日は相手方のピッチャーも結構調子良かったんで
 物理的に難しいかなと思ったんですが、
 ファンの皆さんの待つ外野を視野に入れつつ、
 無理に引っ張ろうとしないで、
 タマにあわせてフレキシブルに対応できたのが
 良い結果につながったと思います」
 (提供者:Shinko)

■のっけからお見事!
 こんなヒーローインタビューはいやだ!
 「物理的に難しい」も「視野に入れつつ」も
 「フレキシブルに対応」もいいけれど、
 個人的には「相手方のピッチャー」がツボだった。
 この選手、絶対、社会人出身とみた。

「結局、ホームランを打てたのは、
 要は、日々の練習のコンクルージョンと、
 ファンの皆さんのバックアップという
 ダブルブランドの成果だと」
 (提供者:Kaori)

■ホームラン打った選手に
 「要は」とか言ってほしくないなあ。
 ダブルブランドの使い方も妙。
 「成果だと」で終わるなよ、ヒーローなのに。

「自分の成績うんぬんよりも
 チームの勝利ありきなので
 全員野球でがんばるしかないですね。
 まぁ個人的には首位打者も視野に入れつつ
 うまいことやるしかないですね。」
 (提供者:ちょんがー)

■うははははは。何を言っとるのだ、この人は。
 でも、「首位打者も視野に入れつつうまいことやる」
 くらいは実際のプロ野球でも言えるんじゃないかな。
 そうでもないか。

「僭越ながら、高いところから失礼します。
 まあ、今回ホームランということですが、
 先方さんがモチベーション高めてこられる中、
 私どもの監督の渡辺の
 肝いりの試合という手前もありまして、
 私としても手ぶらでは帰れないところがありまして。
 おかげさまで首の皮一枚でつながりました。
 今後ともよろしくお願いいたします」
 (提供者:tutu)

■いやあ、野球に「先方さん」って、
 すっごいミスマッチだわ。

アナ「すごいホームランでしたねー」
選手「いやはや、浜風がなにしただけで、
   出会い頭といっても過言ではないと・・」
アナ「これで31本、初のホームラン王が
   見えてきましたねー」
選手「自分的には監督が常日頃からおっしゃるところの
   チーム愛を優先する方向が定着している関係上、
   やはり全員野球をキーワードとした、
   各自のルーチンをしっかりこなすというか、
   もっといえば、下期5勝1敗のペースを
   確保できれば、この時期でも
   優勝の二文字を常に意識する
   モチベーションを失うべきでないと思われ、
   端的に申し上げれば我チームが
   イニシアチブをとるペナント展開が
   興行的に申し上げてもベターなわけで、
   逆にいえば今夜のホームランは
   客寄せパンダ的な要素が強い事は
   いなめない事実として極論ではないはずで・・」
アナ「あ、ありがとうございました、
   放送時間がまいりました。
   最後に全国のファンの皆様に一言」
選手「自分マターで申し上げれば、
   来期は入団10年目の節目を迎え、
   球団側とのコンセンサスがとれれば、
   大リーグへのトライはやぶさかではなく、
   近々に詳細を煮詰めまして、ファンの皆様には
   紙ベースでフィードバックできればと
   考えておりますです、はい」
 (提供者:ヒロシ)

■「逆にいえば今夜のホームランは
  客寄せパンダ的な要素が強い事は
  いなめない事実」???
 日本語が壊れる直前なのもおかしい。
 でも、選手じゃなくて球団関係者とかなら、
 こういうことふつうに言ってそうだよな。

「いえ、もう、
 お客様に喜んでいただけたということであれば、
 我が球団といたしましても、嬉しい限りでございます。
 ましてや単なる一兵卒の私の仕事が
 お役に立ったと評価していただいたわけですから、
 もう、なおのこと・・・。
 なにしろ、皆さんもご存知のことと思いますが、
 近年の成績低迷を受けて、お客さまの足が
 当球場から遠のいておるような現状で・・・。
 そこで今年度より当球団も遅まきながら、
 改めて“顧客満足”を球団方針の第一に据えて、
 状況の刷新に取り組んでおる最中でございます。
 今後も、この暖かい拍手に慢心することなく、
 さらなる“顧客満足度の向上”を目指して
 邁進する所存でございます。
 本日はこのような高い場所からでございますが、
 このお約束を感謝の言葉に
 変えさせていただきたいと思います」
 (提供者:jimmy)

■球団の方針の第一が「顧客満足」ってすごいよな。
 お立ち台の上なのに、めちゃくちゃ腰の低い野球選手だ。

「あ、このたびは、どーも。
 いつもお世話になっております。
 マイクまで用意していただいて恐縮です。
 今お時間よろしいでしょうか。
 はい、ありがとうございます。
 ええっと、あの場面なんですが。
 当初の予定では、私のところではアレしておいて、
 後から来た者が形にすることになっていたんですね。
 で、その方向で各方面に連絡をとっていたのですが
 最終的には現場の判断で動くのが
 ベターということになりまして。
 まあ、ある意味、見切り発車で出たとこ勝負、
 という感じになりますか。
 上層部の意向とは若干異なる形での
 成果を得ることになったわけですが
 それはそれとしてうれしい悲鳴を
 あげることになったわけでして。
 ええ、まあ、結果オーライということで
 コーチには了解をいただきましたが
 そのあたり、どうなっているんでしょうか。
 詳しいことは当事者である私には
 かえって判断しかねる部分がありますので
 別の人間に回していただけると助かります。
 あ、いただいたマイクで
 長くなってしまって申し訳ありませんでした。
 それではこの辺で失礼させていただきます。
 今後ともご指導ご鞭撻の程よろしくお願い申し上げます。
 (提供者:ぬばたまの)

■「私のところではアレしておいて、
  後から来た者が形にする」というのは
 「私は最低限ランナーを進ませて
  クリーンアップにつなぐつもりだった」
 といったところだろうか。
 隅々まで丁寧に仕上げられた投稿である。

アナ「一発逆転の場面、
   どういう心境で打席に立ちましたか?」
選手「ホームランが一番ベストなことはわかってましたが、
   まずはつないで試合のイニシアチブを
   取り返したいと思いました。」
アナ「打った球種は?」
選手「スライダーです。
   2ストライクに追い込まれましたが、
   開き直ってエイヤッで振ったところに
   ボールが来ました」
アナ「では最後に球場のファンにひとことお願いします」
選手「本日はお足元の悪いなか
   ご足労いただきありがとうございます!!
   選手一丸となり優勝目指して頑張りますので
   今後とも応援の程お願い致します!!」
アナ「今日のヒーロー○○選手でした」
選手「ありがとうございます。よろしくどうぞー」
 (提供者:のっち3104)

■ヒーローインタビューの最後が
「よろしくどうぞー」とは!

「ベンチに鈴木は3人おるんですが、
 カントクと目が合った時に
 ボクだッと思いましたね。
 ランナーを進めることが
 ボクのミッションだったんですが、
 ストレート勝負は織り込み済みだったんで
 サクッと引っ張れました。」
 (提供者:夢遊人)

■いちばん笑ったのがこれだった。
 「ベンチには鈴木が3人おるんですが」って。
 「ストレート勝負は折り込み済み」かあ。
 こんな選手、ひとりぐらい実際にいてもいいのにな。

そんな感じで実践問題15を終わります。
さあ、次回の問題はこれです。
まだ投稿したことのない方も、お気軽にどうぞ!


  実践問題その16 

 
レストランの窓際のテーブルに、
 男と女が座っています。
 ふたりとも、表情が暗いです。
 どうやら別れ話をしているようです。
 なぜか、オトナ語満載で。
 さあ、男役でも女役でもかまいません。
 設定その他もすべて自由。
 オトナ語を使った別れの場面、
 演出してみてください!
   

この実践問題の受付は終了いたしました。
 たくさんの投稿、ありがとうございました!


■■■ オトナの基本用語 ■■■

基本用語のほうも、これまでどおり募集します。
あてさきはpostman@1101.comです。
表題は「オトナ語基本」としてください。
「これはもう出てたっけ?」というものでも
気にせず自由に気軽にメールしてください!
ちなみにネタの説明文は
こちらで書き起こしておりますので、
適当に書いていただくだけでかまいません。

■■■ アシスタントより ■■■

オフィスからのふつうのおたより、
当コーナーへのふつうの感想なども
お待ちしております!
あてさきはpostman@1101.comです。
こちらのほうの表題は
ふつうに「オトナ語」でけっこうです。
みなさまからのメールが
新たなテーマをつくるのです!

2003-08-29-FRI

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