ショーガール。
奥野史子・ラスベガスからの出発。

第15回 新年明けましたが…。

明けましたね、新年が。
ってもうだいぶ経ってしまったか…。

私の新年は日本のような
しっぽりほっこりしたものではなく、
花火どか〜〜〜ん、
人うじょうじょ、
おまけに時間の感覚が日本ほどきっちりしてないから、
「あれ?カウントダウン終わったんちゃうん…?」
ってかんじで年越ししました。
さすがアメリカ人…脱帽です。

ちなみにワタクシ、
日本文化伝道のため?
New Year Partyで着物を披露しましたの。
かなりの勢いで人気者でしたっ!
なぜか道行く人々に
「手を合わせておじぎ」されまくりました。
いやいや私ら、普段そんなことせえへんって…。

おまけにパーティー会場では
写真撮られまくり。
アイドル気分満開。
日本文化アメリカで依然勢力保っております。
ええこっちゃええこっちゃ。

なにはともあれ無事新年を迎えました。
とはいえ、大晦日も元日もお仕事お仕事。
ショーガールに正月はない。
ちなみにクリスマスもなかったし…。
言っちゃあこれって最高のカキイレドキなんですからね。
ショービズの鉄則ですわね。

そんな生活をしているワタクシ、
最近、泳ぎっぱなしで、
手の水かき広がってきましたわよ。
河童というか人魚というか、迷いますね、この選択。
今のところ、人魚ということで…。

その自称人魚は、
このところエナジーダウン気味です。
なぜかって、自分でもわからない。
新年早々景気の悪い話です。

以前、第11回で、
「3年目の浮気」ってことを書きましたが、
今はそれどころか、3ヶ月目の浮気です。
ショーのいろいろにも慣れてしまって、
毎日毎日同じことを繰り返す。
1日2回の週5日。
1週に10ショーを繰り返す。
目を瞑っててもできてしまうくらい
身体で覚えてしまった。

こりゃまずい、と最近思う。
でも人間だから当然なのかな、とも思う。

だけど観に来てくれるお客さんのほとんどは
初めて“O”を観るんだな、って自分を奮い立たせる。
この日をずいぶん前から楽しみに来てくれたんだろうな、
って思うと自然と頑張れる。

最近日本人のお客さんが増えてきたような気がするのは
気のせいかしら?
カーテンコールの時に私のほうに向かって
「ありがと〜〜〜っ!」って叫んでくれた
お客さんがいた。
こっちを指差して「あれあれっあの人よ」
って言ってる人もいた。
大勢のアーティストの中のひとりでしかない私だけど、
そんな時、すごくうれしいのです。
思わず個人的感情でその人に手を振っちゃったりも
しばしば。
ここにきて、自分の中に潜んでいた「郷土愛」を
実感せざるを得ないのです。
なんかわからんけど、日本人バンザイ〜〜〜さ。

これってホームシックかいな?
自分では意地張って生活してるから
「そんなことないっ」
って言い続けてるけど、
正真正銘ホームシックさ。
自分でも認めたくないけどホームシックさ。

お好み焼き食べたい。
たこ焼き食べたい。
焼肉食べたい。
美味しいお魚食べたい。

そうだ、今年はおせちとお雑煮、
それに年越しそばも食べてないんだ。
だからこんなにエナジーダウンなんだ。
初詣も、おみくじも、全部やってない。
だからだ、だからだ。
今わかった。

どんなにこれらの行事が私にとって大切だったか。
毎年当たり前のようにやってたことが、
こんなにからだにしみついていたとは…。

こりゃあ、新しい発見だ。
新年早々発見だ。

んじゃあ、今から「天そばどん兵衛」でも食うか。
そらちゃうやろか?

2002-01-14-MON

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