ショーガール。
奥野史子・ラスベガスからの出発。

第14回 「その場所」にたどり着いて

一瞬の帰国から、
今はもう自分の仕事場に戻ってきました。

久しぶりの帰国はとっても新鮮で、
食べ物がびっくりするほど美味しく、
ただの白ごはんでさえ感動的で、
食べ過ぎて、今、重量オーバーです…。
普通、アメリカで生活すると太るって言いますが、
私は逆のようです。
日本に帰ると太る。
こちらの食事はやっぱり繊細さに欠け、
その大味さ加減に食欲が減退します。
やっぱり日本っていいっ。
日本人の味覚、最高です。
食べ物の話ばっかりで、
おそろしく食いしん坊な人かと思われそうなので、
食べ物話、今日はこのへんにしときます…。 

さて、今日からまたまたショーライフが始まりました。
まず日本語に慣れてしまった思考回路を元に戻し、
鈍ってしまった身体を引き締め直す。
たったの2週間で人間って
びっくりするほどだらけてしまうんですよね。
心も身体も。
リラックスすることって絶対必要だけど、
リラックスしすぎたら後がしんどいなぁ…。
たぶんこれって、お正月休み明けの
サラリーマンみたいな状態なんだろうなぁ…、
って思ったりして…。

っていっても、リラックス&リフレッシュした分だけ、
今また仕事が楽しい。
ショーの最後のスタンディングオベーションが
久々に新鮮で。
ルーティン化されかかってた自分に、
今日、はたと気がつきました。

人間って不思議な生き物だなぁ…って思う。
どんなに憧れて目指してて、
やっとそこにたどり着けたとしても、
今度はそれが普通になってきて、
もっともっと、って欲が出る。
これって正常な感覚だとは思うけど、
難しいもんだなぁ…って思う。
これって、人間だけなのかなぁ、って思ってみたり。
生き物の不思議?
こういうこと考えると眠れなくなってしまうから
やめておこう。

しかし、やっぱり生きてると、
考え方ってどんどん変わっていくんですよね。
私の中でもどんどん変わっていくのがわかる。
ましてや今みたいに環境が「どんっ」って
音をたてて変わってしまったような時、
特にそれを感じることができる。
そのひとつが、私のエンターテインメント観。

私が日本を出発する前に持っていた
エンタテインメントの世界のイメージって、
すごく漠然としたもので、
簡単に言うと、驚きと感動を提供するもの。
ほんと漠然としすぎ…。
「夢の世界」って言い方も出来るけど、
それはもっと漠然としてるか…。
とにかくすごくすごく遠い世界に思えていた。
でもそれは時間と共にいろいろな意味で
少しずつ変わってきている。
夢の世界が現実になって、
手が届かないと思ったことに手が届き、
不可能と思っていたことが可能になる。
実際に自分の目で見て、体験して、
五感をフル活動させた時、
眠っていた自分のイメージが突然浮かび上がってくる。
何もないところからひとりで作り上げていくことって、
それはそれは大変な作業。
けど、その眠っているイメージを
具体化させていける環境が
広い世界のどこかにはきっとあるんだと思う。
私はきっと「その場所」にたどり着けたのかもしれないと
今、思っている。
まだどうかわからないけど、
確実に近づいているという実感はある。
エンタテインメントって何?って定義も、
まだ自分の中では全然確立されてないけど、
それがだんだん、頭で身体で
理解できるようになってきた。

ちょっとずつ前進してるのかな?
実現させるためには明確なビジョンが必要で、
それを描けるか描けないか、
ただそれだけのことなんだ、
って思えるようになったから。
そんなこと頭ではわかるし、
当たり前のことじゃないか〜、って思うけど、
実際、ここに来るまでは、
大きな事を考えている自分と、
自分のいる環境のギャップに
ただただ「どうしたらいいの〜〜〜」って迷ってた。
「百聞は一見にしかず」とはよく言うけれど、
ほんとにそうなんだ。
言うならもっと「百見は一体験にしかず」
くらい言っておきたい。
環境を変えるって、エネルギーいるし、
勇気もいるけれど、
やってみて初めてわかることって
いっぱいいっぱいあるんだよね。

だんだん何が言いたいのかわからなくなってきた…。
言葉でまとめようとすればするほど訳がわからなくなる。

そうそう、ダーリンが「インターネット的」
でこんなこと言っていたなぁ…。
「ある思いが、まだ熟していないままに、
 仮の言葉でまず結晶化していくのが
 インターネット的で…」
だから、まあいっか、こんなんでも…って、言
い訳しておこう。
なんのこっちゃわからないけど、今日はこのへんで。

2001-12-28-FRI

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