『おひさま』、観てます!  糸井重里とあやちゃんが、 岡田惠和さんのラジオ番組に押しかける。

糸井 岡田さんにお会いしたら言おうと思ってたのは、
ドラマを見ていると、脚本の中で、
「スッと片付けちゃう」っていう
テクニックがものすごくあって。
つまり、もうちょっと余韻を引っ張ろうとか、
もうちょっと事情を説明しようとかって
ふつうは考えそうなところを、
1日か2日でバーンと終わらせちゃったりする。
岡田 ああー、はいはいはい。
糸井 あれは、ものすごいですね。
その、何話でも引っ張れそうなところを
あえて引っ張らないっていうのは、
けっこう勇気いると思うんですけど。
たとえば、びっくりしたのは、
満島ひかりさんが東京に出ていって空襲に遭う。
あの物語で、ほんとはもう、
いくらでも引っ張れますよね。
岡田 それだけで1週間、たっぷりできるぐらい。
糸井 できますよね。
でも、『おひさま』では
それを2日で片付けてるんですよ。
岡田 はい(笑)。


2日で片づける?
これ、どういうこと?
これはですね、
陽子の親友の育子が東京に行ってるわけですよ。
そこで、東京大空襲に遭っちゃうんですよ。
そんでね、安曇野でね、それを聞いた陽子はね、
‥‥‥‥くっ、くっ、くっ。
ここで泣くなよ。
それでね、育子はね、
親の反対を押し切って東京に出ていったわけで、
東京ですごく孤独なんですよ。
育子は見栄はって、東京でうまく行ってるような
手紙を陽子に書いたりしてるんだけど、
陽子は、そういうことも、ぜんぶ、わかってるんですよ。
で、それもふまえて、そういう心情も、
ぜんぶ、ふ・ま・え・て! 永田さん!
うるさい、うるさい。
迎えに行きますって言うんですよ!
親友の真知子さんといっしょに!
でも、東京は焼け野原!
ようやく育子のいる病院にたどり着くんです!
そんときに、迎えに来たふたりを見た瞬間、
育子が泣き出すんですよーーー。
で?
育子は、その空襲のときに、恋をしてるんです!
どういう恋かというと、
育子がこう、木材の下敷きにね、こう、
(熱演中)ある青年が(中略)ふたりは(中略)
なんと、その彼は(中略)というわけなんですよ!
永田さん、戦争というのは、ほんとにつらい!
‥‥ということを、なんと、
回想シーンのなかで語ってしまうんですよ!
映像にするわけじゃなく、表現するんですよ!
で、いまいったぜんぶを2日間で終わらせてるんです!
あああ、なるほどね。
熱演、サンキュウ。
ぜぇ‥‥ぜぇ‥‥。


糸井 あれは勇気いると思うんですよ。
でも、同時に、満島さんの物語として、
1本長く立たせちゃうと、
陽子の物語が薄れちゃうし、
書く人としては、そうとう悩むんでしょうけど。
岡田 そうですね。
ひとつには、やっぱり、今回、ほんと、
キャスティングが優れているので、
そこに助けられているんです。
たとえば、いくらホン(脚本)で成立してても、
そこを背負う役者さんがうまく表現できないと、
逆に、なんの気持ちも生まれない
2日間になっちゃうんです。
糸井 うん、うん。
岡田 その点、この『おひさま』では、
それぞれ、主役ができるような、
「背負える人たち」がいっぱいいるというか、
チームの監督からするとスター選手ぞろいなので、
もう、安心して送り出せる感じはありますね。
糸井 あー、そうか、そうか。
あやや 今回、井上真央さんが主役なんですけど、
もう、ほんと、全員、それぞれによくて、
誰が主役かわからないぐらい、
すごくなんか、登場するみんなを
大好きになるっていうか。
岡田 はいはい。
あやや 『おひさま』って、
それぞれの登場人物がほんとに魅力的で、
わたしもそこがやっぱり、
一番、観てて気持ちがいいというか、
いやな人がひとりも出てこないし、
全員をそれぞれ好きになっちゃうんですよね。
岡田 それはね、やっぱり、
一番は主役の力ですね。
糸井 あーー。
あやや ああー、なるほど。
岡田 やっぱり、朝のドラマって、
『おはなはん』もそうだったかもしれないですけど、
基本、ちょっと勝気で明るくて、
前に進んでいくタイプで、
ある意味、どんどん食い込んでいくタイプの
ヒロインが多かったんですけど。
あやや そうですよね。
岡田 今回は、どちらかと言うと、
そういう人は、まわりに配して、
じつはヒロインは受ける役っていうか。
でも、(受けるヒロインが)
すぐれた俳優さんでないと、
たぶん、かすんじゃって、まわりばっかり
目立っちゃうふうになるんですね。
あやや すごい、わかります。
岡田 ところが、まわりに魅力的な人を置いても、
なんだかんだいって、やっぱり、
ヒロインの陽子の印象が残るっていうのは、
井上真央ちゃんの力だと思いますね。
糸井 『おひさま』ですね、文字通り。
井上真央ちゃんという太陽のまわりを
魅力的な人たちが回ってるんですよね。
岡田 そうなんですよね。

うまいこと言うなぁ。
うまいこと言いますよねー。


糸井 なんていうのかな、いろんな場面で、
陽子が「そこにいる」っていう状況を
あえてつくって、ちょっとだけ映ってる
っていうことがあるじゃないですか。
岡田 はいはい。
糸井 ついぼくはそこで
見切れてる陽子をじっと見ちゃうんだけど、
そのときの芝居がやっぱりかっこいい
っていうか、ぜんぶ、伝わりますよね。
岡田 そうなんですよね。
あやや ああーーー。
岡田 あの、ほんとに、こう‥‥
じつはこう、おいしい瞬間を、
違う役者さんが演じていて
彼女はそれを聞いているだけ、
みたいなことも多いんですけど。
糸井 うん。
岡田 台本でいったら、ほんと、
セリフは「‥‥」だし、
演技もたとえば「うなずく」とか、
そんなことしかないようなときに、
すっごい、力を発揮する。
あやや ああーーー。
糸井 いやぁ、そうですねぇ。
岡田 これは、ちょっとね、わかんない。
どうしたらそういうことができるのか。
糸井 存在の魅力ですよね。
太陽ですね、まさしく。


2回、言ったね。
2回、言いましたね。






2011-08-17-WED