シェフ
シェフの糠漬け
1 塩はグロッソ。
シェフの糠漬け

先日「塩はモティアで」なんて
生意気なことを書いてたのに
その塩を切らしちゃいました。
タイミング悪く買いにいけないまま
(その塩を売ってるお店が6時でしまっちゃって
 しかも土日やすみなんだもの)
すぎる日々。

じつは、キュウリも茄子も蕪も、
しっかり塩もみしてから漬けるのよという
実家の教えを守りすぎていたらしく、
ずいぶん塩を消費してしまったみたいです。
その結果、冷蔵庫に入れているのに
1日たらずでかなりしょっぱい、
しかも「味わい」は薄い
糠漬けとは名ばかりの、
まるで塩もみ野菜みたいなことに
なってきてしまっておりました。
こ、これでは、ばーちゃんが防空壕にまで
持って行った糠床が、だめになっちゃう!

ということで、塩がちょうど切れたところで、
塩もみをやめてみました。
洗った野菜を、ふきんで水気をぬぐって、
そのまま漬けます。
すると、どうでしょう、2日もすれば、
(つまり、いつもよりちょっと長めに漬けておく)
味わいぶかい、おいしい糠漬けが
できるではありませんか。
塩もみしないので、
じっくりと野菜の水分がぬけて
そこにうまみがたっぷり吸い込まれるのです。
なんだか劇的ビフォア・アフターです。

そうして、1週間ほど、
うまいうまいと、
しかもしょっぱすぎないので
けっこうぱくぱく食べておりました。

ところが。
あるとき、茄子が、
やけに皮がかたく、中が生という状態に。
いわゆる買ってきたままの状態で
味もなんにもついてない状態で、
糠床から出てきたのです。
しっかり時間もかけているのに、へんだなあ。

ぼくはわりと慎重派なので
切るとき、まず1切れだけ切って、
最初のはしっこを食べてみます。
それでだいたい全体の漬かりぐあいがわかります。
はしっこはちょっとしょっぱいので、
中よりも塩分2割まし、という感じかな。
しかしそのときは、
「はしっこが、みょうに薄味」でした。
あんのじょう、まったく漬かってなかったわけです。

まぁ、食べられないことはないので
おかかと、だししょうゆをかけて、食べました。
それはそれで、いいんですけど、
「期待したほど朝食がおいしくなかった旅館」
に泊まったみたいな気分です。
ぜいたくでしょうか。ぜいたくかもしれません。
いままでたいへんおいしい糠漬けを食べてきたので
どうも糠漬けレベルがあがっちゃってるみたい。

さあどうしましょうか?
モティアの塩を買ってくればいいんですね。
はい、買いに行きました。
そうしたらば、モティアの塩には
「フィーノ」と「グロッソ」の
2種類があるんですね。
店のおじさんに聞いたらば
「フィーノ」は細粒、
「グロッソ」は大粒だそうです。
「フィーノ」はいわゆる料理の味付けに、
「グロッソ」のほうは、
じっくり味をしみこませるような
煮込みとか、あるいはパスタの茹で塩に
使うといいんだって。

ああ、そうか!
母の送ってきた「あらじお」がなくなってから
使っていたのは、
前から使っていた「フィーノ」の残り。
こまかい塩なのです。
これを揉み込んだので、
塩がはやく溶けて野菜に入り、
ちゃんと味わいが出る前に
しょっぱくなっちゃった、のでしょう。

ということは、「グロッソ」にすれば、
大粒なので塩がゆっくり溶けて、
ちょうどいい具合に漬かるのではないか。
そうですよね。きっとそうだ。

ということで、今回のお買い物は
「モティアのグロッソ」です。
さあ、どうなりますことか。

‥‥と、ここまで書いて気づきました。
あす水曜日から金曜日まで、
3日間、社員旅行で家をあけます!
3日くらいなら冷蔵庫で大丈夫かなあ。
鶴見さんは
「冷蔵庫に入れていても、
 放っておいていいのは2、3日」
と書いてましたね。
でもちょっと塩を強めにしておこうかなあ?
うん、そうしておきます。


とじる