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(第25回の6
ファイアーエムブレム〜封印の剣〜
そのゲームを誰が作ったか?
任天堂・西村建太郎&インテリジェントシステムズ・成広通 インタビュー その3

“愛ゆえに!”
    

 
イメージ 「ファイアーエムブレム〜封印の剣〜」の開発者、
任天堂の西村建太郎さんと
インテリジェントシステムズの成広通さんに
お話を聞く、第3回目は、
「キャラクターづくり」のことを中心にすすみます。
 
 
イメージ ■西村建太郎【にしむら・けんたろう】
任天堂株式会社開発第一部所属。
ファイアーエムブレムシリーズの監修を行う。
穏やかながら、言うことはキビシイ、
頼れる人物である。
   
イメージ ■成広通 【なりひろ・とおる】
インテリジェントシステムズの開発部課長。
ファイアーエムブレムは
第一作からずっとかかわっている。
西村氏に負けず劣らず穏やかだが、
眼光はキラリと深くを見つめている。
   
イメージ ■武久豊【たけひさ・ゆたか】
任天堂株式会社広報室企画部所属。
ファイアーエムブレムの
宣伝全般を担当している。
   
ロゴ ──:
主人公以外のキャラクターにもファンが多い、
というような意味合いで、作っている人たちには
そういうの、あるんですか?
 
成広:
ものすごく、ありますね!
もう、すべてのキャラは、誰かの愛が
いっぱい入っています。

 
──:
それが伝わるんですね!
 
成広:
もう決まっているキャラクターの仕様が
愛ゆえに、いつのまにか変わっていたりするんです。
そうすると僕が
「誰が変えたんや!!」って(笑)。
「変わっとるやないか!」

 
イメージ ──:
愛ゆえに……そんなに凄いんですね。
 
西村:
パラメータとか、すごく微妙な変化を
最後まで、粘って。

 
成広:
締め切り直前となったら、
最後の最後でとにかくピリピリしていますから
バグなのか、仕様なのか、
わからなくなっちゃうんですよ(困)。

 
西村:
愛しているから、つい、
このキャラクター、もうすこし強くしてあげよう、
って。

 
成広:
顔のグラフィックが、微妙に変わったりとか。
見てもわからないレベルなんですが
作り手としては、気になってしまうんですね。
アニメーションのひとつひとつまで。
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──:
締め切りがあるから、最後には「えいやっ!」と
終わらせることができるのでしょうが、
もし締め切りがなかったら、
永遠に作り続けてしまいそうですね。
 
成広:
終わらないスタッフには、途中でアクセス権を
はく奪しましたから!(笑)。
それ以上、直せないように。
ファイルに書き込めないように。
メッセージに関しても同じですけれど
「彼が喋ることは、こうじゃない」
とか……。一語一句まで、とても、アツイんです。

 
──:
成広さんにはそういう対象はあったんですか?
 
成広:
今回は、ある意味、ロイにはあります。

 
イメージ けっこういままでもそうなんですが
主人公が強すぎるというのはマズイというか
主人公だけでどんどん行けちゃうんで。
だいたい設定的にはちょっと弱めにするんです。
今回は、ゲームに入ってもらうという意味で、
とくに小さい子にとっては
主人公は強くないとツライだろうな、と。
あんまり負けていたらツライでしょう?
でも一概に強いばかりにもできないな、というところで
けっこうロイの設定はいろいろ大変だったんです。
ユニット、というのは、
登場したときの強さ、数値的な設定と
敵と戦闘して経験値を得ることで
レベルアップした強さがありますね。
レベルアップというのは、プラス・アルファ的に
いろいろなパラメータが加算されていくんですよ。
そういう「成長をする」というところの
パラメータもあるんです。
ロイは、最後、どれくらい強くなったらいいだろう?
ということを調整するんですが
ファイアーエムブレムは、「クラスチェンジ」といって
職種が上がるという仕組みがあったりして
トータルで最後どれくらい成長できるかというのを
38段階ある設定のなかでどこに置こうかを
考えたんですね。最後までロイを使って貰えるように。
「これは育ちすぎだなあ」
「これは育たなすぎだなあ」
とかいうことを、何度も何度もやるわけです。

 
イメージ ──:
「最後にどこまで強くなったらいいかな」
というのは、……お父さん、みたいな気持ちでしょうね。
 
成広:
たまたま、今回
「大乱闘スマッシュブラザーズDX」
入れてもらったりしていて、
そのイメージも元気につくってもらえたんです。
そこから間接攻撃武器のイメージを
いただいたりもしたんですよ。
そういう意味で、ロイに関しては
設定的にも、調整的にも、
ほかのキャラ以上に、気を使いました。

 
イメージ 武久:
今までのシリーズにないくらい(笑)、
主人公に愛情が注がれているゲームだと思いますよ。

 
成広:
(笑)主人公というのは、基本的には、
嫌われないキャラクターですよね。
だからあまりクセの強いものにはできない。
そしてお話的にも、まわりのいい仲間達に
支えられて、強くなっていくみたいなところがある。
そういうところにも気を配っていますよ。

 
──:
西村さんのお気に入りのキャラクターは何ですか?
 
西村:
私の場合は、魔法使いが好きなんですね。
好きで好きで仕方がない!
ですからファイアーエムブレムでは
リリーナか、ルゥですね。

 
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この二人は、最後まで一緒に連れていきます。
でも、印象に残っている、という意味では
成広さんと同じで、
主人公のロイがいちばんです。
つくるのに、苦労しましたし。
いろんな方から意見を聞いたのですが
「主人公とは、こういうものだ」
という議論が、ここまで熱く行われた
キャラクターは、いままでなかったんです。
だから、ほかのキャラクターにはもうしわけないくらい
ロイには、力が入っていると思いますよ。

 
──:
でもスタッフの皆さんは、それぞれ、
また別の意味で、思い入れのあるキャラクターが
あるわけですよね。
 
武久:
イラストが変わったというのが肝になった部分で
最初、ロイが、元気よすぎだったんです。
それはそれで別にダメなのか? というと
そういうわけではなかったんですうが
「それは違う!」という意見も、やっぱり、
あったんです。
そこの折衝ですよね。いちばん苦労しました。

 
──:
思い切るしかない、という部分ですね。
両方の意見を、同じように聞いて
どちらも満足の行くものというものをつくることが
かならずしも、主人公のキャラクターを確立させるのと
一致するわけではないですよね。
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西村:
そうなんです、最後まで「ダメだ!」という人間を、
両方とも納得させることはできなかったんです。
やっぱり、両方に分かれた意見の間をとる、
という部分もありましたけれど。
こういうふうにキャラクターづくりをしたことは
いい勉強になりました。
最終的にできあがったロイのキャラクターは
僕としてはすごくいい形でまとまったと思っています。
それはイメージイラストから、
ゲーム内の顔のグラフィックまで、
何回も、途中のバージョンを入れたら
数えきれないくらいの遍歴をたどっています。

 
イメージ 武久:
(笑)いっぱいいましたよね、いろんなロイが。
いまだから話せることですけれど。
やっぱり成広さんたちは、
ファイアーエムブレムを大きく広げていきたい、
いろんなユーザー層に遊んでほしい、というのが
あったんですよね。
それは、任天堂側としても間違いじゃないと
思っていたんですが、ただ、広げる方向は
どこなんだろう? ということがあった。
ファイアーエムブレムというゲームは
いままで大人の層に受け入れられてきたんです。
いちばん最初の作品が12年前ですから
そのころたとえば10歳だったユーザーは
22歳になっています。
ということはもう、大人なんですよ。
ですからこのシリーズのファンは
ほとんどが大人です。
でも、ずっとそのファンだけを対象に
売っていくのか? と考えると、
どんどん難しくなっていくんです。
だから、やっぱり、成広さんたちは
年齢的に下の層にも売っていきたいと
思っていたわけです。
それを聞いて、たしかにそうですね、
と思ったんですが、しかし、そのことによって
ファイアーエムブレムという作品の雰囲気が
シリーズを通してあるものから、
ちょっと変わってしまっている。
それにたいして、任天堂と成広さんたちの間で
ずいぶん議論をしたわけです。
任天堂としては、これまでのファンも守りたいし
新しい開拓もしたい。
どこに落ち着けるのか、ということが
今回、いちばん難しかった点かもしれません。
きっと西村は中間管理職のような(笑)
立場になっていたんだと思いますよ。
いろんな人の意見を聞いて調整するという。

 
イメージ 西村:
そうですね、社内、社外とわず、
いろんな方の意見を聞きました。

 
武久:
ユーザーの思いの強いゲームですから
意見も激しく出るんですね。

 
──:
ユーザーの声は、どうやって集めるんですか?
ネットで?
 
成広:
ネットもありますね。
最近はコミュニケーションの手段が
双方向的に、増えてきたいますね。
うちの会社のメーリングリストに
投稿してもらったりとか。
色々な手段を使って市場調査もしています。
とくに若いスタッフは、
ユーザーとのコミュニケーションを
大切にしているんですよ。
同じ業界の人の意見も聞きますし。

 
イメージ 西村:
マリオクラブ(ユーザーの意見を聞くために
任天堂が設置してるグループ)にも聞きます。
百人以上のメンバーがいるんですが
そのなかでも「エムブレムが一番好き」と
言ってくださる人たちが、集まるんですね。
プレイヤーとして見ても、
日本で五本の指に入るんじゃないか?
というような人も、なかにはいるんです。
それだけに、意見は厳しいですよ。

 

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次回はこの続きをお届けしますよ!
お楽しみに!
 
  2002-04-19
 
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