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01 (第20回の3)
ゲームボーイカラー専用・アドバンス対応ソフト
「ゼルダの伝説 ふしぎの木の実〜大地の章」
「ゼルダの伝説 ふしぎの木の実〜時空の章」

任天堂・宮本茂&CAPCOM岡本吉起会談 その3
難しくするか、カンタンにするか
 
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●岡本吉起
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●山下佳文
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●宮本 茂

もうゲーム店で予約をしている人もいるにちがいない、
待望のゲームボーイカラーのソフト
「ゼルダの伝説 ふしぎの木の実<大地の章><時空の章>」
制作を担当したカプコンの岡本さん、山下さんと、
任天堂の宮本茂さんにお話をお聞きする座談会の3回目です。
この座談会、ことしの始めに行われたのですが、
ほとんどできあがったはずのゲームの難易度が
さらに座談会中に改良されることに。
ううむ、どこまでも作り込む人たちだなあ。
では、その模様を、どうぞ。
なお、会話は基本的に関西弁ですので、そのおつもりで。


 
 
■座談会出席者
 
■岡本吉起 CAPCOM常務取締役
 
■山下佳文 CAPCOM執行役員
 
■宮本 茂 任天堂株式会社情報開発本部
 

イメージ ──:
ふたつのゲームがつながっている、という
今回の「仕組み」なんですけれども、
たとえば小説でやろうとしても
なかなかできない世界に思えます。
逆にいうと「ゲームでしかできないこと」を
やってらっしゃいますよね。
難しい仕組みを、
楽しくエンターテインメントにしてる、
そこが凄いことだと思うんですが。
 
宮本:
まあね、やってないんでね、どこも。
だから今まで、
「ポケモン金銀(ポケットモンスター金・銀)」
みたいなことはやったけど、それともまた、
発想が違うものなんです。
今回、同時に2本のゲームを出しますが
このふたつは、ストーリー的にも
全然違うものなんですよ。

 
岡本:
そう、この2本は、まったく違うものなんです。

 
宮本:
もう全っ然、ちがう。

 
岡本:
操作性とかは一緒ですけど、
中身はまったく2本、丸々、作ってて、
別のもんなんですよね。

 
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──:
でも同時発売で、「リンクシステム」がある。
 
岡本:
うん。
まあでもそれはプレーしてもらえば
わかる話なんでね。

 
宮本:
そうですよね。「時空(の章)」からいってもいいし、
「大地(の章)」からいってもいいし。
片方だけ遊んでもらって、
気に入ったらもう1本遊んでくださいね、という。

 
──:
ふたつでひとつ、ということではないんですね。
 
宮本:
分けるなら、体育会系の「大地(の章)」と、
理系の「時空(の章)」、みたいな(笑)。

 
──:
そうなんですか?
 
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岡本:
あ、そうですそうです。
で、難しい。ゲームが。
カプコン社内のおっさん同士でよく、
「俺らでけへん!!!」
言うて、ぶりぶり。

 
──:
作ってる人にも難しいんですか!?
 
岡本:
おっさんにはアクションが
つらいつらい。(笑)

 
──:
ユーザーは、作り手より若い人たちですもんね。
 
岡本:
そうなんですよ、
最初の「ゼルダ」は、俺ら、
若い頃にやったじゃないですか。
であの頃にはふぃふぃ遊べたのに、
今のやったらきっついきっつい(笑)。
アクションが。
いやほら子供らの方がダンチ(段違い)に
うまいですわ。

 
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宮本:
すいすいいきますからね。

 
岡本:
ふざけるなっていうくらいね。
しかもマニュアル絶対読まないですからね、
あいつら。

 
宮本:
(笑)あいつら、はいけません(笑)。

 
岡本:
(笑)や、うちの子供のこと指して
言ってるんですけど。

 
──:
子供たちでモニターしながら作るんですか。
つまりおっさんである自分が、
程よくできちゃったら子供には物足りない、
はずなわけですよね。
 
岡本:
あ、そうですよ。それはもちろんカプコンの中に、
カプコンマリオクラブみたいなのがあってですね、
通称ロックマンクラブっていうんですが、
モニターがいるんです。

 
──:
彼らの意見も反映させていくと、
「もっともっと」
みたいになっていくんですか。
 
岡本:
そうそう。誰も「これじゃ難しい」なんて
言わないんですよね。そやから俺ら、
「おっかしいなあ?」って言うてんですよ(笑)。
「絶対難しいよな」「難しい」
「クリアできない」「できないよなー」
とか言って(笑)。

 
──:
難しすぎるのと簡単過ぎるのでは、
難しすぎるほうがいいんですか?
 
岡本:
いやそんなことないでしょ。

 
宮本:
そんなことない。

 
イメージ 山下:
そんなことは絶対ありえないですよね。

 
宮本:
適度なやさしさは必要。

 
岡本:
ゲームってその目標は
最後までいってエンディングを見ることなんですよね。
世界を平和にする、であったりとか、
何々を助ける、であったりとか、
豪邸を建てる、だったりとか、そのために、
要するにハードルを越えなきゃいけないわけですよね。
それが目的やから、途中でやめたひとは、
ある意味、ゲームしたことにならんのですよ。

 
──:
途中でやめさせちゃいけないんだ。
そのためには適度なやさしさが必要。
 
岡本:
ところが、その勘所が、難しいの、
俺たちには。(笑)
「おかしいよ、できねえよ!」
「できない!」って言い切って作ったものも、
ロックマンクラブだと、できちゃう。それ見て、
「しぇーーーーーーっ!!」言うて(笑)。
いや、でも、ロックマンクラブも
内容をよく知っているからこそできるんや、
任天堂持ってったら、難しいて、
絶対クレーム来るでー、って出したら、
「すごいよくできてる」と言われまして。
「あれー?」言うて。「おかしー?」(笑)

 
宮本:
いや、やっぱり、おっさんは
難しいて言うてますよ。(笑)

 
山下:
あ、やっぱり言うてます?

 
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宮本:
そりゃ、僕らには難しいよやっぱり。(笑)

 
岡本:
難しいでしょ? あー、おっさんには
しんどいんですよ。若い子らさくさくーっと
いきやがるんですよね。(笑)
でも誰に売るつもりやねん言うた時に
やっぱこれ若い子やねぇ、て。

 
──:
うん、うん。
 
岡本:
あー、ほんなら俺がするゲームじゃないね、
って言いながら、こう。なら俺用に、
やさしいモード入れといてくれるかな(笑)。

 
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──:
俺専用に。(笑)
 
岡本:
いやほんまに難しいですよ。おっさんには。
あのー、スタートがつらいですわ。
スタートした頃がですね、最初のボスのところが
ハートが3つしかないから。
(すぐにゲームオーバーになってしまうという意味)
こないだもスタッフのみんなの前で言ったんやけど、
最初にハート、ポンポーンと2つ3つ取れんかー?
言うて。

 
宮本:
ふんふん。

 
岡本:
このシナリオだったら、ま、5つぐらい
あったって、ま最後、だーっと並ぶわけですけど、
とりあえず最初に取れへんから、楽しみが、
すごく少ないんですよね。

 
──:
うんうんうん。
 
岡本:
最初にポンポンポーンとこう入ってくれたら、
もうちょっとアクションできるんやけど、
3つやから、ちょっとしたミスでぷりぷりんっと
死ぬんですよ。
で、もうね、ハートが1個とかだったら、
もうダメッ、とか思っちゃう(笑)。

 
山下:
もう僕は無理っ! とかってあきらめちゃう
んですよね。(笑)

 
──:
でも実際3つで、進んでいるんですよね。
 
岡本:
みんなはね。知らん顔してね(笑)、
さくさくとやりよるんです。

 
宮本:
じゃ変えよう、今から。(本気で)

 
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岡本:
(冗談と思いながら)変えたいね。
ほんと変えたい。ほんとに。
さくさくっと進めるようになあ。

 
宮本:
大丈夫。

 
岡本:
本気ですか!
いやまあ、ハートがポポンッと
最初のところでハートが2つ手に入るとか、
ボスやっつけたらとかぐらいやったら、
変えれる、と、思う、んですよね……。

 
宮本:
うん。変えましょう。

 
岡本:
ハートの数が1個2個違ったら
全然違うんですよ。
……これ変えていいですかね?

 
宮本:
変えましょうよ。

 
岡本:
変えましょう……そうですよね。
俺らがプレーできないですもんね(笑)。
俺ら3人がプレーできないから言う理由で、
難易度下げてええの。ええか。

 
──:
(笑)僕もできないですよ。
 
岡本:
うーん、ここでおっさん3人で決めたら、
最初だけでも、やさしくなりますよね。
ユーザーにやさしいんだ、って。
じゃ、ここで決めましょう。ちょっとやさしくします。
後でこれ読んだひとにに、
「おめーたちのせいで簡単になっておもしろくねぇ!」
とか言われてね。(笑)

 
宮本:
あそれよく言われる、うちもね。

 
──:
簡単になった、と?
 
宮本:
うん、僕がゲーム作りの最後に入っていくと、
そこで「もう少しやさしくしましょう」とやるでしょ。
そうすると、そのゲームを一緒に育ててきた
マリオクラブの人たちからは、
いつも最後に「もの足りなくなりましたね」って(笑)。
でも、それを売ったら、市場では、まだ難しいって
返ってくることもあるの。

 
岡本:
あーそうなんだ!

 
──:
ううむ、ほんとうに勘所が難しいですね。
 
宮本:
それはもう、プロゲーマー化してる人たちもいるから、
一部のそのコアユーザーの意見だけを
聞いてたら、またね、違うことに
なっちゃいますもんね。

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「人を楽しませる」ということの勘所、
ほんとに難しそうです。
ほんのちょっとだけやさしくなることになったゼルダ、
どんな製品に仕上がっているのか、
今月末の発売が、ますます楽しみになってきました。

なお、この座談会で決まった「ハートの数を増やす」
という案は、実現の方向に。ただし、増やしたハートは
ちょっと寄り道した場所に、置くことになったそうです。
ストイックにプレイしよう、という方は
あえてそのハートを取らずに進むこともできるんだとか。
(あなたは、どちら?)

次回もこの座談会の続き、
カプコンさんと宮本さんの仕事について
お聞きしています。お楽しみに!
 
  2001-02-22
 
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