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01 (第20回の2)
ゲームボーイカラー専用・アドバンス対応ソフト
「ゼルダの伝説 ふしぎの木の実〜大地の章」
「ゼルダの伝説 ふしぎの木の実〜時空の章」

任天堂・宮本茂&CAPCOM岡本吉起会談 その2
重厚長大の逆をいこう
 
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●岡本吉起
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●山下佳文
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●宮本 茂
いよいよ今月末、2月27日に、2本同時に発売される
ゲームボーイカラーのソフト
「ゼルダの伝説 ふしぎの木の実<大地の章><時空の章>。
このゲームをつくったカプコンの岡本さん、山下さんと、
任天堂の宮本茂さんにお話をお聞きしています。
会話は、質問者をのぞき、完全に関西弁で行われました。
そのぶん、正直な意見が交わされているもよう。
今回は、岡本さんが「ゼルダ」をつくりたくて
宮本さんをどう説得したのか、というお話。
どうぞ、お楽しみください!
 
※この座談会は2001年1月初旬に行われました。
 
 
■座談会出席者
 
■岡本吉起 CAPCOM常務取締役
 
■山下佳文 CAPCOM執行役員
 
■宮本 茂 任天堂株式会社取締役情報開発本部長
 
  宮本:
最初、岡本さんが「GBでゼルダを作りましょう」と
言ってきた時に、提示してくれた開発期間が、
「え、そんなのでできんのか?」
っていうものだったんですよ。
「や、これはもう、ポンポンて出しますよ」
て言うから、へぇー、すごいなー、
できひんと思うけど、できたらすごいよなー、て。
カプコンてすごいなー、て……

 
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岡本:
そら、ほんまに、すごいですからね(笑)。

 
宮本:
そしたら、その通りにはできひんかったんで、
よかったなーって。
ああ、だれがやっても、やっぱりそれなりの
時間がかかるんや、よかったなー、って。

 
岡本:
何言うてますの。
だから最初に言ったのは、ほんとにもう
スーパーファミコン版の焼き直しだったんですから。

 
──:
どのくらいの期間を提示したんですか?
 
岡本:
「3〜4カ月ぐらいの開発期間がありゃできます」て……。

 
宮本:
8か月くらいありゃポンポンポーンと
3作くらいいきます、とかそんな感じでしたよね。

 
岡本:
(汗)だからその、ほんとに、

 
──:
それは焼き直しのつもりだったから?
 
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岡本:
そそそ。前回のシステムのまま
いくつもりやったですからね。
それならグラフィックのレベルが上がるとか、
全然問題にならないんで、
開発期間が延びたりしないですからね。
ささっといくよ、っていう。で、まあ、
3つが連作になって、いうたってまあ、
同時に作っときゃ、こと困らないんで、
「まあそりゃ問題ないですよ」みたいな。
エンジン作っちゃえば、マップが変わってようが
何してようが関係ない、と。
そしたら、うちのスタッフ、誰もやりゃあしない、
そんなこと。だって作ってあるんですよ、
実は、「ゼルダ」はもう1本あるんですよ。

 
──:
もう1本?
 
岡本:
はい、あるんです、実は。
3部作、というか、最初にぼくらが「ゼルダ1」と
呼んでるものがあるんです。
で、それはそれで、また、ねえ。
後日交渉に来ようと(笑)。

 
──:
発売交渉?
 
岡本:
「発売さしてくれー!」って、
後日交渉に来ます。

 
宮本:
ほんとは4つあったんや。

 
岡本:
ほんとは4つ、そうなんです。

 
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──:
えええー。(笑)
 
岡本:
でも、その「4」は無くなった。

 
宮本:
僕がね、今回、
一番プロデューサーらしい仕事をしたのは
それなんですよ(笑)。

 
岡本:
宮本さんは、ものすごいその先々を見る、
予測する目が僕らとは違う。
レベルが高いんですよ。
すぱっと言やそのとおりなんですけど、
僕らから言えないじゃないですか。
3作で絡みましょう、どれから始めてもゴールが
同じになりまっせー、て立ち上げといて、
あとから「2作やったら楽なんやけど」
「1作やったらすぐできんねやけど」とは
言えなかったんですよね。で宮本さんに、
「2作のほうが楽なんちゃう?」
て言ってもらって、
「そのとおりでございますー」。
船、出してもらって。助け舟。
それにさっと乗って。ノアの箱船やったね、
そのおかげで、
さささっと2作にさせてもらったんですよ。
正直なところ、できない、ですよ。3つは。
今(2作同時進行)でもね、バグが恐くて。

 
宮本:
2作でも結構今大変ですよね。

 
イメージ 岡本:
恐い、恐い。

 
宮本:
連作とか、2つのゲームがお互い絡む、
とかいうけど、それはひとつのプログラムの中で
動いてるといいけど、今回は、
全然違うプログラムを繋ぐわけですからね。

 
──:
そうですよね、リンクシステムって。
 
宮本:
Windows98とWindows2000を
同時に動くようにするみたいなもので、

 
──:
あ、そう考えるとわかりやすい。
 
宮本:
その(Windows)98を出す時に、
(Windows)2000の分もやっときなさい、
というわけでしょ?(笑)
やっぱり、(Windows)2000できてからに
しましょうよってなりますよね。
今回、2作同時に出すのは、
そのほうがおもしろいから出すのやけども、
作る側としては、
両方できあがってテストしとかないと、
先に片方が出ていってしまって、後からそれに
もう1個合わすっていうのはたいへんなことやから。

 
岡本:
いつどんなことになるか
まったくわからないんで。

 
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宮本。
保証できない。

 
岡本:
そのことが、恐くてたまらないんですよ。

 
──:
いまだに。
 
宮本:
いまだに。「ゼルダ」は基本的に、
なにをしてもいい、
わりと自由度の高いゲームなんで、
余計に危ないんですよ。(笑)

 
──:
リンクっていう考え方はどこから出てきたんですか?
2本のゲームをつなげる、という……。
2本あるところまではわかるんですけど、
ほんとは容量があれば1本にしたかったって
意味なのか、
 
岡本:
いや、違いますよ。もともとは、
重厚長大の逆をいこうということだったんです。
「ファイナルファンタジー」とかの
逆を突きたかったんですよね。
アクションRPGだけど、そのRPGの世界が、
いまのゲーム業界って、
超大作、超大作って進むじゃないですか。
その逆いきたいよね、と。
軽めのやつで、連ドラ(連作ドラマ)みたいなのを、
ポンポンポンポーンと気持ちよく、
毎週毎週泣けたらなあ、みたいな、ノリから、
スタートしたんです。
2本つくるにしても、
もともとある「ゼルダ」の
プログラムを基本にして、
ゴールをマルチエンディングにできたら
おもろいし、それくらいやったら
2本、できるやろうと考えたんです。

ところが実際は……

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宮本:
話しが変わって(笑)……

 
岡本:
おかしいぞぉ? みたいな。(笑)
まあでも、当初のスタートは、ベースが
前のゼルダの焼き直しだからっていうから、
あ、それやったらできる、できると。

 
宮本:
だから重厚長大じゃなくポンポーンと
軽くいきましょうという考え方が、
山内社長とぴったり合ったんですよ。

 
──:
ほぅ。(笑)
 
宮本:
で、たぶんですよ。僕知らないんですよ、実態は。
でそこでもう意気投合して、やっちゃいましょう、
というと、こう、「宮本を説得せなあかんな」
でも岡本さんは、そういう説得の仕方をせずに、
「あんたんとこで3本は8か月で作れないでしょ?」
て言われたんですよ(笑)。

 
岡本:
いやいや……(苦笑)。

 
宮本:
カプコンにはその組織力があります、言われて、
そのとおりやなと思って。

 
岡本:
いやー(汗)。

 
宮本:
じゃあ一緒にやりましょうかって(笑)。

 
岡本:
宮本さんとこには人がいないでしょ?
僕のとこで8か月で3本出しますから、
がんばりますから、って、
……だましたんですよね(笑)。

 
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岡本:
いやいや、それは、結果的には、ですよ。

 
宮本:
そう、「オカリナ(ゼルダの伝説
 時のオカリナ)」作ってなさい、ちゃう、
「オカリナ」ちゃうやったか、
「ムジュラ(ゼルダの伝説 ムジュラの仮面)」
やったか、まあ、「オカリナ」作ってなさいよ
って。こっちでゲームボーイは任せてくださいよ、
って言われて。(笑)

 
岡本:
僕らが、僕らがやりますよ、バックアップ
しますよ、っつって。

 
宮本:
うん。

 
岡本:
んで、助けてもらって。結局。
かっこ悪いったらありゃしない!(笑)
メチャメチャかっこ悪かった。

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会談の雰囲気が、なんともフシギなんです。
「いいものができるなら、待とう」という
おおらかな姿勢が宮本さんにあって、
「いいものをつくりたいから、粘る」という
真摯な姿勢が岡本さんにある。
第一義が「いいものをつくる」ことで、
そのことに対する信頼関係が、
このふたりには、ある。
次回は、ゲームの中身のことを
もっとお聞きしますよ。お楽しみに!
 
  2001-2-9
 
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