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01 (第20回の1)
ゲームボーイカラー専用・アドバンス対応ソフト
「ゼルダの伝説 ふしぎの木の実〜大地の章」
「ゼルダの伝説 ふしぎの木の実〜時空の章」

任天堂・宮本茂&CAPCOM岡本吉起会談 その1
カラダ鍛えんと、ゲームつくられへん。
 
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●岡本吉起
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●山下佳文
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●宮本 茂

2月27日に発売が決定している
ゲームボーイカラーのソフト
「ゼルダの伝説 ふしぎの木の実<大地の章><時空の章>。
2本同時発売のこの作品は、
それぞれが独立したゲームでありながら
続けてプレイすることでまた別の世界が体験できる、
という画期的なものです。
もちろん、移植版ではなく、GBCのオリジナル。
このゲームをつくったカプコンの岡本さん、山下さんと、
任天堂からゼルダの父・宮本茂さんを迎えて
お話を聞きました。
かなり、ざっくばらんな会談になりましたよ。
まずは、思いも寄らぬ「体育会」の話題から、どうぞ。
(もちろん、ゲームの話もちゃんとしてますからね!)
 
※この座談会は2001年1月初旬に行われました。
 
 

■座談会出席者
 
■岡本吉起 CAPCOM常務取締役
 
■山下佳文 CAPCOM執行役員
 
■宮本 茂 任天堂株式会社取締役情報開発本部長
 

イメージ ──:
岡本さん、おいくつですか?
 
岡本:
今年40になります。

 
──:
もっと若く見えますよ。
 
岡本:
鍛えてるからや!(笑)ほらな。

 
山下:
うーん(笑)。

 
岡本:
なんで笑うん(笑)。
いや、ほんまにね、鍛えとるんです。
腕立て伏せを毎日。ほら。
(やってみせる)
……かなり、シェイプされたんですよ。

 
──:
体育会のイメージなんですね。
ちょっと驚きました。
 
岡本:
コイツ(山下さん)なんか、自分が40になるとき、
ほんま、鍛えよって、腹がボコボコ割れるまで、な。

 
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山下:
そうなんですよ。そのあと戻っちゃいましたけど。

 
──:
宮本さんも、たしかすごく
スポーツ、やってらっしゃいますよね。
 
宮本:
こんな人と比べるもんやないで。僕ら…、

 
岡本:
いやいや。僕らのほうが全然やってないですね。
そら宮本さんの方がダンチ(段違い)に
やってますよ。
そら、だって毎日、ほぼ毎日してはるでしょ。

 
宮本:
してないしてない。

 
岡本:
あそうですか?

 
宮本:
とりあえず週2回。

 
岡本:
ほら! 続けたはるんですよ。

 
宮本:
最近ヨメに、
会社まで歩いて行けって言われて、
歩いてきてるんです。

 
岡本:
ちょっと健康を気遣えって言われたんですか?
(笑)

 
宮本:
そう。

 
岡本:
自転車やめたんですか?

 
宮本:
今日は自転車なんですけど(笑)。

 
岡本:
さぼっとるやん、もう!

 
──:
自転車っていうと、ロードバイク?
 
岡本:
ママチャリなんでしょ?

 
宮本:
マウンテンバイク。本当のマウンテンバイク
なんですけども、ママチャリのように、
こう、カモフラージュしてある。

 
岡本:
あー。カゴついたりとかしてるわけ?

 
宮本:
そうそう、カゴつけて(笑)。

 
──:
スタイルどうしてるんですか?
 
宮本:
スタイルはもう、バシィーッと、

 
岡本:
ちゃんとして?

 
宮本:
ちゃうちゃう。この(スーツの)ままで(笑)。
でもさぶいから、毛糸の帽子かぶって(笑)。

 
岡本:
京都さぶいすよね。
夏は暑いし。

 
宮本:
ほんとはヘルメットかぶったほうが
いいんだろうけどね。

 
──:
先日「マリオテニス」のタカハシ・ブラザーズに
お会いしたんですが、
ほんとうに体鍛えていらっしゃるんですよね。
このごろ周りを見ると、
体をしっかり作ってて健康な人が
面白いものをどんどん出しているなあと感じるんです。
そうしたら宮本さんも岡本さんも、
体、動かしてらっしゃると聞いて、
やっぱりな、と。
 
イメージ 岡本:
そら、ゲームつくるの、
タフでないとできません。
だいたい病気の人ってゲーム作りにくいですよね。

 
──:
ゲーム作る人のイメージって、
ずっとコンピュータの前に座って、というイメージが。
 
岡本:
任天堂さんの社員は知りませんけど、
カプコンでは、
モニターの前にしがみついてるようなやつは、
その、ものになっていないですよ。

 
──:
そうなんですか。
 
岡本:
かなり体育会系です、カプコンは。

 
宮本:
かなりていうか、そうとう、体育会系やね。

 
岡本:
今カプコンUTFCいうの作ったんですよ。

 
──:
アルティメット・トレーニング……?
 
岡本:
「うでたてふせクラブ」、いうんですけど。

 
一同:
(爆笑)
 
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岡本:
CFCいうのあって、
「カプコンフレンドリークラブ」なんですけど、
それに対抗して、「カプコン腹筋クラブ」いうのも
つくりましたよ(笑)。
ほら、トレーニングジム行くのと違って、
めちゃめちゃ、めちゃめちゃタダやで。
腹筋して一畳、腕立てして一畳やろ。

 
山下:
スクワットなら半畳で。

 
──:
ええと、今回のゲームボーイカラーの
「ゼルダ」は……
 
岡本:
いきなりかい(笑)。話し。

 
──:
体育会系の岡本さんのところが全面的に
製作を担当したということですよね。
 
岡本:
製作を担当させてもらってます、はい。

 
──:
カプコンさんの体育会系な内情もお聞きしたいんですが、
まずは宮本さんと岡本さんの、このチームが、
どういうふうに仕事を進めてきたのか
っていうことを、前段階として
知っておきたいんですけれども。
 
岡本:
最初はほったらかしにしてもらって、
(宮本さんはタッチせずに)
もう、できるできる、これぐらいのことは、
と思ったんですよね。
でほったらかしにして最初の1年ぐらいに、
赤字や赤字や言うて。

 
山下:
もうそりゃ大赤字ですよ。

 
宮本:
1年前から赤字や言い始めて。(笑)

 
岡本:
もうずうっと金かかってますからね。
結構人数突っ込んで。
んで、やって、どないもならへんなって、で、
宮本さんに「助けてー」言うて(笑)。

 
──:
ほったらかしに、というのは、
宮本さんとしては「よかれ」と
思ってですよね?
 
宮本:
それはもう、信頼してましたから。(笑)

 
岡本:
その信頼はねえ、ま、ものすごい裏切りましたね(笑)。

 
山下:
木っ端微塵に。(笑)

 
──:
どういうことだったんですか?
どういうふうに「できなかった」んですか?
 
岡本:
えっとね、まず、カプコンの社内が
ばらばらだったんですよ。
意志疎通がなかったというかね。
僕は宮本さんと最初に約束させてもらってたのは、
一番最初の「ゼルダ」、ディスクシステムの
「ゼルダ」の、焼き直しみたいなん、
ちょっとやらせてもらえませんかってこと。
そこからスタート切ったんですよね。
でもそれのつもりだったにもかかわらず、
作り始めたら、カプコンのメンバーは
違うことしたがるんですよ。

 
──:
ほぅ。
 
岡本:
メンバーは、もっといいもの、もっといいものって。
オリジナルの「ゼルダ」をつくりたいんです、彼らはね。
でも僕は、焼き直しのほう一本やらせてもらって、
そのあと話しが進んでいったらな、と
思ったんですけど、うちのメンバーはしょっぱなから
その1個目のステップは飛んで、
彼らの目標とする「ゼルダ」を
作りたくてたまらんのですよ。
で、えっと、たぶん宮本さんの「ゼルダ」って
後出しなんですよね。シナリオが。
アクションゲームの部分がちゃんとできてれば、
シナリオは後付けでも事が足りる、と思うんですよ。
アクションがおもしろないのに、
シナリオがあってもしゃあないやないですか。
でもカプコンがやったのは、
フラッグシップっていうシナリオ会社を使って
まずシナリオ作ってマップひいて、
ほんでゲーム作っていくんですよ。
そんなもん、うまくいくわけないじゃないですか(笑)。

 
宮本:
(笑)ないじゃないですかって!

 
岡本:
んで、シナリオは変更になるは、
マップは何回ひいてもやり直すわ、でメンバーは、
そのー、せっかく作った絵を、
もう一回没にしてやり直すは…。
あとその、思ったのと違うとったのは、
ゲームボーイカラーの横幅が、狭い。
ファミコンだった頃に比べてですね。

 
──:
ええ。
 
岡本:
ファミコンでは全部見えてた人、部屋が、
端っこで、切れてしまうんですよ。
右と左にスクロールしなきゃわからないんですよ。
それも結構苦労の原因になった。
そのことが、ゲームの難易度を異常に上げるんですよね。
だから、あの、ほら、壁にヒビが入ってたら
これは爆弾で割るところってわかるじゃないですか。
あれが見えないんですよ!
だから、絶対なかったって思ってしまい、
先に進んでいく。
見落としてない、って思って。
それが、マップ難易度上げてくんです、勝手に。

 
──:
なるほど。
簡単に移植できるわけではなかったんですね。
 
岡本:
ちょっとした階段とかもう見えないんですよ。
だからこう、内側に寄せることも
できないんですよね。隣りとの繋がりの関係で
それもできなくって。
まあ、つまらんところでいっぱい引っかかって。

 
宮本:
じゃAGBに…、変えようか。今から。

 
岡本:
やめて!!

 
(爆笑)
 
岡本:
やめて!! ゆるさん!!(笑)

 
イメージ ──:
それも、このタイミング(GBAのハードも発売される時期)
で出すっていうのは、GBA目的では
始めからなかったんですよね。
 
岡本:
違う違う、だからほんまはずいぶん前に
出しとかなあかんのですよ。

 
宮本:
ずいぶん前に出すつもりが、だんだんとGBAに
近づいてきて、でGBAが、ね、
ちょっと後から出てくるから、
少しぐらいGBAに挿した時には
プラスアルファのネタを入れとこう
とか言ってる間に、
GBAの発売予定日を越すことになったんですけど、
幸いGBAのほうも発売日がずれたので、

 
岡本:
たまたまね。

 
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宮本:
今またかろうじてGBAの前に出せるという(笑)。

 
岡本:
なんかもう1か月ぐらいのスパンで、
もう、ぎりぎりヘッドスライディングみたいに
なってるんですよ。
それも、ね、今この時点ですよ。完成してたら、
「いやー、間に合いましたわ」言いたいんです
けど、これがまだ一所懸命作ってる(笑)。
今日もメンバーはまだデバグをしてるはずです。

 
宮本:
僕今チェック始めてるんですけど、
なんか言うと遅れそうなんで、
もうなんにも言っちゃダメ、みたいな。(笑)

 
岡本:
直すのはダメ。ただ、言うのはかまへんけど、
直されへん。

 
──:
これ取材に来たタイミングが
悪かったのかな(笑)。
 
岡本:
いや一番おもしろいとこちゃいます?(笑)
いちばんおもしろいで、いま。

 
──:
発売は2月27日っていうアナウンスが
出てますからね、もう。
で、話しは戻りますが、1年ぐらいたって、
ヘルプを出したという……。
 
岡本:
はい。SOS信号ね。

 
宮本:
ヘルプじゃないですけどね。(笑)

 
──:
その時の状況っていうのは?
そこっていうのはもう、
いままでつくったものは全部無いことにして、
助けて、っていうことだったんですか。
 
岡本:
いや、あのー、やっぱりその時点で初めて
先がなんとなく見え始めたっていうか、
プログラムのベースのところはもうできたんで、
そっからやったら、
ちゃんとした方向に進めるような状況だったんですよ、
内部的には。
でも、担当を変えて、
今まで制作に直接タッチした経験のない山下を、
現場に突っ込んだりとか。
どたんばで無理に僕の圧力かけて内部を変えて、
で、宮本茂の神の声を聞きつつ、
作業を進めていったんですよ。
「宮本茂が言ったから!」って言うとみんなね、
がんばってやるんですよ、これが(笑)。

 
岡本:
だから言うてなくても「宮本茂」って言う。

 
宮本:
内容なくても。(笑)

 
岡本:
いい、いい、いい。もう全然関係ない。
「宮本茂が!」「ははぁーっ!」っていう、
なんか、ひれ伏す感じですよ、社員は。だから、

 
──:
効きがいい。
 
岡本:
うーん、かなり。
「岡本が」って関係ないですからね。

 
宮本:
だいたい岡本さんいないですからね、海外行って(笑)。

 
岡本:
ええ、遠く行ってます。

 
宮本:
や、けどやっぱり、弁護するんじゃないですけど、
「マリオ」にしろ「ゼルダ」にしろ、
それで遊ん育ってきた人が
こんどはゲームをつくる立場に関われる、
となるとね、ほんと力入るんですよ。
ありがたいですよ、それは。

 
岡本:
でもこんな(力)入るとは思わへんかった。

 
宮本:
恥かしいものにはできないっていう気持ちですよね。

 

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ゲーム作りのジレンマって、そういうことでもあるんだなあ。
ゼルダで育った世代が作り手になったことで、
今回の「もがき」になったというわけなんですね。
次回はそのあたりも、もっと掘り下げてお聞きしますよ。
お楽しみに!
 
  2001-02-06
 
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