イメージ

イメージ 「コロコロカービィ」
 
〜落とすな、転がれ、ゴールまで!〜
 ハードウエアとソフトウエア、
 どちらが欠けてもできなかった。

樹の上の秘密基地、今回から新シリーズです!
発売中のゲームボーイカラーソフト
「コロコロカービィ」開発秘話をお届けします。
“ゲームボーイ本体を傾けると、カービィが動く”
という、なんだかとてもフシギなこのゲーム。
いままでなかったゲームのプレイ感覚が
大ヒットにつながっています。
じつは、ほぼ日編集部でも、流行中。
でも疑問が一つ。「傾けるだけでなぜ、動くんだ!?」
そのヒミツを解くために、このゲームをつくった
任天堂開発第二部におじゃまして、
お話を聞いてきましたよ。

 
座談会出席者
 
イメージ
★谷口和彦
任天堂株式会社開発第二部課長。
ソフトとハードの両開発チームに携わっている。

 
イメージ
★増山巌
任天堂株式会社開発第二部。
ハードウエア担当。

 
イメージ
★池田昭夫
任天堂株式会社開発第二部。
ハードウエア担当。

 
イメージ
★中井康純
任天堂株式会社開発第二部。
商品化のサポート&まとめ役。

 
イメージ
★鈴木利明
任天堂株式会社開発第二部。
ソフトウエア担当。
コロコロカービィのディレクター。

 
イメージ
★坂上博樹
任天堂株式会社開発第二部。
ソフトウエア担当。
コロコロカービィのアシスタントディレクター。
 
イメージ
 
──傾ける、はね上げるという動作で、
画面の中のカービィも動いたり、
飛び上がったりするんですね。
ハードウエアとソフトウエア、両方の開発が
必要だったと思うのですが、
このゲームができたいちばん最初の発端というのは
どこにあったんでしょうか。
「動きセンサーカートリッジ」があって、
それに合わせてゲームを考えたのか、
それとも「こういうゲームをつくりたい」というアイデアが
あって、それにあわせて「動きセンサーカートリッジ」が
開発されたのか……
 
谷口:
端的に言うと「ハードありき」でした。
ハードウエアの部分というのは、開発第二部というのが
もともとファミコンとかサテラビューですとか
プラットフォームのシステムの開発をする部署なんです。
いわゆる一個のアプリケーションの商品開発は
そんなにしていなかった。
それが、ゲームボーイだ、64だ、という方向に
任天堂のメインストリームが移り、
僕らも衛星関係の仕事が一段落したとき、
さあ、何をしようか、というところに来ていたんです。
やっぱりゲームソフトを開発していかなければいかんな、
と、皆であれやこれやとネタをさがしていたんです。
ゲームのアイデアもさがしますし、ハードのほうも、
なにか使える周辺機器や、カセットの中に入れられるものが
ないか、と、姿勢として模索していたんです。
コロコロカービィに関しては、使えるハードが見つかった、
というところからのスタートでした。
一般的には「こんなハードがある」というのを
ハードウエアの(部署の)人間は見つけてくるんですけれど
それをどうソフトにするかは、なかなか広がらないんですね。

 
──「ハードを見つけてくる」というのは
どういうことなんですか?
まったくゼロから作り出す、のではなく、
あるものの、応用の仕方を考えるということでしょうか。
 
イメージ
谷口:
この一、二年でいえば、……たぶん先達も変わらないと
思うんですけれど、他で使われたちょっとした技術とかを
応用できないかな、と考えるわけです。
何に目をつけるかということでは
ハードの人間は「こんなん、面白いんやけどな」というのは
みんな持っていたりするんです。
けれども、なかなか、それをゲームソフトにするということ
までは、考えないんですね。

 
──逆に、ソフトウエアを開発なさるかたがたというのは
どうなんでしょう。
 
谷口:
ソフトだけで考えると頭打ちになりますね。
ソフトのアイデアがあっても、それを実現させるための
ハードウエアがあるかないか、何が応用できるか、までは
なかなかわからないですよね。
イメージ
 
──ソフトからハードが生まれるということもあるんですか?

鈴木:
実現できる技術が「あるか・ないか」ということが
キーポイントになりますね。ないものはできない。

 
谷口:
ですから、インスピレーションという意味では、
ハードがトリガー(引き金)だと思いますね。
「こんなんあるよ」とハードの人間が見せる、
それを見たソフトの人間が「ピピピ!」と来て
ソフトが生まれるということでしょうね。

 
──今回のハードの第一発見者は誰だったんですか?
 
谷口:
増山ですね。

 
──その経緯をお話しいただけますか?
 
増山:
部内で次に何をしようというときに、
今までのゲームと違って何かのセンサーを組み合わせよう、
というテーマはあったんです。
じゃあ、何をくっつけようか? ということで
いろいろなセンサーをあたってみたんです。
今回のセンサーは、偶然、出張の折りに手に入れたもの
なんですよ。でも、それが直接ゲームに結びつくとは
思っていなかった。

 
──それは、何なんですか?
 
増山:
重力を目で見られる、というものです。
「加速度センサー」というんですが。

 
──???
 
谷口:
あれは、もともとは電子工作キットみたいなもの
だったんだね。

 
増山:
そうですね。科学工作キットみたいなもので、
重力を数値で表示する、というものでした。

 
谷口
けれども、それをそのとき動かしてみて、
周りにも見せてみたけれど、すぐにゲームには結びつかず、
一ヶ月くらいはお蔵入りしてたんです。
ハードのメンバーだけで検討してまして、
毎日ソフトのメンバーに見せるわけではなかったので、
そのくらいの時間がたつまで気づかなかったんですね。

 
増山:
重力と、今回のゲームのような「傾き」ということが
すぐに結びつかなかったんです。

 
イメージ
谷口:
動かすと、1Gとか、0コンマいくつとか、
数値が出るわけです。
「ほう、数字がでるなあ」
と言っていただけだったんです。
ハードチームではそういうふうにやっていた。

 
──それが、どういうときに引き金となったんですか?
 
谷口:
ハードのメンバーの間では
パッとしたアイデアが出てこなかった、
そういうときだったんです。
ちょうど、タイミングとしては、期末……3月末ですね、
4月から新しい期になって、
ソフトの開発計画を立てる時期だった。
ミーティングで、ゲームボーイのソフトをやろう、
ということになりまして、その場で
「じつはこんなもんがあるんやけど」
と、加速度センサーを持ちだしたんです。
そのときソフトの人間が
「それはいけるかもしれんな!」
と、ゲームボーイのソフトに直接利用する、
という話が出たんです。
そこからがスタートですね。

 
イメージ
 
──去年の3月ということですね。
 
谷口:
そうです。3月の1ヶ月くらいは
加速度センサーをタテにしたりヨコにしたりしてた(笑)。

 
──そこでソフトのかたがたが
この加速度センサーの存在を知った、と、
それが「カービィ」になったのには
どんないきさつがあったんでしょう?
 
谷口:
それは、だいぶ長いな(笑)。

 
鈴木:
長期連載になりますよ、話すと(笑)。
まずは、モノを見てもらわないといけないですね。
これが試作一号機で、
こういう時間軸で並ぶんですよ……。

 
──ちょっと拝見します……あれ?
これ、カービィじゃないですよ!?
 
鈴木:
そうなんですよ、違うんです。

 
イメージ
 
おお、これが試作機か……と手に取ってみたら、
それは「カービィ」ではなかった!
次回は、「加速度カートリッジ」をつかった
ゲームづくりの四苦八苦をお届けします。
お楽しみに!!

 
イメージ

(c)2000 Nintendo/HAL Laboratory.Inc.


2000-09-29-FRI

BACK
閉じる