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「ゼルダの伝説 〜ムジュラの仮面〜」

 〜新しいゼルダを、とことん語ろう〜

 
 宮本茂+青沼英二+小泉歓晃インタビュー その4
 ゼルダの中に、きっと自分がいます。
 
 
4つのダンジョンとは別に
本筋とは別のサブイベントが
同じ時間軸にそって進行するという
不思議な世界を描いたNINTENDO64ソフト
「ゼルダの伝説 〜ムジュラの仮面〜」。
制作者インタビュー、4回目の今回は
そのサブイベントについてもお聞きしていますよ!

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●参加者
 
●青沼英二(あおぬま・えいじ)
任天堂株式会社情報開発部所属。
担当作品に、スーパーファミコン『マーヴェラス〜もうひとつの宝島〜』
NINTENDO64『ゼルダの伝説〜時のオカリナ〜』がある。

 
●小泉歓晃(こいずみ・よしあき)
任天堂株式会社情報開発部所属。
担当作品に、ゲームボーイ『ゼルダの伝説〜夢を見る島〜』
NINTENDO64『スーパーマリオ64』
『ゼルダの伝説〜時のオカリナ〜』がある。

 
●宮本茂(みやもと・しげる)
任天堂株式会社情報開発部所属。
担当作品は、NINTENDO64『ゼルダの伝説〜時のオカリナ〜』
『スーパーマリオ64』ゲームボーイ『星のカービィ』
『ポケットモンスター』など多数。

 

 
イメージ   ──今回のゼルダ、広告のコピーが
「こんどのゼルダには【こわさ】がある。」
ですね。「従来のゼルダテイストはそのままに、
仮面、月、時間、そして奇妙な住人達との出会いが
不思議な【こわさ】を演出する」と。

 
小泉:
そうですね。

 
──こわさ、という言葉ですが、
バイオハザード的な「怖いゲーム」とは言っていないですね。
ゲームの中にある、月が落ちてくる、とか、
時間をループさせるであるとかの「不可思議」な部分、
それがちょっとした「こわさ」であると……。

 
宮本:
今回のゼルダの世界を広告で伝えるのは
なかなか難しいというのはありましたね。
「月が落ちる」なんてほんとうにいいのか、
ということが、僕は気になっててねえ。

 
青沼:
えっ!?
 
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宮本:
「ツキが落ちる」なんてさあ。縁起が……。

 
青沼:
なんだ、そういうことですか(笑)。
 
宮本:
これ以上ツキを落としちゃだめだろう!
なんて言われないかななんて思ってね。

 
小泉:
出ましたか、この宮本さんらしい発言……(笑)。

 
宮本:
前も「陶器のオカリナ」が
「時のオカリナ」に変わるっていうゲームだったんで。

 
青沼:
勘弁してください。
この攻撃を深夜の一時とか二時とかにされるわけですよ。
 
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小泉:
余裕のあるときなら笑うんですが
余裕のないときだと「ハァ……」しか言えない(笑)。

 
──こういうチームなんですね。
しかし、話を聞いているとゲームをしたくなってきますね。

 
宮本:
でも最初の一時間くらいはツライですよー!
ツライだけ。

 
小泉:
そのツライ、を越えたあとに面白さがあります。

 
宮本:
おもつらい(笑)。ほんまに。

 
──いや、そういうことを言ってしまえることって
すごいことではないかと思うんですが。
このゲームを攻略するには……。

 
イメージ 宮本:
今度のゼルダはね、「攻略」という言葉が似合わないと
思ってるんですよ。攻略ではないんです。
たとえば本って、ゆっくり楽しんで読むものですよね。
攻略するものではない。そういう感覚なんです。
本って、読破すること自体が目的か?
といわれたら、違うでしょう。
やっぱり楽しんでほしいと思ってて。
4つのダンジョンに関しての
「攻略」っていうのはあるんですよ。
でもそれ以外の、3日間に、街でいろんな人が
動いているのを見て楽しむであるとか、
そのなかで、一日一善じゃないけど
すこしでも人を幸せにしてあげよう、ということ。
そういうふうに功徳を積むだけでも何日も遊べる。
「やらなくていいこと」が非常に多いんですね。
ゲームを買ってきてそういうふうに遊んで、
一ヶ月遊んでも満足というゲームをつくろうと、
はじめから「攻略」しなくて済むようにしたんです。

 
小泉:
「やらなくてもいい」ことだったら
ほんとにたくさんありますね。
そこが面白いというのがありますね。

 
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宮本:
この2人はヨメさんとの話を
いっぱい入れ込んだらしいですよ(笑)。
私生活を投入して。

 
小泉:
(笑)そういうメタファーは入っていますよね、たしかに。
けっこうアダルトなゲームなんですよ。
子供向き、といいながらも、アダルトな意識が強くて。
もちろん大人の方が見たらなるほどと思うことがあるし、
子供にはまだわからなくても、
そのうちわかるようなことも入っている。
大人達の世界を描いたり男女の世界を描いたりしてますが
大人の世界を描いているはずなのに、その実、
状況から考えたら非常識なくらい子供っぽい理由が
悩みの原因だったり、
逆に、子供達の世界を描いているはずなのに
それが非常に大人っぽかったりということもありますね。

 
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宮本:
登場人物は、ほんとうに3日間で世界がなくなると
信じている人から、信じているんだけどごまかしている人、
はなから信じていない人などがいて、
それをまた怖がっている人から楽しんでいる人まで
いろんな人がいるんですね。
いろんな人間をそこに詰め込もう、という作り。

 
青沼:
最終日には、どっか逃げちゃってる人がいたり、
頑固に残っている人もいる。
 
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宮本:
その中に、自分がきっとどこかにいる。

 
小泉:
「俺はどれなんだろう?」って思える。

 
──深い……。
 
宮本:
それを楽しんでもらいたいわけです。
ゲームとは思えないですねえ!(笑)
僕は小説を越えたと思っているんです。

 
──同時にいくつかの物語が進行していて
見る人の意志でどこを切り取るかによって
見えてくるものが全然変わってくる……
小説では難しいかもしれませんね、
そういう世界を表現するのは。

 
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青沼:
このゲームは、言葉で説明するのが難しいんですね。
面白さを伝えるには、ゲームをプレイしてもらうしかない。
たとえば宿屋のお姉さんのところにゴロンが行くシーン。
そこにたまたまリンクがいたらその会話が聞ける。
『お名前は?』
『リンクだゴロン』
『あ、ご予約承っております』
そこで部屋にリンクは入れないけれど
時間を変えることはできるわけだから
ちょっと戻ってみて、ゴロンに先回りして話しかけると、
お姉さんはリンク自身に『お名前は?』と問い掛けてくれる。
ほんとうはゴロンが予約していたのに
リンクが先に話しかけることで
流れが変わってしまう……こういうことって、
やっぱりプレイして、その時間のなかに身を置いてこそ
面白さがわかるというか。
 
宮本:
そうなんですよね。
気がついてほしいのはね、
すごく後悔している人がいたら
後悔している原因が必ず過去にあるはずなので
その人につきまとって
どこで後悔したのか突き止めないことには
イベントが解けないことがあるってこと。
そういうことに、頭を使ってほしい。

 
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──マラソンマンというのが出てきますよね。
公務員で実直な。仕事を毎日やっている。
郵便局員なので、決まった時間にポストを回収して
回っている。ただ3日目の夜になると
本当は逃げたいんだけれど仕事があると言って
すごく悩んでいますよね。
そこにリンクがなにかをしてあげることによって
その人を救うことができる。
でも、しなくても、その人の人生だから
かまわないんだけれど、
そういうことが組み込まれているというのが
非常に面白いと思うんです。

 
宮本:
そういうのはサラリーマンの方は
よぉくわかっていただけると思うんです(笑)。
ダンジョンが難しかった人は、
そういうことをして遊んでいることもできるんですね。

 
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ゼルダの深部にふみこみつつ、
座談会は次回も続きます。
お楽しみに!


2000-06-08-THU

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