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「ゼルダの伝説 時のオカリナ」の情報・産地直送!
宮本茂を核にしてまとまったゼルダチームは、
あきれるようなしつこさで64のゼルダをつくった!
そのしつこさの一端を、
しつこくインタビューしてきました。
そのインタビューを少しずつ編集して
「ほぼ日の近くの大きな樹の上から」
お伝えしましょう。


(第1回の7)
今度のゼルダは
「ダンジョンがたいへん」らしい。
その1

bicycleまず最初の、リンクが子供のころの
ダンジョンというのは「デクの樹」という木のなかです。
精霊が宿っている、生きているものとしての
木のイメージで、作られたのではなくて、
もとからそこにあったもの、という。


「ゼルダ」のダンジョンっていうのは、ようするに
カギをとりながら進んでいく設定なんですけれども、
序盤ではまだカギはないんです。
でも、そのつどのネタをクリアしながら、
先に進んでいけるようになっているので、
例えば
「巨大魚」のなかだと、内臓の弁が、
開いたり閉じたりするような仕掛けに
なっていたりとか。


リンクがまだ小さいんで、カギを開けて先に進むって
難しいし、魚の内臓なのにカギを使って開けることの方が
おかしいんで、生きもののダンジョンなんだ
ってことをイメージさせるためのものを、
そこには置いてあります。


ゲームの中盤では、完全にひとが作ったもの、
「神殿」という感じのものを設定しました。
「森」と「水」と「炎」の3種類、

そのあとに「闇の神殿」と
「魂の神殿」
というのがあって、そこは大人になったり
子供になったりしながら行き来する
、というように、
ダンジョンが二重構造になっています。

ダンジョンをつくるときには、
何かを参考にするというよりは、
平面的な設計図を描いて、
デザイナーとイメージを細かく話していって、
つくりあげていきますね。
でも、最終的にどんなものが上がってくるかは、
デザイナーにお任せ、ですかね。今回は、
ダンジョンを考える時間をけっこうもらえたんで、
デザイナーが使っているキャドの上で、
ここをああしてこうして、ってやりながら考えました。
だから、いわば家を設計するみたいな感じですよね。
リンクの身体のサイズが決まっているので、
そこからダンジョンの部屋のサイズも決まってきますし。


ダンジョンのなかのものは、基本的に動きます
よね。
これも制作期間との競争でした。
大きなものを大きく動かすと、それだけプログラムも、
いろいろバランスをとらなきゃいけないんで悩んだり、
でも動いてなきゃネタじゃないでしょう、という部分もあるので、
制作初期のスケデュールに余裕のある頃は
いろいろ動かしてましたけど、それが詰まってくると
「いや、ここはもうあきらめよう」ってことになったりとか。

こっちのダンジョンで使ったネタを別のところでも応用してとか、
そっちで使えるものはよそにもってって
また使ったりして、バランスをとってます。
結局は、どれだけネタのための装置や小道具をつくったか、
それをどれだけダンジョンで応用できたか、でした。


ダンジョンのしかけっていうのは、基本的には
敵を全部やっつけることと、謎解きをして、
スイッチを押して、扉を開く、そういうことですよね。
その部屋で、自分が持ってるアイテムの矢とか
フックショットを使って、どういうふうに
スイッチを押すのか、逆に、そう簡単にはスイッチを
押せないようにするためにどうしたらいいのか、
ちょっと意地悪したりとかして(笑)。


ぼく自身が、元々のゼルダ的なダンジョン、
つまり謎解きで進んでいくのが好きなので、
敵をバンバン倒して進んでいくというよりは、
敵はあんまり出てこないんだけど、
これってどうしたらいいのかなって、
じっくり考えながらやってほしい。
謎解き型っていうのは、「あ、こうすればいいのか」
っていうのがわかって、やってみたら、できた、と。
それがいちばんの快感ですから。
「きっとこのナゾは、俺しか解けないに違いない」
っていうのが気持ちいいわけですからね。
結果的には、そのネタを解いたときに
プレイヤーが気持ちよくならないとイヤですから、
最初にまずネタをどんどん足して、
途中からまた引いて、ある程度シンプルにしたり、
敵の数もあまりたくさんは配置しないようにして。

謎解きの内容は、中盤まではオーソドックスなもので、
それ以降は、それまで学習してきたことの応用編になってます。
序盤はひとつの部屋で解いていく、
中盤は部屋のなかで解くというよりも、
ダンジョン全体をぐるぐる回っているうちに
解けるようになっている。
終盤のダンジョンは、その応用編として、
少しアスレチックな要素も入れながらね、
そこはマリオを作っていたスタッフがやってくれているもんで、
得意のアスレチックなダンジョンになっていて、
流れとしてはまとまったんじゃないか、と思っています。
           (ダンジョンデザイン・小野塚英二さん)


というところで、(第1回の7)
「今度のゼルダは『ダンジョンがたいへん』らしい
 その1」は終り。
これから、さらに加速度つけて進んでいきますから、
新しい更新をこまめにチェックしてください。


1998-11-28-SAT


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