『ファイアーエムブレム』を噛み砕け!

 
シリーズ最新作、『ファイアーエムブレム
烈火の剣』
のプロデューサーである
山上仁志さんとの話が続いています。



最終回の今回は、
山上さんがあまりにもストレートに
みずからの感情を吐露します。

「このままではいけない」
そう感じて開発の臨んだ、
山上さんの力強い言葉をご堪能ください。

山上仁志
(やまがみ・ひとし)
任天堂 開発第一部係長

── 『ファイアーエムブレム』って、
触ってくれさえすれば、
じつはあまりゲームの経験がない人でも
楽しめる要素をたくさん持ってるんですよね。
山上 それは本当にそう思いますね。
── そんなにアクション性が必要なわけでもないし、
毎日少しずつ進めることができるし。
山上 はい。最初のルールさえ飲み込むことができれば、
仕組み自体はシンプルです。
攻略する面があって、そこを攻略すれば、
お話がどんどん進んでいく。
だから、ほかのRPGなんかをやって、
「お話は進めたいんだけどたいへんなんだよな」
って思っている人にはぜひやってほしいですね。
── うんうん。
山上 十分に、十二分に、十五分に、といっていいくらい
楽しんでいただけると思います。
シミュレーション部分の、
ほんとに少しのことを覚えるだけで、
すぐ敵を倒す喜びがわかると思いますので。
── しかも今回は覚えることも順々に一個ずつ、
という作りになっていて、
極端に言えば説明書がいらない。
山上 そうです。まったくいりません。
ひとつのことを覚えたら
それ以上に話が進むので、
覚えることが苦じゃなくなるんですね。
── なるほど。
山上 ずっと慣れていってゲームに馴染めば、
あとは愛着がそれぞれのキャラクターに
出てきますから、その子を守るために
俺は何をすればいいんだっていうところから、
いろんなテクニックをさらに覚えていく。
そうなるともうそれは楽しみの一部であって、
覚えなきゃとかいうものではないので、
つらい思いはしないと思います。
そういう意味では、今回そこへ行くまでを
きちんとフォローしてますので、
もうほんとにストーリーのあるゲームを
楽しみたい方には誰でもお勧めできます。
買っていただいたら必ず満足できるという、
そういうふうな作りになっていると思います。
── もう、本当に買っていただくだけ、と(笑)。
山上 ほんとにね、みなさんに、テストプレイを
していただきたいくらいなんですよ。
触っていただければわかると思います。
『ファイアーエムブレム』は
もともとそういうポテンシャルを
持っていたゲームなんですよ。


── 山上さん、本当に切実ですね(笑)。
山上 はい。それだけ自信がありますから。
『エムブレム』ってそれくらい、おもしろいんです。
ただ、やはりそのアピールの仕方が
いままでは未熟だったと思うので。
── たしかに、スタンダード作品と呼べるくらい、
真っ直ぐな魅力がありますよね。
でも、いつの間にか、どちらかといえば
コアな作品になってしまっていて。
山上 ええ。だからこそ、スタッフが
なかなか決断できなかったんです。
決してマニアックなものを作ってるつもりはない。
だけどいつの間にかそうなってしまってたんですね。
── ニンテンドウ64やゲームキューブなどの機種で
続編が出なかったということも
新規のファンがつかなかった原因かもしれません。
山上 ですから、『烈火の剣』の人気が出れば、
つぎはキューブでやろうと思ってます。
── おお、それはうれしい発言ですね!
山上 僕はやりたいと思ってます。
でも、やっぱり組織として作っているものですから、
売れなかったら難しいんですよ。
もう、わかりやすく言っちゃいますけど。
だから、本当に売れてほしい。
たくさんの人に買っていただきたい。
それだけのおもしろさがありますから。
── いや、そこまで言ってくれることを、
ぼくは、カッコいいと思いますよ(笑)。
なかなかそこまでストレートに
言ってくださる方ってあんまりいないです。
山上 だって、こんないいものないですよ!
── (笑)
山上 大げさに言ってるわけじゃないです。
ほんとに。十分なポテンシャルを持ってます。
やっぱり、いいものは、いいんです。
手前味噌ではありませんので。
── 「手前味噌ではありません」(笑)。
山上 正直、最近の『ファイアーエムブレム』は
難しかったと僕は思っています。
これでは、ユーザーの数は増えていかない。
「これは絶対変えなきゃダメだ」と思ったんです。
── ファンだからこそ、「これじゃいかん」と。
山上 そうです。
『ファイアーエムブレム』シリーズ特有の、
高いレベルの満足感、充実感を、
もっと広くの人に味わってもらいたいんですよ。
こんないいものをね、少しの人間だけしか
味わえないというのはおかしいと思うんです。
そのためには、変えるべきところは変えなくては。
── 突っ込んだ質問になりますけど、
その山上さんの姿勢は開発スタッフ内で、
軋轢を生んだりしなかったんですか?
山上 生まないようにきちんと説得をしました。
最初は、抵抗があるという人もいました。
でもね、「そのほうが多くの人にやってもらえる」
っていう言葉に対して
反論できる人はいないはずです。
── ……なるほど。
山上 売れる、というと言葉が悪いかもしれませんが、
やはり、多くの人にやってもらうという意味で、
売れなきゃいけないわけです。だって、極端な話、
このままユーザーの数が減っていけば、いつか、
『ファイアーエムブレム』を作るのか、止めるのか、
っていう議論をしなければいけなくなる。
── そこまでの決意なんですね。
山上 そこまで考えなければいけないと思うんです。
スタッフはずっと作り続けたいわけですよね。
そしたらもうやるしかないんですよ。
── うん。
山上 だから、こういうふうにきちんと段階を経て
説明をしていけば、誰ひとりとして、
反対する人はいないです。
── なるほど、わかりました。
山上 あと、こんなふうにいうと、
昔からのファンの人は、硬派な『エムブレム』が
ヌルいゲームになってしまったんじゃないかと
心配するかもしれません。
けどね、本当にそれは大丈夫です。
そんなことは杞憂だって断言できます。


── おもしろさの本質は変わっていないと。
山上 一切、変わっていません。
私が提案したのは、ゲームのよさを、
多くのみなさんに伝えるの工夫だけです。
『エムブレム』は『エムブレム』です。
だから心配しないでくれ、と。
心配せずに「買ってくれ!」と。
── うわあ(笑)!
山上 『ファイアーエムブレム』が好きなら
買ってくれ! と。
『エムブレム』ファンなら、心配すんな! と!
これは、このまま書いてもらっていいです
── はい(笑)。
広報 こんなインタビュー、はじめてですよ(笑)。
── ぼくもここまでストレートな言葉は
聞いたことないです(笑)。
でもね、こういうことは、
微妙にオブラートでくるんだりするよりは、
さっさと言ってもらったほうががわかりやすい。
山上 だって僕自身が『ファイアーエムブレム』の
昔からのファンなんですよ。
だから、『エムブレム』のよさを、
中途半端に変えるわけがないです!
そんなことをするわけがない!
僕が提案したのは、おもしろさの本質へ、
初めて遊ぶみなさんを導くための工夫にすぎない。
そこはもう、強調しておきたいと思います。
── だから、とにかく遊んでくれ、と。
山上 本当にそう思います。
一度、手にとって、プレイしてみてほしいです!
── わかりました。いや、いいインタビューでした(笑)。
ありがとうございました!
山上 ありがとうございました!
2003-05-09-FRI