今年『ナイン』は大当たりする!
去年は知らなかったくせに、応援します。

               
「ほぼ日」著者や読者も観ました!
               


シェフ
きょうは感想特集です!

べ3

「ほぼ日」を通じて
『ナイン』を観たかたが
熱いメールをくださったので
それをみなさまと共有したくて。


シェフ
まずは「カワイイもの好きな人々。」
山下哲さんです。
山下さんは奇遇にもキウチさんと
ふるいともだちだったんですよ。

本日はありがとうございました。
よかったです、ふるえました(地震でではなく)。
僕が言うのも生意気ですが、
まずカンパニーとして、
ミラクルなのですね、ほんとうに。
ああいう、何かに貫かれた
隙のない舞台をみせられると
嫉妬心さえ覚えてしまいます。
演者の、スタッフの、
「わたしたちがやることははっきりしてる、
 迷いなんかない!」
という感じというか、
そういうのがびしっと隅々まで行き渡っていて、
その空気がとても気持ちが良かったです。
うらやましかった。

はじっこで演劇にたずさわってきた僕としては、
それを実現するのがどれだけ困難なことかを
いくらかなりともわかっているつもりですので、
わ、これはすごいぞ、と
始まって間もなく感じました。
おおげさかもしれませんが、
奇跡的なことかも、と。

たとえば、すごく
段取りの多い芝居ですよね、実は。
でも誰ひとりとして段取りに負けてない。
(当たり前のことかもしれませんが、
 そこに隙が見えちゃう舞台、多いと思います)
綿密で大変な動きの連続のはずなのに、
そんなものまったく感じさせずに
みんなが、おのおのの役を、いきてる。堂々と。
各自がものすごい自信で舞台に立ってる気がしました。

お芝居を観たあと、
「あの役者さんが良くてあの人がイマイチで‥‥」
みたいな話にしばしばなりますが、
そういう感想はこの舞台には必要ないとも思いました。
それぞれが本気でいきてるから。
いいもわるいもないのだと思います。
マルチアングルですよね。
何回も観ても飽きないわけです。

2幕、ラストはすごかったです。
なにがどう圧巻だったのかはうまく言えないけれど、
もうずっと、強くつかまれっぱなしで。

世界一セクシーなミュージカルというのは
たしかにそうでしたけれど、
極めてパーソナルな効能としては、
とんでもなく、すがすがしい気持ちで
帰り道を歩いてました。
なんだかそんな感じだったんです。

僕もがんばんないと。

はじめてのミュージカルの人々にも
もちろんオススメですが、
僕は演劇をやってる人々が観るべきだと
強く思いました。
芝居の好き嫌いはいろいろあるでしょうけど、
カンパニーが強固だと、
こんなにも揺るぎがないっていう実例は
そうそう触れられるものではないと思うのです。
カンパニーとは、ああいうことじゃないかと。
みんなの目が同じ素敵さでした。
コンダクターまで同じ目。

けっこううまくカンパニーがつくれてきても、
その中で、なんというか、
「格」みたいなのが出てきますよね。
メインの人が誰かを軽んじてたり。
脇の役の人が「脇」という意識で
妙に頑張ってたり‥‥。
そういうのって僕は観ていて
比較的敏感に感じてしまうのですが、
(それは「格」というのに弱いからでしょうね、
 きっと僕自身が)
そういうものまで、「ナイン」の舞台には
まったく感じられなくて、
フラットで、ほんとにフラットで、
それがすがすがしくて、
自分はいままで、
もう一歩実現できなかったことだけど、
ちゃんとできるんだあ、と‥‥。
うらやましかったりうれしかったりしたわけです。

ゴメンナサイ、ほんとに長くなっちゃった。

ありがとうございました。
お礼を言ってばっかりですが、
また熱源をいただけた思いです。

(山下哲)


シェフ
続いては「フランコさんのイタリア通信」
翻訳とイラストをてがけている
酒井うららさんです。

べ3

うららさんはイタリアに留学経験があって
フェリーニにも
とってもくわしいんですよね。


素晴らしかったです!!!

キャスティングが、すごく良いですね。
別所哲也さんが、あんなにあの役にハマるとは
ちょっと予想外の嬉しいびっくりでした。

あの役は基本的な「純粋さ」が出せないと、
ただの「すけべおやじ」になっちゃうのかな‥‥
その点、別所さんて純粋で、てらいがなくて、
地からが「好青年」なのねと納得しました。

女性陣の健闘を期待して行きましたからね、
期待以上の素晴らしさで、みなさん美しくて、
のびのびとしていて、気持ち良かったです。
内容そのものも素敵ですが、
それぞれの役者さんたちの素晴らしさが
印象的でした。
仕上がりは、それぞれの役者さんたちが感性の鋭さで、
理屈抜きに「役」を理解しているような自然さが
気持ち良いのですが、でも、その土台には
緻密な模索もあって、
感性と技が矛盾していないからだろうなと思います。

セリフにイタリア語がちょこちょこ入るのが分かって、
なにか得した気分です。
実は日本語でミュージカルを観るのも初めてでした。
水準が高い舞台ですね〜、表現が自然で、
余裕さえ感じられましたもんね。

「81/2」は分かりにくいフェリーニの中でも
分かりにくいのですが、ミュージカルとして、
あれくらい交通整理をして正解と思います。
衣装も懐かしいあの時代が良く出ていたし、
舞台装置も計算されつくしているなと思いました。
水の場面はどうするのかと思っていたら、
本当に水を出しましたね。
オケ・ピットが上のほうにあるのも新鮮でした。

もちろんスタンディング・
オベイションしてきましたよ〜。

ありがとうございました。
大感謝です。

(酒井うらら)


シェフ
さあ次は「新宿二丁目の
ほがらかな人々。」
の、ジョージさん!

べ3

なるほど、ジョージさんは
こういうふうに観たんですね!


困った。
舞台を見ながら、とても困った状況に陥った。
コレは誰のコトを表現しようとしているんだろう?
そう思ってかなり困った。

誰の中にも自分以外の誰かがいるの。
自分ひとりで生きていけないのが人間で、
だから人は誰かと一緒になることを選ぶ、というけど、
でも本当は自分の中にもう何人もの自分を作る。
あるいは憧れ。
あるいは思い出。
あるいは憎悪の対象としての誰かを作って、
一緒に生きる。
それでさみしくないように‥‥。

ボクの中にも何人ものお友達がいるもの。
それはいじけた少年だったり、
それはロマンスグレイのおじ様だったり、
あるいはお転婆で蓮っ葉な少女であったり、
時にどうしようもない娼婦であったり。
それがゲイだ、ということだから。

と思っていたのだけれど、ああ、なんてこと!
彼は今、舞台の上で悩んでいる。
今、自分と自分が作り上げた世界の中で悩んでいて、
本当の自分がユックリと、でも確実に
自分が作り上げたもう一つの世界に
飲み込まれていくことに悩んでいる。
悩むことも無いのに、と思う反面、
悩むだろうな、と身につまされたりして。
とても居心地悪く、でもとてもスリリングな二時間半。

楽しゅうございました。
出来ることなら、次の舞台に立ちたいと思った。
悩める主人公でなく、
当然、羽扇子の森の中をさまよう
ゴージャスなおば様としてステージに立てれば本望。
そんなミュージカルでありましたことを、ご一報。

(ジョージ)


シェフ
ジョージさんをして
舞台に立ちたいと!
社長就任式を
ミュージカルでなさるのが
よいかと思われます!

べ3

さて最後は読者のかたからの
熱い熱いメールです!


スタンディング・オベーションでした。
リトル・グイドにボロ泣きしてたので、
最大限の拍手をしたかったのですが、
舞台を見に行った経験が少なくて、
いつ立ち上がったらいいか気にしてたら、
悩むまでもなく、みなさんどんどん立ち上がって
スタンディング・オベーション。

泣きました。
グイドって、darlingが書いてたように艶福家で、
女から見ると「女関係いい加減でだらしないやつ」
と反感を覚えてもよさそうな人なんですが、
あの演技とか、リトル・グイドによって、
全然嫌な気がせず、かわいそうに見える。
愛人のカルラだって、
現実に妻である立場の私から見たら
嫌な女なはずなんですが
(昼メロなら絶対すごい嫌な女にされてる)
かわいいんですよ。
100%嫌な奴ってのがいない。
みんな、どっか弱くて、どっかいびつで、
でもどこかにかわいい、美しいところがあって。
だからって、あり得ないような
「いい人ばっかり」の世界でもなく、
現実の人間に近いんですよねー。
グイドが追いつめられていく過程が、
舞台ならではの手法ですよね。
現実に、人が突然歌い出したら変、
てのがミュージカルにつきものの違和感ですけど、
あの場合、グイドが追いつめられてるし、
現実と脳内がまた違う動きをしてるので、
こりゃあグイドの脳内はこうなのね、と納得です。
それより、誰がどこでどんな動きをしてるかが
気になって。

私はルイザがとても好きでした。
はしっこにいるだけなのに、
心情がものすごく伝わってきます。

そして、なんといっても、リトル・グイドです。
誰の心の中にも、リトル・グイドが
いるのかもしれないですね。
どこかで時間を止めてしまった、子供のままの自分。
時間が止まった時というのは、
きっとなにかがあった年で、
人によって違うんでしょう。グイドは9歳だった。
私の中のリトル・○○は11歳です。
だからこそ、リトル・グイドと
大人グイドが手を取り合うところが泣けました。

グイドとルイザ、興奮すると
イタリア語でけんかするあたり、
雰囲気出てて面白かったんですが、
何言ってたのか気になります(笑)

天国への階段がらせんなのは、
DNAにかけてるんでしょうか?
いのちって、きっとらせんの形をしている、
と思えました。
(グイドって、このあと案外長生きしそうな気も‥‥)

リトル・グイドの向笠揚一郎くんは、
今9歳まっただ中ですが、
いつか大人になったら、
この舞台のビデオかなにかを見てほしいなあ。
きっと、大人になってから見ると、
いろいろ思わされるところがあるんですよね。
今は、大人グイドが
変な奴にしか見えなくて当然ですが(笑)。

終わった後、思わず舞台に近寄って、
セットをまじまじと眺めていました。
帽子と、なにかちっちゃいのが
テーブルに載ってるんですが、
ちっちゃいのはなんだったろう?
どこで誰が使ってたろう?
水も、少しだけ残ってました。
ナインシートで、すごく前のほうだったので、
表情までよく見えました。
しかし、はじっこだったので、
舞台の反対の端がよく見えない。
次は全体が見渡せる後ろの席でも見たいなあ、
と思わされました。
お金ないのに、また行きたいです。やばいです。
席がすいててもったいなかった!
当日券もあるみたいでしたね。
ぜひまた再演してください。
ほぼ日で紹介されなかったら、
こんなすごい舞台を見ずに終わるところでした。
ありがとうございました。
スペシャルチケットも嬉しかったです。
英語ができるなら、アンケートで
デイヴィッドに感激の気持ちを伝えたかった。

(ぎょもこ)


シェフ
ぎょもこさん、
どうもありがとうございました!

べ3

いただいたメールはすべて
tptのキウチさんに
送らせてもらっています。
また、キャストのみなさんや、
制作スタッフのかたたちも
ページに掲載されたメールを
読んで、
いつもとっても喜んでくださっています。
『ナイン』をごらんになったかたは
どうぞ感想をくださいね〜!
宛先はこちらです!


シェフ
そういえば、会場でお会いした
日本テレビの土屋敏男さんは
ごじぶんのブログ
感想を書かれていましたよ。
これまた「男の気持ち」として
とってもおもしろいので
チェックしてくださいね。

べ3
ではまた次回!

(つづきます!)


2005-06-03-FRI
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