パリから、旅するワンコのバブーくんたちが遊びに来てくれたのでパリの犬たちのことを聞きました。

以前「ただいま製作中!」でもご紹介したとおり、
先日、パリ在住のとのまりこさんと愛犬のバブーくんが、
「ほぼ日」に遊びに来てくださいました。

バブーくんは、アイルランド生まれの
ヨークシャー・テリアで、7歳のおとこのこ。
とのまりこさんがフランスで出会って飼いはじめて、
日本への里帰りはもちろん、いろんな国へ行った、
旅するワンコです。


パリジャンのバブーくんにはエッフェル塔がよく似合う!
©tonomariko

その行き先は、スペイン、イタリア、ドイツ、オランダ、
スイス、ハンガリー、ポルトガル、イギリス、ギリシャ、
アイスランド、さらに日本各地。
主にヨーロッパで、なんとバブーくん、
EUパスポートという、EU加盟国ならどこでもいける
パスポートを持っているんです。

さて当日「ほぼ日」へは、
バブーくんと、とのまりこさん、とのさんのご主人、
とのさんのことを「ほぼ日」に紹介してくださった
JUNKOさんと愛犬ヨークくんが来てくださいました。


みなの歓待を受けるバブーくん。みっちゃん、うれしそう。


「やあやあ。握手しましょう」


向かって左がバブーくん、右がヨークくん。


糸井重里ともご挨拶しまして。


「ほぼ日」の犬の主、ブイヨンともご挨拶。


ブイヨン、いつもよりぐっと友好的?



動物が大好きなバブーくんは、
ブイヨンが気になって仕方ありませんでした。



さて、そろそろお話ししましょうか。

今年3月には、
日本生まれ日本育ちのヨークくんとJUNKOさんは、
バブーくんたちみたいに飛行機に乗って、
彼らに会いに、パリまで行ったそうです。

ワンコと一緒に飛行機に乗るって、旅するって、
どんな感じだろう。
うらやましいけど、たいへんじゃない?
これはぜひうかがってみたいことでした。


バブーくんのおともだち、JUNKOさんちのヨークくん。
ヨークシャー・テリアとマルチーズのmixで、2歳のおとこのこ。
まん丸い目がかわいい。でもあだ名は篠沢教授。


そしてもうひとつ、
フランスの犬たちやペットのことを
お聞きしてみたかったのです。

と、いうのも、「ほぼ日」では、
ちょうどいま参加を呼びかけている
「動物愛護管理のあり方について(案)」の
パブリックコメントについて紹介したり、
「気まぐれカメら」はじめ、
犬や猫の出てくるコンテンツを
好んで連載しています。

そうこうするうち、
ペットを取り巻く環境について
耳に入ってくるところによれば、
フランスを始めとしたヨーロッパ諸国は、
動物愛護先進国として、見習うことが多いのだとか。

どうしたら、犬や猫やいろんなどうぶつ、そして人間が
なかよく楽しく暮らしていけるのか。
すてきなおフランス、おパリぐらしのことと一緒に、
そのヒントでも、わかるといいな。

ゆっくり、お話をうかがってみました。


ほんとうにずっとおとなしかった、バブーくんたち。


ほぼ日
「まりこさんがパリに行かれたきっかけは?」


とのまりこさん(以下、まりこさん)
「私は東京で情報誌の仕事をしていたんですが、
 いつか外国に住みたかったんですね。
 そこで、ヘアメイクの仕事を外国で勉強しようかなと。
 アメリカかなと思ったんですが、
 アメリカでメイクって言うと、特殊メイクなんです。
 ロンドンは、物価が高かったし。
 じゃあパリでいいかなって。
 で、25歳の時に、大晦日の2003年の12月31日まで働いて、
 やめて、翌日1月1日にパリへ来ました」

ほぼ日
「すごく切りがいいですね」

まりこさん
「はい。
 でもパリは吹雪で、すっごく寒くて!!
 カフェでなにかあたたかいものを
 飲もうと思ったんですけど、
 言葉もできないし、けっきょく頼めたのがコーラと、」

ほぼ日
「冷たい‥‥」

まりこさん
「あと、メニューの上の方にあった、
 『ジャンボン・ド・パリ』を頼んだんです。
 パリってついてるし、なんか」

ほぼ日
「それはなんだったんですか?」

まりこさん
「ハムの盛り合わせでした」

ほぼ日
「冷たい‥‥」

まりこさん
「ははは。そんな出会いですし、
 パリでは、超個人主義のフランス人たちに
 毎日いっこは怒ることがありますが、
 最初に期待しすぎないできたのが良かったのか、
 もう7年、住んでいます」

JUNKOさん
「そのフランス人に対する怒り方も、
 まりこさんの文章がおもしろくて。
 ブログのファンは、怒るのを待っているくらい」

ほぼ日
「そうなんですか! ブログのファンが。
 まりこさんは、ヘアメイクやコーディネーターの
 お仕事をされつつ、
 人気のブログから生まれた本が
 6冊ほど出版されているんですよね」

まりこさん
「はい」

ほぼ日
「パリ事情も人気だけど、
 バブーくんのかわいさも人気」

まりこさん
「うれしいです。
 バブーを連れてあちこち旅をしているので、
 そのことについてよく聞かれたりします」

ほぼ日
「だって、知りたいです。
 写真を見ると、バブーくんは
 飛行機で乗客席にいますよね?」

まりこさん
「ええ、日本の航空会社はダメですけど、
 海外の航空会社は、キャリーに入れて、
 席に持ち込めます。
 バブーは慣れていて、クンとも鳴かないから、
 犬がいるのに気づかない人もいます」

 それに、バブーを飼いはじめたころ、
 ペットが海外へ行くうえでの規制がゆるみました。
 前は検疫で二週間の勾留とかあったんですけど、
 それもなくなって」

ほぼ日
「制度が変わったことも
 行きやすくなった理由とは思いますが、
 なんといっても騒いだら、連れていきにくいのでは‥‥。
 しつけをしておくんですよね?」

まりこさん
「フライト中は、犬は食事も排泄もさせません。
 しつけは、そりゃもう、
 子犬の頃から厳しくしています」

ほぼ日
「厳しく‥‥。たとえば?」

まりこさん
「まず、ダンボールに入れて、戸棚にしまいます」

ほぼ日
「戸棚にしまう!」

まりこさん
「1分とかから始めて、5分とか時間をのばしていって。
 かならず私が迎えに来るんだ、ということを教えながら、
 留守番ができるようにします」

 人間が食事の時は、テーブルの下でじっとしています。
 キャンキャン鳴いたりしたら、口をこうやって、
 ぐっと掴んで、鳴きやむまではなしません。



 みていると、大型犬も繋いでいる鎖で
 バシッと叩かれたりして、
 フランス人はほんとうに厳しくしつけます。
 それから、よその犬にも容赦しません。
 お行儀が悪かったら、きっと睨んで、叱ります。

 ちゃんとしつけられているから、
 リードをつけないで歩いても、
 飼い主の横をちゃんと歩きます。
 ノーリードの犬、多いです。
 地下鉄や電車に乗る時は、小型犬だけ、
 それもカバンに入れて、という規則はありますが、
 みな守っていません。
 お行儀よく、静かに乗っていれば誰もとがめません」

ほぼ日
「なるほどー」

まりこさん
「あとしつけというか、
 小さい時に、袋に入れてちょっと振り回したり。
 車酔いなどしないように」

JUNKOさん
「そ、それはまりこさんだけだと思います」

ほぼ日
「(笑)ブイヨンも、
 人間の食卓に上がったりしないですよ」

まりこさん
「最初が肝心ですよね。あとは、慣れ。
 フランスでは半分くらいの人が
 犬や猫を飼っています。
 以前調査したんです。
 猫は家からでないので調べにくいんですが、
 パリの犬と猫の数は同じくらいでした」

ほぼ日
「へえー」

まりこさん
「私は犬が飼いたくて飼いたくて、
 日本では親に飼わせてもらえなかったので、
 パリでひとり暮らしをはじめて、
 犬の飼い方の本を何冊も読んで、
 ちいさなペットショップへ行きました

 ほんとうはトイプードルの茶色いこが
 ほしかったんです。
 おじさんにそう言ったら、

 プードルはいないよ、
 茶色なんて、日本人が好むからついている色で、
 プードルは白だよ。
 血統書? 日本人は血統書が好きだね。
 かわいいから飼う、でいいじゃないか。
 血統書がほしかったらあっちの店へ行っておくれ、

 っていわれて、むむっ、と」

ほぼ日
「なんだかこう、かちんと来るところを
 うまく突いてついてきますね」

まりこさん
「なにおーと思ってふと見たら、
 ヨークシャー・テリアが何匹もいて、
 毛の短いカットで、こういうのもいるのかー、と」

ほぼ日
「ヨークシャー・テリアは
 ふつう、長い毛の美しさが有名ですから」

まりこさん
「血統書はもちろんなくて、アイルランド生まれ、
 とだけ紙に書いてありました。
 一晩考えて、翌日バブーを迎えに行きました。
 バブーと出会えて、ほんとうによかったです」

ほぼ日
「かちんと来るおじさんに、感謝ですね」

まりこさん
「犬を飼うって言ったら絶対反対させると思って、
 親にも事後承諾でした。
 そのためにブログをはじめたんです。
 パソコンの苦手な親でも、
 リンクをクリックくらいはできるから、
 わたしの日常生活をみられるからねって言って、
 教えて」

ほぼ日
「リンクをクリックしたら、
 まさかの、ワンコが!?」

まりこさん
「ふふっ。
 だって子供の時に犬が飼いたいって
 ねだったんですけど、
 おじいいちゃんに聞いてみなさい、って、
 ごまかされて。

 で、おじいちゃんい聞いたら、
 『うちは鯉がいるからダメだ』って‥‥。
 なぜ子供心に、納得してしまって」

ほぼ日
「ふはははは。
 まさか、犬と鯉がケンカするわけでもないのに。

 フランスでペットショップで犬を買うのは、
 一般的ですか?」

まりこさん
「いえ、やはり里親募集の会みたいな
 犬の譲渡会で見つける人が多いようです。
 ペットショップは、あんまり数はないです」

まりこさんのご主人
「譲渡会はすごく広い会場に
 たくさんの犬やどうぶつたちがいて、
 たくさんの人が参加します。
 みんな連れて帰るためのかごを持って来ていて、
 本気です。
 9割くらい、いなくなりますから」

ほぼ日
「フランスの人はほんとうにどうぶつが好きなんですね。
 あのう、わたしひとつだけ不思議なことがあって。
 昔パリに旅行した時、ガイドブックに
 『下を見て歩きなさい』って書いてあったんです」

まりこさん
「ああ(笑)」

ほぼ日
「散歩中の犬の落しものが、
 誰も拾わないから、あちこちに」

まりこさん
「いちおう、掃除する係の方がいます。
 水圧で吹き飛ばすんです。
 その方たちの仕事を奪わないために、誰も拾わない」

ほぼ日
「でも、フランスに比べて
 犬を甘やかしている日本では、そこが厳しいです。
 みんな小さな袋と、水を入れたペットボトルを持って
 散歩してますから」

まりこさんのご主人
「犬のおしっこで、根っこが錆びて倒れそうな柱が、
 パリにはたくさんあります。
 今からでもあの水かけはやってもいいんじゃ‥‥」

まりこさん
「もう、手遅れですね」

ほぼ日
「(笑)
 そこが不思議だったんです。
 ペット先進国と言われるパリなのに」

まりこさん
「えーと、フランス人は
 あまりお風呂に入らないでしょう?
 犬もそんな道を歩くから、すごく汚れますし、
 パリの人はそんな犬でも平気で抱っこしています」

ほぼ日
「ああ‥‥なるほど。
 もしかして、だからヨークシャー・テリアも
 そういう理由でテディベア・カットに
 短くしてるんじゃないですか?」

まりこさん
「あ、そうかもしれない。(笑)
 町で毛を引きずってたら、たいへん。

 まあとにかく、日本とは違いますね。
 ほとんどのお店にペットは入れますし、
 入れない場合にだけ、その注意書きがある。
 ペット不可のアパートならば、
 まず表にそれを書いておかないといけない」


町ではあちこちに、ワンコの姿があるとか。©tonomariko

ほぼ日
「日本では、ペットが入れるお店、
 ペットと住めるマンションに、
 そう書いてあります。

 最近ペット可のお店も
 増えてきたような気もしますが、
 飲食店であれば、それは特別なお店です」

まりこさん
「そのぶん、何度も言いますが、
 フランス人は、
 ちゃんとしつけられていない犬に厳しいです
 それは子どもに対しても同じです。
 赤ちゃんの時から別室で寝ています」

ほぼ日
「ノー“川の字”で」

まりこさん
「“川”っていう字も無いですし(笑)
 そのためか、フランス人は超個人主義で、
 協調性はなく、」

JUNKOさん
「個性がバッチリ、育っています」

まりこさん
「学校に、体育と音楽の授業がないんです。
 基本的なフランス人は合唱や歌がすごく下手です。
 フランス版『アサヤン』というか、
 オーディション番組を見ると、びっくりしますよ。
 あと、集団のスポーツもできない」

ほぼ日
「でもサッカーは強いですよね?
 たんに運動神経のいい人がそっちにいくのか、
 親がそういう職業だったとか‥‥」

まりこさん
「バレリーナの友だちが、
 パリ・オペラ座のバレエ団が
 いちばん動きが揃ってない、って言ってました」

ほぼ日
「そこまで!」

まりこさん
「でもフランス人ははっきり自分を主張するので、
 わかりやすいです。
 集団行動ができても、自分がなくて
 どうしたいかわからないのと比べたら、
 ‥‥どっちがいいんでしょうねー、と思います」

ほぼ日
「そうですね‥‥。
 でもなんで、フランスではそんなに
 犬のしつけに厳しいんでしょう。
 人の犬にまで」

まりこさん
「そうですね、

 ‥‥うん、犬を飼うのはほんとうに
 子供を持つということ、
 家族を増やすということで、
 ファッションじゃないからだと思います。

ほぼ日
「ファッションじゃ、ない」

まりこさん
「たとえば、フランスでは、
 テレビで人気が出たからとか、
 そういう犬種のブームがありません」

ほぼ日
「そうなんですか!」

まりこさん
「ちゃんとしつけて、どこへでも連れて行けることで、
 犬も人間も、楽しく過ごせますから」

ほぼ日
「ああ‥‥。
 おはなし、ありがとうございました
 おもしろかったです。
 犬だらけのパリに、遊びに行きたいです!」

まりこさん
「ぜひいらしてくださいよー」


とのまりこさん、みなさん、ありがとうございました。
まりこさんとバブーくんの
楽しいパリの日々は、ぜひこちらでご覧くださいね。

また、犬や猫の好きな方はぜひ、
こちらへもご参加ください。
「犬と猫と人間のはなし。」


ヨークくんとすっかり仲良しになった、山下。


もうパリへ帰国している、バブーくん。
いまごろこんなふうに、寝ているのかな‥‥。
©tonomariko


では、また。

2011-12-07-WED