ニュースのご近所。
あの出来事、近くで見るとこんな感じ。

第56回 新潟・北朝鮮拉致事件のご近所。


みなさん、こんにちは。

まずは、日常的なニュースのご近所、
新聞のニュースにはならないちょこっとした出来事を、
4通のメールで、ご紹介してゆきますね。







・北京在住です。
 いま、北京はNHKのど自慢で大騒ぎ。
 私は予選に出場するのでもっとおおさわぎ。
 日中国交正常化30周年ということで
 関連イベントがたくさんなんですよ。

 宝塚もあるし、あゆも来たりします。
 大忙しだわ。
 (ミキ)



・5、6年前広島に行った時のことです。
 旅行に行ったさきに路面電車があると、
 まめに利用するようにしています。
 その時も広島駅にむかうべく、
 運転手さんのすぐ後ろの席に陣取っていました。
 「三越」前の交差点付近だったと思います。
 停留所に止まると運転手さんは急いで下車。
 業務用の電話でどこかに電話をして、
 立ち去ってしまいました。なかなか戻ってきません。
 路面電車ですから後ろの電車も立ち往生しています。
 その間、無言で降りてしまう人も……。
 しばらくして運転手さんが戻ってきて、
 「申し訳ありません。腹をこわしました」
 とのことでした。
 席に座った後も、運転手さんは、
 大きな深呼吸と、冷や汗ふきふきでした。
 (弘)



・ほんとの、ただの近所の話ですが、
 うちにカメが降ってきたのです。
 降ったところは見てませんけど、
 ある日突然、20センチぐらいのカメが、
 うちの庭を這ってました。

 私の家は7階建てマンションの1階で、
 周りも自然にカメがいる環境ではありません。
 飼われてたのが逃げたんだろうと思い、
 とりあえずバケツに入れておいて、
 管理人室の窓に「カメ保護してます」と
 書いたビラを貼りました。
 
 1階か、せいぜい2階から逃げたのだろう、
 としか、思っていなかったのに、
 夜になって、迎えに来たのは4階の住人!
 ベランダで飼っていたのが、
 フタが壊れて、前日に逃げ出したらしく、
 「もう絶対死んでると思ってたから探さなかった」
 と、すごく喜んで連れて帰って行かれました。

 カメは見たところケガもなく、
 うちにいる間中、ずっとバケツから出ようと
 がりがりがりがり休みなくもがいていました。
 私がのぞき込むと、「きっ」とにらんだりもして
 (そう見えるぐらい、眼光が鋭かった)。

 カメがここまで丈夫とは。
 甲羅って、ほんとに役に立つんですね。
 ……でも、4階って!
 私のカメのイメージは、普通に、
 「のんびりゆっくり」だったんですけど、
 違いますね……ヤツは、やりますよ。

 そういえば這うのもけっこう早かった。
 (はる)



・けっこう前の事なんですが、
 いつのもように会社に行くため、
 朝のJR田町駅に行くと、
 電車が止まったまま動いていませんでした。
 「まいったなぁ。朝から人身事故か」
 なんて思っていたら、たくさんの人がしゃがみこんで
 止まっている電車の下の隙間から
 線路を覗き込んでいるのが見えました。
 私も近くに行ってみてみると、なんと
 車輪と線路の間に女の人が倒れていました。
 一緒に覗き込んでいたサラリーマンのおじさん達が
 「ん?動いたか?」「生きてるぞ」
 「頑張れ〜。もうすぐ助けが来るぞ〜」
 みたいな事を言っていました。

 どうやらその女の人はちゃんとまだ生きていて、
 腕も足も怪我をしている様子はなく、
 ただぐったりと倒れているように見えました。
 どういった経過で電車の下の線路に
 倒れ込んでしまったのかはわかりませんが、私も
 「がんばれ頑張れー」とドキドキしながら
 心のなかで思った覚えがあります。

 その時はかなり長い時間電車が止まっていて
 (20分以上?)
 同じ人身事故でも生きている場合は
 時間がかかるのかなぁ、と思いました。
 (匿名希望)






中国との国交30年が、じかに
イベントに結びついているというメールは、
なんだか楽しそうなので、ご紹介いたしました。
それと、「腹こわしました」の電車も、いい味です。

次は、新潟県からのメールをご紹介いたします。
北朝鮮の拉致事件のご近所から、ですね。







・小泉さんの訪朝が連日マスコミで報じられていますが、
 私は拉致被害者の
 おひとりでいらっしゃる横田めぐみさんと
 同じ新潟市に、当時も今も在住しています。
 当時中3だった私が、授業中何気なく
 窓の外の小高い松林の丘に目をやると、
 十数名の捜査員が棒を地面に突き刺しながら、
 犬を伴って「行方不明」のめぐみさんを
 捜索している姿が見えました。

 
 それは大々的で、まるで
 2時間ドラマの一場面そのものでした。
 事情をよく把握していなかった私は、
 その場所にめぐみさんが埋まっているのだと
 勝手に解釈してしまい、
 授業中であったにもかかわらず、涙があふれてきました。
 結局その捜索は、手がかりのないままに、
 あちらこちらを捜索していたものでした

 が、それがわかった後でも、私の脳裏から
 その光景が消えることはありません。
 ニュースのご近所というお題とは遠いかも知れませんが、
 25年たっても忘れられない衝撃を
 この機会にお話したくて、書きました。

 今回、めぐみさんは死亡、という報告でしたが、
 それが間違いの情報である事を強く祈っています。
 (新潟のねこ)






横田さんがいなくなったのは、1977年の11月。
あのニュースをきっかけに、25年経ったいまになっても、
ありありと、高校の窓から見た風景が戻ってきたんですね。

亡くなられたとされる人の周辺では、
いつもと変わらぬ日常を過ごしながらも、
「あの時の……」と、この「新潟のねこ」さんのように
思いだしているかたが、きっと、たくさんいるのでしょう。

次回のこのコーナーで、またお会いしましょう。


さまざまな、日本国内や海外からの
ニュースのご近所のおたよりは、
件名を「ご近所ばなし」として、
postman@1101.comまで、どうぞーー!!

2002-09-25-WED

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