ニュースのご近所。
あの出来事、近くで見るとこんな感じ。

第35回 ドイツで蚊が異常発生。


こんにちは!

8月に大雨でたいへんな洪水になったドイツから、
「直接の被害はおさまったのだけども……」
というメールが届いております。さっそくご紹介です!







・私は、ドイツの例の水害で
 大きな被害があった街ドレスデンから
 120キロほど離れたトコロに住んでいます。
 その後は良い天気が続き、
 水に埋もれていたドレスデンの駅も
 再び以前のように機能しはじめたり、
 オペラ座での水害後の初公演(屋外ですが)
 が行われたりしている今日この頃、
 新たな問題が勃発しております。

 それは…、蚊の異常発生。
 例年にない蒸し暑い夏、多雨に加えて、
 水害がもたらした
 「水のたまっているところ」が、蚊の大量発生には
 打ってつけの環境となってしまったようです。


 私は地上6階(こちらの数え方では5階)に
 住んでいるのですが、窓から蚊、ハエ、蜂をはじめ、
 わけのわからない小さな虫まで入ってきます。
 ドイツの虫ってこんな高いところまで飛んできて、
 根性あるわ〜と感心してしまうほど。

 蚊もヨーロッパサイズで大きければ、
 刺された後の腫れかたもスゴイ!
 そして、痒みがしつこく続くのです。
 それでも日本の様に網戸が普及していないのは、
 虫の多い夏が短いからなのか
 外観上を気にしてのことなのか…?

 そんなドイツも、
 昨日から急に秋っぽい風が吹き始めました。
 蒸し暑い日本の夏が恋しい私にとっては、残念の一言。
 でも涼しくなって蚊が減るのは、やっぱり嬉しいなぁ。
 (スズキ)






水がたくさん増えたから、ということで、
かなりたくましい蚊が、大量発生しているようですね。
これも、精神的には意外ときついニュースだなぁ。

では、次は、貴重な現場のかたからの声です。
先日、山形県の農家の人が、
「無登録農薬販売の事件があったおかげで、
 いま、うちの野菜まで、検査にかかってるんです」
というメールをくださったのですが、
そういった野菜を検査している側からのメールなんです。
興味深いので、ぜひ、読んでみてください。







・このあいだ、山形の農家の方の
 メールも載っていましたが、私は逆に、
 残留農薬を分析する所で働いています。
 今、農家の皆さんも大変ですが、
 それを分析する各機関も大わらわになっています。


 ニュースそのものはもう
 一番センセーショナルな所は過ぎた感もありますが、
 東北地方はまだまだ続報が続いています。
 現在、こちらの農協や公設市場などでは
 無登録農薬を「うちは使ってないよ」という確約書や、
 「検出されませんでした」という成績書がなければ
 取り扱いしません、というところが増えているようです。
 生産者も分析機関もまだまだこれからがヤマなのです。

 この仕事に就いてまだ何年もたっていないので、
 あまり突っ込んだことも書けないのですが、
 「こういうことをしてるんだよ」っていうことを
 私が言える範囲で、
 ちょっとだけ書いてみたいと思います。

 残留農薬を分析するには、試料(農作物など)から
 農薬成分を抽出・精製し、
 (目的の成分を取り出して、邪魔な成分を取り除いて)
 分析機器にかけて、検出しているかどうかを見ます。
 疑わしいものがあれば、さらに別の機械で
 本当にその成分かどうか確認を取ったり、
 基準値前後や超過での残留の疑いがあれば、
 一から再検査を行って、
 間違いなく検出しているかどうかの確認を行い、
 濃度を算出します。

 検出しているかどうかを見るには、
 標準品、と呼ばれる農薬成分そのものを
 比較対象として使います。
 試料の分析結果が標準品の分析結果と同じかどうか、
 を比べているのです。

 現在、食品衛生法で基準が定められている農薬は
 200種類以上、それぞれの農薬に対して
 告示法/公定法などと呼ばれる、
 法律で決められている分析法は約百数十種類となります。
 (あくまで、基準が決められているものだけです。
  その基準も、農産物によって項目がかなり違います)

 しかし、方法が決まっているからといって、
 すぐに分析が出来るかというと
 そういうわけでもありません。

 単に法律に書いてある通りに
 「分析」しさえすればいい、という訳ではなくて、
 その分析での数値が信頼できるかどうかを
 判断しなくてはならないのです。

 通常、業務で行っている方法であれば、
 その方法に対して、
 「自分たちのやり方でどれだけ使える/信用できる」
 方法か、というデータやノウハウが蓄積されています。

 しかし、実施したことのない分析法は
 そのデータが全くないため、
 方法の内容の確認やデータ収集、
 使っている機器への適用をしてから本検査、
 となるので、実際の試験にかかるまで、
 余計に時間がかかります。


 また、「分析する人の腕前」の確認も必要になります。
 分析結果によっては、
 多くの人に利益不利益が生じますので、
 「成績書」として「数値」を表に出すには、
 目に見えるところだけでなく、
 表に見えないところでも様々な
 「信頼性の確認」が必要なのです。

 ・・・なんて、つらつらと書いてみましたが、
 この仕事について、私もまだまだ勉強中です。
 他のところから見れば
 ちょっとずれたことも書いてしまったかもしれません。
 身につけるべき知識も技術もまだまだたくさんあります。

 仕事をしているとあっという間に1日が過ぎちゃうけど、
 少しでも前に進んでいればいいなあとか思う毎日です。
 明日もまた試験品の依頼が入っています。
 今月も頑張るぞ〜。
 (は)






分析機関で一生懸命働いている人から、
こんな爽やかなメールが届くとは、
思ってもみませんでした!

農家のかたがたも大わらわになれば、
分析するほうも、より忙しくなるわけだし、
ニュース性が高ければ、より、迅速かつ正確な
成分検査結果が求められるというところが、
「なるほどなぁ」と思いました。
実験する側の「腕前」ってのも、モノを言うんですね。

では、次回のこのコーナーで、お会いしましょう。

さまざまな、日本国内や海外からの
ニュースのご近所のおたよりは、
件名を「ご近所ばなし」として、
postman@1101.comまで、どうぞーー!!

2002-09-04-WED

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