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第48回 行為がいちばん重要

中沢 やっぱり
アースダイバーの仕事なんかも
芸術人類学とか
サンタフェ研究所なんかも
関係があって、
最近、不動産業の人たちが
けっこう講演を頼んできたりして、
何を考えてんのかなと思う反面、
日本の不動産もそういうところへ
変化しつつあるんだなという感じも
受けているんですけれど。
タモリ これいま、この縄文地図が、
住宅地選びには重要ですよね。
糸井 「うちは沈むかな」とか。
タモリ 「この水色のところは
 かつて海だったんだから、
 買っちゃいけない」とか。
中沢 (笑)
タモリ 土地っていうのには、
土地の記憶というのがあるんですよね。
その昔の記憶に
戻ろうとしているわけですよ。
糸井 「この場所は沈もうとしている」とか。
タモリ あるいは地震に弱いぜとか、
そういうところ、ですから。
糸井 戻ろう戻ろうとする。
タモリ えぇ。
戻ろう戻ろうとする。
中沢 ぼくはどちらかというと
ヤバイところが好きですから。
そっちひかれたりもするんですけどね。
タモリ いやいや、やめたほうがいい。
中沢 家は建てませんけれども。
タモリ この地図は、そのうち、
不動産業者が関心を持つでしょうね。
それと路線化の基準にもなると思います。
中沢 東京という町が
どういうところかっていうのは、
芸術人類学のなかでも、すごい重要な要素です。
糸井 うんうん。
中沢 土地の記憶の問題ですよね。
岡本太郎さんが東北へ行ってはじめて
日本文化の中の
爆発する原動力をつかんだ。
それは
日本全国に散らばっているわけで……
それを掘りだしてくる
一つの手法として
こういうものを開発したいんですね。
タモリ まぁ、そういうことも含めて
サンタフェ研究所みたいなものができれば
それ自体の活動は多方面に渡ると思うんです。
糸井 まずは、なんですかね。
建物なんですかね、
人間なんですかね、
行為なんですかね。
中沢 行為だと思う。
建物も組織も大事だけど、
やっぱり最重要なのは、行為です。
ぼくはもう一つイメージがあって、
それは、
ドイツのマックス・プランク研究所です。
というのがあって
研究員が四千人もいるんですよね。
四千人の研究所ってなにかっていったら、
まぁ形は何もないっていうことなんですよね。
タモリ ほぉ。
糸井 NPOみたいなものですかね。
中沢 そうですね。
タモリ こないだ、お台場で
研究の成果を発表していましたね。
中沢 つまり、芸術人類学には
四千人ぐらい研究員がいてもいい。
もっといてもいいし。
糸井 壮大な同人雑誌でしょ?
タモリ そうですね。
中沢 まるで「ほぼ日」ですね。

(明日に、つづきます)
 
2006-02-05-SUN


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