ほぼ日が、ヘアメーキャップアーティストの
岡田いずみさんといっしょに、
肌とメイクと道具の
トータルビューティブランドをつくりました。
名前は、Shin;Kuu。シンクーと読みます。

大手化粧品メーカーを経て、
フリーランスとして活躍してきた岡田さんには、
「きれい」の知恵とアイデアがたくさんあります。
こんな化粧品があったら素敵じゃない? と
夢中で話していたら、いつの間にか、
ひとり、またひとり、メンバーが集まって、
ほぼ日らしい形でチームが立ち上がりました。

Shin;Kuuのことを知ってもらうには、
岡田さんを知ってもらうことが近道。

塗り重ねるのではなく、魅力を引き出すメイク。
五感にふれ、ごきげんになれるスキンケア。
Shin;Kuuで大切にしようと決めたこれらの姿勢へとつながる、
岡田さんが歩んできた道を、全5回でお届けします。

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第1回  ヘアメイクにしか、できないこと。

──
ほぼ日が岡田さんと一緒に、
ビューティのブランドを作りました。
はじめましての人に、
ヘアメイクのお仕事のことを
教えていただけますか。
岡田
ヘアメイクが10人いたら、
全員ちがうことを言うと思うんです。
私にとっては、ひとの美しさや魅力を引き出すこと。
飾ったり、上からスタンプするのではなくて、
そのひとのなかにある良さを、
どうやってひっぱり出すか。
──
ええ。
岡田
どんな生き方をしてきたんだろう?
まとっているオーラや仕草は?
そんなことを考えながら、
そのひとをもっとも素敵に表せるものを
ピックアップして、
それをメイクに置き換えていくんです。
──
それは、たとえば。
岡田
すごく目が澄んでいるひとなら、
その澄んだ目元を一番美しく見せるには、
どのメイクアイテムをどう使ったらよいか、
考えていくわけです。
──
なるほど。
岡田
マトリクスがこう、あるでしょう?
「華やか」とか、「クール」とか。
──
雑誌のメイクページでよく見る、
女性をキャラクター分けした表ですね。
岡田
あのマトリクスは、
ざっくり自分の要素がどう見えやすいかを
知る指標にはなるんですが、
いつもそれに従ってばかりいると、
量産型のような、特定のグループの
ひとにしかなれないんです。
「私らしく」なるためには、
そこからもうひとつ、
踏み込んでいく必要があるんです。

──
そのひとの魅力の核心へ。
岡田
ええ。踏み込んでいく技術は、
見た目のフォルムだけから
得られるものではないんです。
声や肌、髪の質感、悩みや希望といった
リクエストから感じる、
その人らしさのコアを見つけ出して、
それを、お仕事のテーマに照らし合わせ、
想像をふくらませて磨いていくわけです。
──
ヘアメイクさんは、
モデルや俳優の一番近くにいる人です。
カメラマンも、スタイリストも、
メイクルームの奥には入りこめません。
岡田
私は、シンデレラに出てくる
魔法使いのおばあさん気分です。
メイクルームでは、
美しくなれる予感いっぱいで
過ごしてもらいたいから、
道具をきれいに並べたり、
よい香りで迎えたいと思っています。
撮影テーマに合った雰囲気を、心の面でも作って、
カメラの前に送り出してあげたい。
それも、ヘアメイクの仕事です。
──
ヘアメイクとしてのキャリアは、ざっと……?
岡田
まず、美容学校へ。美容師をして、
それからサブファ(※)に入って、
そのあと資生堂に入社して、
30歳でフリーランスになりました。
資生堂に入社してからが、
ヘアメイクとしての人生のスタートです。
入社が23歳のときだから......。
※美容師の資格保有者を対象とした、資生堂のプロのヘアメイク養成学校。
──
人生の半分以上を、ヘアメイクとして。
岡田
今年で25年めかな。
はるか、歩いて来たものです。
──
地元の福岡にいらした頃は
どんなお子さんだったんですか?

(続きます)

2021-02-10-WED

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