80's
80代からのインターネット入門。
前橋の母Aが、Eメールで原稿を
送ってくるまでの物語。

最終章 そして卒業か (5)

あ、今回はぼくの名前が出てきています。
あらかじめ言い訳しておきますが、
ぼくは、単行本の区切りをつけるために、
「インターネット入門」ということばに関係あるテーマで
ラストレッスンを締めたかっただけなんですよ。
ブラウザの使い方って、
みんな意外に知らなかったりするからさ。

では。いざ、南波先生、お願いします。


さて、そろそろ午後のレッスンに移らないと、この
ままここに腰が据わってしまう。
美味しい「エサ」をどうもご馳走様でした。

iMac、ほろ酔いご主人さま相手に再び起こされる。

メール関係はひとまず終了ということで・・・
「いろいろとホームページ等、ご覧になってますか?」
話を切りだしてみる。
「重里さんからのリクエストで(笑)ブラウザの使い方を
またちょっと確認したいんですが」
「あーら、重里がまたうるさいんでしょ、レッスンして
くれって(笑)」
「いえいえ、そういうことではないんですけどね」

IEが起動される。

「ホームページはあちこちあまり見てないのよね」
ミーちゃんはもっぱらメール中心のようである。
「ノリコの方がいろいろと見てるわね」

「ちょっと失礼しますぅ」と「履歴」を拝見。
「ほぼ日刊イトイ新聞目次」と
「80代からのインターネット入門」
この見慣れた文字ばかりが並んでいる。
なんとなく微笑ましい光景だ。
律儀さを感じる。そして、忠誠心が見える。

「見に行ったところの履歴は都合によっては消し去る
こともできるので一応覚えておいてもいいですね」
「だいたい『ほぼ日』にしか行きませんけどね(笑)」
「そうですね〜。ま、これをゴミ箱に移動すれば
消えますし、そうでなければ、メニューバーから
『移動』の一番下の『履歴のフォルダを開く』という
のを選んで、そのウィンドウ内で選択、『消去』でも
消えますけど」

消す必要もないものを無理矢理消すよう言っている
ようで押し売り的な自分を感じたが、念のため何でも
知っているに越したことはないだろうと自分を納得させる。
ノリコさんには内緒の海外旅行計画を立てる際などには
もしや役に立つかも知れない。

さて、今度は検索エクスプローラーバーを使ってみよう。

「この『検索』っていうタブをクリックすると、
これは上のボタンバーの『検索』アイコンをクリック
してもいいのですが、左側に分割されたウィンドウが
開きますので、そこでネット上から目的のページを探し
出すんですよね。
以前、一番最初にちょっとですが使ってみましたよね。
また少し復習しておきましょうか」

接続する。
繋がらない繋がらないと騒いでいた頃が遠い日のことの
ように、当たり前のごとく接続に成功。

選択されている検索サービスに繋がる。
検索したいキーワードを入力すると、検索結果のリストが
その左ウィンドウ内(エクスプローラーバー)に表示
される。
そこでクリックしたページが右ウィンドウに表示される
わけであるが、このウィンドウの分割というのはなかなか
便利な機能だと思う。何カ所もトライしてみたい場合に
いちいちまた検索サービスのページに戻る必要がない。

5つの検索サービスが登録されているが、それぞれが
独自の特徴を持っているので、どれが一番役に立つと
いうふうには言えないが、今回はとりあえず「goo」で
試してみよう。

「何かキーワードを入れて検索してみましょう」
「え〜っと。そうねぇ・・・」
「何か知りたいこととか・・・」
「じゃあ、エリザベス。映画ね」
「あぁ、はい、それじゃ『エリザベス』と入力」

「あら〜、こんなにいっぱい!」と笑うミーちゃん。
はい、確かに。
「エリザベス女王」関連を始め、「エリザベス女王杯」、
「エリザベス」と名が付くあらゆるページをヒット。

「これは絞り込んだ方がいいですね。『映画』っていう
キーワードも加えてみます?」
「そうね〜」

今度は、主に映画「エリザベス」についてのものが
ネットから釣り上げられた。
まぁ、映画関連のページ上に、たとえば「エリザベス・
テイラー」などという言葉が含まれていれば、当然
そこも引っかかってくるわけだが。

世界の映画賞の各部門を受賞した豪華絢爛スペクタクル・
ロマン、「エリザベス」。
さすが、ミーちゃん。選ぶ映画が違う。

「この映画、今、前橋でも上映中だと思うんだけど、
それ、調べられます?」
「あぁ、そうですか。じゃあ、『エリザベス』『映画』
『前橋』とでも入れてみましょうか?」

「ありそうですね!このページに行ってみましょう」
「そうね。いつまでやってるのか知りたいわ」

ノリコさんも身を乗り出す。
画面を見入るお二人。
大袈裟に言うと、合格発表を待つかのような心境。
ミーちゃんやノリコさんを筆頭に、宝くじの当選番号の
発表時のドキドキには当然負けるだろうが。

「あ・・・」

不合格。クジ、はずれ。

「もう次の映画に変わってしまってますね・・・」
「あら〜、終わっちゃったの〜?残念!」
数日前までの上映であった。惜しい。

「高崎でもダメかしら」
意地で調べる。・・・ダメだった。やってない。
目の前の「エサ」に食らいつこうとした瞬間、夢から
覚めたようなものだ。

「また映画の上映情報を一刻も早く得るためにも
このページ、『お気に入りに追加』しておきましょうか」

よし、これで「お気に入り」関係の復習に移れそうだ。


さぁ、さらに明日の最終回につづくぞー。

2000-01-05-WED

BACK
戻る