80's
80代からのインターネット入門。
前橋の母Aが、Eメールで原稿を
送ってくるまでの物語。

第16章 あらためて、気楽に行こう(4)

今日のレッスンは、初心者の方々は、
いちど通読して、ざっと大意をつかんで、
あらためてはじめから読むとよくわかると思います。
このあたりは、誰でも一度はひっかかる問題ですからね。
わかってからだと、何をわからなかったのかさえ、
忘れてしまうようなことなんですけれど。

じゃ、まずいちど、ざっと読んでね。



ついでに、ヘッダの紹介もしておく。
すると、ノリコさんが、
「それなら、ちょっと使ってみたんですよねー」

ノリコさん、クラリスワークスの
「練習帳」ファイルを開き、見せてくださる。
自由にいろいろを試してみるために作ったファイルだ。

「ちょうどよかったわ。謎なんですよ、これがまた」
おっ・・・「謎」の登場にワクワク。

「それがねー・・・消えないのよ」
あー、また「消えない」トラブル発生だったのか。
消えてしまった、消えてくれない。
Mac、またご主人様をそれで悩ませていたのか。

「こんなふうにヘッダっていうのを使って
試しに書いてみたんですけどねー」
「あぁ、ヘッダですねー。
はい、こう使うのでいいんですよ。
それで、消えないっていうのは?」

「これ、もう要らないから消したはずなのよねー。
それなのに、後でこのファイル開いてみると、
またこの部分が復活して存在してるのよ、それが。
文章って、普通どうやって消します〜?」
「消したい部分を選択して、
[delete] を押せば消えるはずですよねぇ。
やってみますね」

全体をドラッグして選択。そして削除してみた。
はい、消えましたが・・・。

「私、メニューバーから『すべてを選択』、
そして『消去』ってところを押したんですけど、
難しいことしすぎちゃったからダメだったのかしら」
「いえいえ、マウスを使わないで
キーボードからその作業をしても全く同じことですから、
それでいいわけですが・・・それで消えましたよね?」
「ええ、その場では消えたんですけど、復活したのよ」

あ、もしかして・・・。

「じゃ、めでたく削除できたので、
ファイルを閉じてみますね。
そうすると、こういうメッセージが出て、
保存するか聞いてきますよね」
「そうですよね」
「それで、どちらを押しましたか?」
「これ、もう要らないわけだから『保存しない』って方を」

あ、やっぱり・・・。

「保存したくないから当然『保存しない』
という気持になりますよねぇ、やっぱり。
それがちょっと違うんですぅ」
「ん?」な表情のノリコさん。

「閉じる前にこの書類への変更を保存するかどうか
ということを聞いてきてるんですよね、それが。
『変更』ってところがミソでして」
「変更ってことは・・・私が削除したってこと?」
「はい、つまり、その削除を保存するかっていうことで」
「あー、消したっていうその作業をね・・・?」

保存するかどうか尋ねられた場合、
大切なものであれば
「保存する」をどうしても選びたくなるし、
もう要らないものであれば
「保存しない」の方を押したくなる。

ノリコさん、文章が要らなくなったので
「保存しない」を選んだわけだ。その気持、よくわかる。
でも、ここで尋ねられているのは、
「変更」を保存するか、しないか。そこなのである。

「なるほど、わかったわ。そういうことだったのねー。
なんだか英語のYES、NOみたいね、これって」
「ちょっとトリッキーかもしれませんよね、確かに」

Don't you like her?
「彼女のこと、好きじゃないの?」
日本語なら普通「いいえ、好きですよ」と答える。
でも英語なら「Yes」と答える。(Yes. I like her.)
ご存じの通り、
日本語の感覚のまま、
No.に続けて I like her. とは言わない。

ちょっと立ち止まって考えてみないと
咄嗟には納得できないようなこの感じが
確かに少し似ている。

「(消した)文章を保存しますか?」ではなくて、
「文章を消したこと(変更)を保存しますか?」
という意味であることを把握しなければならない。

要らない部分を消してしまいたい場合、
前者として考えれば当然「保存しない」を選ぶ。
後者なら「保存する」である。
ノリコさんは前者として捉えてらっしゃった。

「変更を、ってのを見逃してたわー」
ノリコさん、納得。
ミーちゃんはまだ疑問符のご様子。



『ここには中身のなくなったバッグがあります』
というようなことなんでしょうねぇ。
実は、これ、ぼくもけっこうひっかかってました。
なれている人には、何を悩んでいるかのほうが
わからないくらいなんでしょうけれど。

(明日につづくのですが、どうなるでしょう?)

1999-09-30-THU

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