80's
80代からのインターネット入門。
前橋の母Aが、Eメールで原稿を
送ってくるまでの物語。

第10章 レッスン6・そして網のなかに(5)


それまで、ミーちゃんは、「ほぼ日」のことを
まったく知らなかったのかと言えば、そんなことはない。
人間、助け合って生きていくものですからね。
ちゃーんと、親切なイシノさんが、毎日、
プリントアウトして持ってきてくれていたんです。
ありがたいですね。
インターネットと、プリントの組み合わせで、
ほとんどのメッセージは、日本中に届けられるでしょう。
これが、現在のネット・コミュニケーションだぜ!
おっと、ちょっとマッチョになってるぜ、オレ。
(エーちゃんのビデオをかけて仕事していたんでね)

南波先生に登場してもらって、
いつものテンションにもどしましょう。



手元には、それまでにプリントされた紙の束。
きちんとファイルに入っている。
「もう80枚くらいになるんですよ」
びっくり。
えんぴつで通し番号がふってある。
あとでハードカバーでもつけておこうか。

「土曜、日曜と、イシノさん、お休みで。
それに、今日はお店の定休日だから、もう3日分、
読んでないわけね」
「その日付けの方にもちょっと行ってみましょう。
ページの読み込みが終われば、接続を切ってからでも、
そこが読めますので、後でゆっくり」

一度読み込んだものについては(限度はあるが)
このマシーンが覚えていて、オフラインでは
その読み込み済みファイルが表示される。

IEの「オフラインでブラウズする」を選択する、
しないで、iMacの動作にどんな違いが生じるか等、
できるだけ簡単に説明したつもりではいるが、
たぶん「半納得」であろう。

やはり、何でも実際に自分でやってみないと十分な
納得は得られないはずだ。
後になって、
「そういえば、こんなこと聞いた気もするわね」と
思い出す程度でいいと思う。
何ができるものなのか、なんとなくわかっていただく
だけで今のところはいい。

さて、今度は「Yahoo!」の検索システムを見て
いただく。

最初からキーワード検索してもいいが、
暇な時などは、カテゴリー別の検索を使って、
テーマを絞り込んでいきながら、あちらこちら
遊びに行くのが面白い。

「海外旅行のところをクリックしてみましょうか」

「インターネットで予約できるんですってね?」
「そうなんです。便利ですよね」

では、もう少し絞り込んでみよう。

旅行会社がずらりと並ぶ。
「格安航空券」の文字にミーちゃんの目が輝く。
「やっぱり格安で行かないと(笑)」

すごい。格安チケットで海外を渡り歩く80代。

年齢を増すにつれ、人間、「安心」を高く買いそうな
ものだが。
ミーちゃんは、そんな必要以上の「安心」よりも
必要な「ワクワク・ドキドキしそうな楽しさ」を
買うのであろう。
もっとも、健康あっての必要性ではあるが。

某・観光会社サイトで、航空券情報をチェック。
「あ〜、○万円で行けるのね〜」
格安チケットに対する、ご自分なりの基準が
あるのだろう。さすが。
後でゆっくりと御検討ください。

ここで、ミーちゃん、しばし、飛行機体験談の
ほんの一部をお話くださった。

機内(まさか外の?)の露だか何やらが、
ちょっと傾斜している天井を伝わって集まり、
ミーちゃんと一緒のグループの、ある女性の頭上に
ポタポタ。
彼女、傘をさしたとか、ささないとか。(笑)

某・ロシア系航空機の太ったスチュワーデスさんが
食事を持ったまま、すってんころりん、したとか、
しないとか。(笑)

そんな楽しい話に花を咲かせているうちに、
「そろそろお昼ごはんですよ〜」
ノリコさんの声。

午前の部、素直に終了。必須、充電タイム。

外へ出てみると、雨は止んでいた。
いつも通り、「パティオ」でのランチ。
パリのカフェのような「ひさし」がついているので
雨でも大丈夫ではあるのだが。

今日はノリコさん、二階でお忙しそう。
染色教室を主宰。
お隣の調理場からお昼を運ぶノリコさんと
生徒さんたち。
あちらもランチ付きレッスンだったか。(笑)

お隣の店主であるハツミさん、ミーちゃん、私。
この3人が今日のテーブルメンバー。

ダイアル回線の話題から始まるインターネット話。

「ミーちゃん、同じ区域から引っ越してきたから
電話番号も以前と同じだし、NTTで何も変更する
必要がなかったんじゃない?
だから、昔のままの契約。ダイアル回線」
はい、そうですよね、ハツミさん。
ミーちゃんと私、大きくうなずく。

ハツミさん、
「マイナーな言語を使ってる国の人もホームページ
作るでしょ? で、その言語で書いたとしたら、
それはこっちのパソコンではどう見えるわけ?」
「あらかじめ入っている文字セットで、
いろんな言語に対応できるようになってます」
「じゃあ、その言語で表示されるってこと?」
「そうですね、はい」
「自動的に翻訳されたりはしないの?」
「特別なソフトを入れない限り、ちょっと
そこまでは」

ずっと疑問だったとのこと。
パソコンなら、そのくらいはできそうなもの、
との想像をされていたらしい。なるほど。
がんばれ、ブラウザ諸君!

いつも通り、美味しいデザート(赤福とムース)
までたっぷりといただき、満腹感が腰を重くする。
適度のアルコールも入っているわけで、
このまま心地よい昼寝に突入したいような。

雨が降り出した。
午後のレッスンへと私たちをせかすように。
空にまで気を遣わせてしまっているのだろうか。
ミーちゃんを取り巻く「タイミング」には
いつも驚かされる。


「インター」な感覚っていうの?
国際、とか?
そういう匂いが、してきていますよねー。
群馬県の前橋のある家が、この時から、
世界とつながりはじめるんだ。
そんなこと、ミーちゃんが生まれたころには、
想像すらできなかったことでしょうねぇ。
「時代は回る」ボブ・ディラン/中島みゆき。

(さらに明日につづくんです。がんばろう、俺たちも!)

1999-07-24-SAT

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