80's
80代からのインターネット入門。
前橋の母Aが、Eメールで原稿を
送ってくるまでの物語。

第7章 レッスン3は、晴れた日だった(2)


亀の歩みであろうとも、
我々は確実に、前に進んでおります。
今回は、いよいよプロバイダの契約手続きです。
ISDNの問題は、お読みになるとおわかりの通り、
予想がくつがえされました。
そして、うれしはずかし!
「メール・アカウント」候補の決定。
このあたりには、ミーちゃんは頑固になるんです。
なんでもいいわ、とは、絶対に言わない。

では、南波先生よろしくお願いしまーす。



今回の「ランチャー」は氷菓系。
赤福好きのミーちゃん、「雪見大福」を召し上がる。
まずは美味しいおやつをいただきながらの談笑。
もうこれがないとレッスンに突入できない体質に
なりそうだ。
まったく「先生」だか「飛び入り客」だか
区別が付きにくくなっている。

「せっかくMacの机も来たことですし、
今日は写真を撮らせていただきますね。
ホームページに載るかもしれませんよ」と私。
「あ〜ら、あははは、そうなんですかぁ〜?
そんなことかとも予想してたけど・・・
じゃあ出演料いただかないと!(爆)」

ご子息さま、早くマネージメント部門を
発足しておいた方が・・・。(笑)

さて、今日こそはプロバイダ申込書を
お預かりしていかないと。
ミーちゃんも同様なお考えだったようで、
さっそく申込書を取り出してきてくださる。

「回線の種類」を選ぶところで、ISDNについて
簡単に説明して差し上げた。
お電話がよくかかってくるとのことなので、
2回線分が利用できるなどの利点をお話しすれば、
もしや飛びついてきてくださるのではないかと
予想していたのだが・・・。

「あ、それは要らないわねぇ。
ノリコ用にもう1回線来てるし、
お電話くださった方も話し中なら
『あー、またインターネットやってるわ』
って思ってくださるでしょうから、
また後でかけてくるでしょう」
「あ、そうですよね〜。
一日中回線を占領するわけでもないですしね、
iMacは処理能力に優れてますから
データを読み込むのも速いですし、
ISDNは、そうですよね、要りませんよねぇ」

セールス・ウーマンには到底なれそうにない。
デジタルとアナログの違いを
簡単に説明するくらいが限界だ。

「話し中」イコール「インターネット中」という、
他者との暗黙の了解。
私自身の環境も、自慢じゃないが
一般のアナログ回線なので、よく人に言われる。
「ずっとインターネットやってたでしょう」
「昼間からそうやって遊んでるのぉ? 信じられなーい」
とも。
いや、あの〜、仕事するうえで必要なのです、
インターネットが。
しかし、やってない人に説明しても、
わかってもらえないことが多い。
また、「暗黙の了解」がなされてない人からの
「長電話してたねー!」とのお言葉もちょっと辛い。

仕事の合間についつい寄ってしまう
行きつけのサイトは確かにある。
そんなサイトに入り浸る合間に
ちょっと仕事をするような場合も、そりゃ確かにある。
でも、まぁ、これが私の生活だ。
でも、周囲との関係を保つためには、
やはりISDNにするべきなのか?
ミーちゃん周辺から、この先、
「お話し中」クレームが出ないことを祈る。

洗濯物干しながら掲示板に書き込みしても、
料理しながらリロードしても、いいじゃないか。
そういうネット主婦仲間はけっこう多い。
揚げ物する時までPCを離れなくなると、
これはちょっと危険だが。
(ん?そんな人、いないか・・・)

ミーちゃん、お庭いじりの合間にちょこちょこと
ネットライフを楽しんでくださることだろう。
どの程度ネットで遊んでくださるのか、楽しみ。

話がかなり向こうに飛んでいってしまった。
そう、プロバイダ契約の申込書の話だった。

ミーちゃん、生年月日を「大正××年」と表記するか、
それとも西暦の方がいいのかお悩み。
どちらでもいいのでは? と申し上げても
ちょっと「いいのかしらぁ」な表情。
結局「T ××年」と。
「大正」ではなく「T」なところがさすがモダン。
いや、「モダン」なんて言葉は失礼だ。この現代を
バリバリの現役で楽しんでらっしゃるミーちゃん。
同世代感覚でおつきあいさせていただける80代。
全国のインターネット「T」世代に乾杯!

後で裏面をよく読んでみたら
生年月日等はオプション的扱いだった。
でも「T」のプライドにかけて、
ここはもうはっきりと「T」宣言だっ。

あとは、メール・アカウント決め作業。
第3希望まで記入するようになっているが、
どうしても第1希望しか思いつかないようだ。
カタカナで「ミー」、ひらがなで「ちゃん」
これがご自身のアイデンティティであるようだ。
名前を選ぶという場面では
これ以外には考えられないとの印象。

ユキエさんも
「そうね、『ミーちゃん』でいいわよ。そう書いたら?」
ミーちゃん
「そうね。第2、第3希望欄は空白でいいかしら」
「う〜ん、でも、念のため、
何かしら書いておいた方がいいですね」
「何にしようかしら。考えつかないわ。
じゃレッスンが終わるまでに考えておきますね」
「はい、そうですね。お願いします」

でも、第1希望については今のうちに記入してしまおう。
別の紙に試し書き。
「こうでいいんですね?」とミーちゃん。

あ、やっぱり・・・。
カタカナとひらがなで、「ミーちゃん」だ。

「あ、すみません。こちらの例のように、
英数文字で、ということになっているんです。
インターネットでは・・・」と決まり事をご説明。
「あ、これじゃダメなの?」ちょっぴりがっかり。
改めてローマ字で「mi-chan」と。
よかった、8文字以内に収まった。
でも、もうすでに同じプロバイダ内に
存在してそうな予感もあり。
「みゆき」さんでも「みさき」さんでも
「みいこ」さんでも、
なんだか思い付いてしまいそうなアカウント名である。
「ミーちゃん」は「ミーちゃん」なのに
「ミーちゃん」と名乗れないとしたら
何だかとっても残念だ。
でも、「早い者勝ち」というルールには逆らえない。
「mi-chan」獲得成功を祈る。




思わず、俺も祈る。
しかし、ミーちゃんが、「mi-chan」になるのか。
この音引き「−」は、日本語だぜい、なんて、
杓子定規なことを言ってはイケナイ。
そういうルールの混血状態こそが、
新しい時代を生みだす原動力なのだ。
「セビルロー」が「背広」だぜ。
「アメリカン」が「めりけん」だぜ。
世代と世代の境界線のあたり、
文化と文化の汽水域のあたりにこそ、
いままでなかった何かが生まれいずるのだ。
・・・って、おおげさになっちゃったけど、
早い話が、「miichan」よりも「mi-chan」のほうが、
いいんじゃないの?
ということが、ぼくも言いたかったということです。

(明日に、またまたつづくんだ)

1999-07-02-FRI

BACK
戻る