| ── |
「座頭市」のあともアニメーション映画の
「東京ゴッドファーザーズ」の音楽を
やりましたよね。
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| 鈴木 |
うん。まあ、ちょっとだぶってやりつつ、
早めにテーマだけは作ったりして。
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| ── |
うん。
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| 鈴木 |
「第九」のムーンライダーズで
演奏するエンディングテーマは、
随分前に作って録音しちゃって。
それは、東京ゴッドファーザーズでは
エンディングをリズムに合わせて何かする、
ということだったから。
これもまたリズムなんだけど。
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| ── |
リズムだ。
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| 鈴木 |
リズムに合わせた絵を作りたいっていうんで、
早めに欲しいって。それはもう早めに。
座頭市以前に録音しちゃって。
長さだけ決まってるんで、
テンポ確認してもらって、先に作った。
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| ── |
それは音先。で、映像があと。
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| 鈴木 |
音先。
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| ── |
で、エンディングロールができたんですね。
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| 鈴木 |
その他の部分は映像があって、
あとから音を付けたんだよ。
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| ── |
「座頭市」は素晴らしい仕事、
っていうふうに思うんだけど、
「東京ゴッドファーザーズ」の方は
ムーンライダーズを聞いた気に
なりましたね（笑）。
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| 鈴木 |
そうだね、あれムーンライダーズ
総掛かりだからね。
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| ── |
今年ライダーズのレコードって
出てないんでしたっけ。
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| 鈴木 |
出てない。
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| ── |
出てないですね。
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| 鈴木 |
でももう１個出るよ。
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| ── |
え？
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| 鈴木 |
東京ゴッドファーザーズの中から
第九を「No9」というタイトルで。
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| ── |
ああ、なんか特別なやつだ。
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| 鈴木 |
SACDで5.1チャンネルで、
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| ── |
予約しました。けど、SACDも
5.1チャンネル持ってないんだけど。
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| 鈴木 |
大丈夫、大丈夫。三層になってるから、
もちろん普通のステレオでも聞ける。
ハイブリッドなんで。
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| ── |
5.1チャンネルっておもしろいですか？
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| 鈴木 |
あんまりにも5.1チャンが
映画で２本続いてて。
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| ── |
5.1チャンネル、
「ステレオサウンド」誌の取材で
体験したあとに、
すごいすごいって言ってましたよ。
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| 鈴木 |
そうそうそう。たまたま偶然
そういう取材があって聞いてみて、
しかも、仕事が全部5.1だったの。映画２本。
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| ── |
ふーん。
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| 鈴木 |
で、5.1マニアになって。
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| ── |
それはもう作る時から違うんですか？
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| 鈴木 |
作るところから違うね。
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| ── |
あ、違うんだ。
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| 鈴木 |
「座頭市」も「東京ゴッドファーザーズ」も
作る時から5.1を想定して作った。
だから大量なトラックが使えるわけ。
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| ── |
つまり今までのステレオっていうのは、
右と左のスピーカーがあって、
どんなにたくさんの音を入れても、
結果的に右と左からしか出て来ないと。
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| 鈴木 |
そうそう。それをいかに
立体的に聞かせるかっていう。
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| ── |
世界だったのが。
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| 鈴木 |
今度は立方体の中に
自分が入っちゃうってことなんだよ。
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| ── |
要するにスピーカーが、いくつ？
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| 鈴木 |
L、Rにセンター、それから後ろ2つ。
あとサブウーハーっていう低音用のやつ。
それが「.1」なんだよ。
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| ── |
「.1」か。それが「.1」か。
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| 鈴木 |
６個あるんだよ。
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| ── |
６個あるんだ。
それ用に作るってことは
それぞれのスピーカーから。
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| 鈴木 |
何を出すか。
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| ── |
音を出すかで変わると。
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| 鈴木 |
うんうん。そうそうそう。
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| ── |
それおもしろいですね。
新技術好きとしては。
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| 鈴木 |
だってそれ、10年以上前から
そうなったら音楽変わるぞって
言ってるんですよ。
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| ── |
うんうん。
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| 鈴木 |
で、なかなか現実化しなくて、
疑似サラウンドはあったけど、
ちゃんと5.1の仕事をするのは
今年がまあ最初と言っていいでしょう。
2000年の初頭に公開された、
「うずまき」っていう
ホラー映画の音楽をやった時も
実は5.1だったんだけど、
その時はタイトル通り、
音を回転させるためにしか使わなかった。
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| ── |
僕らがね、素人が思うのって、
想像するのって、
要するに飛行機が
後ろから前に飛ぶとか（笑）。
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| 鈴木 |
そうそう、そういうこと。
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| ── |
ああいうことですよね。
でもそれって映画の
効果音じゃないですか。
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| 鈴木 |
うん。
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| ── |
だけど、音楽でそれをやるっていうのは
どう違うんだろう。
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| 鈴木 |
ええとね、まずね、
いろんな5.1の方法があると思うんだけども、
演奏者の真ん中にいるように聞こえる。
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| ── |
ほお。贅沢だなあ。
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| 鈴木 |
全員が周りで取り囲んでる。
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| ── |
緊張しますね。
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| 鈴木 |
うん。もしくはライブとかでは
客席にいる感じだよね。
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| ── |
そうですね。
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| 鈴木 |
客の声が後ろから聞こえてきたり、
ホールにいる感じ。
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| ── |
はあ！
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| 鈴木 |
で、まあ、ものによっては
ものすごく5.1飛ばしまくるのもあるけど、
少しだけこぼすっていうのもあるし、
いろんな手段が取れると思うな。
ギター飛び出してきたり、聴覚的に。
弾いた瞬間に。
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| ── |
ほお。
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| 鈴木 |
っていうようなこととか、
さらには例えば音楽があって
歌詞があるとするよね。
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| ── |
うん。
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| 鈴木 |
歌詞の持つ量が変わる。
日本語ってね、英語と違って
大量な情報詰め込めないんだよ。
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| ── |
うん。
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| 鈴木 |
英語の場合はI'm gonna...。
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| ── |
あ、そうかそうか。
音に乗せられる言葉の量が多い。
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| 鈴木 |
１行でバッと入っちゃうでしょ？
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| ── |
入る入る。
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| 鈴木 |
日本語は１行になかなか入んないよ。
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| ── |
うんうん。
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| 鈴木 |
で、30年以上悩んでいたんですけど、これを。
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| ── |
そうだったんですか！
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| 鈴木 |
俳句のようにするか。
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| ── |
つまり、短い言葉に
意味を込めるかっていうことですね。
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| 鈴木 |
そうそう。それが、
サラウンドを使うことによって。
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| ── |
え、変わるんだ？
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| 鈴木 |
例えば、
「海辺で君と二人っきり」
ってのがあるとするじゃない。
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| ── |
うん。
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| 鈴木 |
その時、ザバンって波が来て引いた音があれば
言葉は「二人っきり」で済む。
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| ── |
はあ、そうかそうかそうか。
「海辺で君と」が。
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| 鈴木 |
省ける。
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| ── |
省けるんだ。はあ。
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| 鈴木 |
まだそれは誰もやってないけど。
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| ── |
意味としてはそういうことですよね。
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| 鈴木 |
うん。そういうこと。
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| ── |
で、年末に出るムーンライダーズの
「第九」の5.1チャンネルは、
そういう実験をしてるんですか？
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| 鈴木 |
それはね、元々5.1で作ったもんだから、
それはスタジオで、もしくは
映画館で聞いてるように聞こえるだけだけど。
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| ── |
ああ。よりそういうふうに
聞こえるぞっていうことね。
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| 鈴木 |
ただ１個、そういう最新技術を使いながら
バカバカしいことはしてるけどね。
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| ── |
ほんとに？
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| 鈴木 |
うん。
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| ── |
楽しみ。
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| 鈴木 |
5.1の人しか聞けないけど、
ムーンライダーズは６人でしょ。
６本スピーカーがあるから、
６人が各々のスピーカーを独占して
歌ってるんだな。
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| ── |
あははは。バカバカしい（笑）。
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| 鈴木 |
これはバカバカしいよ。
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| ── |
バカバカしいけど、
それは聞いてみたいなあ。
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| 鈴木 |
だから、かしぶちさん好きな人は
かしぶちスピーカーに寄ればいい。
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| ── |
寄ればいい（笑）。
ふーちゃん好きは
ふーちゃんスピーカーに寄ればいい。
ライダーズって全員歌うんですもんね。
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| 鈴木 |
で、サブウーファーって
低音が出るから、くじらになってるの（笑）。
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| ── |
くじらさん（武川さん）。
低い声ですからね。慶一さんどこなの？
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| 鈴木 |
俺はね、Lかな？ Rがかしぶち。
忘れちゃった。
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| ── |
聞いてみるの楽しみです。
でもシステムから買わなくちゃ
なんないんだよなあ。
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