モノポリーエッセイ

2007年度モノポリー日本選手権
全国大会結果報告(その10)


こんにちは。
モノポリー日本一を決める、
モノポリー日本選手権全国大会のレポートも
早くも10回目となりました。

現在、予選の2回戦が進行中。
2000年の世界チャンピオンでもある岡田豊さんが
早々と決勝卓への進出一番乗りを決めているところです。
残りの卓の様子を見ましょう。

4番卓では、
ゲーム開始早々にライトパープルの権利書が売り切れます。
購入したのは、近畿代表の長崎則久さんと、
九州代表の山本尚意さん。
ここで、実力者で常連でありながらも何故かここまで
「大会21連敗中」という不名誉な記録を更新中だった
山本さんが、早速交渉を仕掛けます。
「初勝利したいのでライトパープルを
 裸6軒で経営させてください」
会場のあちこちにいた観客たちも、
この場内に響き渡る声を聞いて、
「こんな開始直後に何事か」とばかりに、
集まってきました。

交渉相手の長崎さんは、
本当はまだしばらく様子を見たかったようですが、
この提示には心を動かされた様子で、
「5軒ならば」と回答します。

結果的に、山本さんは
手元に現金を590ドル残す条件で
ライトパープルを揃えました。
即座に、家を5軒建てます。
他の選手の中にはまだ1回しか
ダイスを振っていない人もいるような
非常に早いタイミングです。
いきなり自分がこれからいく土地に、
軒数こそそれほど多くはないとは言え、
早々に家が建っている状況を見て、
果たしてどう思ったでしょうか。


(ゲーム開始直後に
 いきなりライトパープル5軒スタートで、
 全国大会21連敗で終わらせようと気迫をみせる
 山本さん<左>。
 他のプレーヤーは渋い表情)

雰囲気に飲まれてしまったというわけでは
決してないでしょうが、
選手たちは続々と
このライトパープルに止まってしまうのです。
このライトパープルは
見事に他のプレーヤーが続々止まって、
どんどん成長。

しかしもちろん、
いつまでも黙ってみているようなメンバーではありません。
土地が続々売れていくのを待って、
交渉を続け、反撃体制をまとめていきます。
対抗馬として出てきたのは佐藤英一さん。
オレンジで追い上げます。
オレンジというカラーグループの
「地力の強さ」から考えても、
このまま逆転しそうな勢いです。
山本さんもそれは百も承知。
その佐藤さんがレッドの手前にいる時点で、
すかさず、長崎さんとカラーを交換して、
経営カラーをレッドへと切り替えます。
果敢な経営戦略といえるでしょう。
*経営するカラーグループを切り替える
 勝率の悪いカラーグループは力不足ですので、
 一時期繁栄したとしても、
 勝率の良いカラーグループに
 徐々に追い上げを食らう可能性が高いです。
 そこで勝率の悪いカラーグループではそこそこ儲けた後、
 勝率の良いカラーグループに
 経営を切り替えるのが上策といえます。
 今まで経営に成功していたカラーグループを
 すっぱり捨て去り、
 新たな挑戦をするわけですので、
 なかなか決断できない人も少なくないです。
 人間誰しも保守的な側面をもっていますから、
 経営切り替えは結構難しいものとなりがちです。
 近年のモノポリーでは、
 このカラーグループの経営切り替えの決断力が、
 最も重要な能力の一つといえます。

しかし今回はこの切り替えが凶と出てしまいます。
代わってライトパープルを経営した長崎さんが
どんどん成長。
結果的に長崎さんがモノポリー勝利します。

山本さんは、
「そのまま黙ってライトパープルをやっていれば‥‥」
と思わず言われてしまいそうですが、
これはあくまでも結果。
実際には、確率上の強さが全く違うことからも、
ライトパープルからの転換は、有力な戦術です。

さて2回戦までの成績です。
1位 岡田豊 175点 予選通過
2位 白井孝 120点 (対戦相手平均:46点)予選通過
3位 荒川弘樹 120点 (対戦相手平均:43点)
4位 長崎則久 120点 (対戦相手平均:22点)
5位 大久保峰夫 79点

前述のように、
早々にトップ通過を決めたのは岡田さんです。
それまで暫定首位だった荒川さんと白井さんは、
岡田さんとの「直接対決」で破産したため
ポイントを伸ばすことができず。
3名が120点で並ぶ展開となりました。
同点の場合にはルールにより
「対戦相手のポイントが高い選手」、つまり言い直せば
「より強い者と戦ってきた選手」を
上位とすることになっています。
これにより、なんとたった今、
岡田さんに破産させられた白井さんが
暫定2位へ浮上となりました。
岡田さんと白井さんは決勝進出です。

荒川さんはこの白井さんと比べて、
ほんのわずかの「対戦相手の成績の差」により、
この時点ではまだ通過ならず。
3回戦へ望みを託すこととなります。

決勝へまずは2名が名乗りを上げました。
残る枠は3つ。
その3枠をかけて、22名が続けて予選3回戦を戦います。
いったい誰が抜け出すのでしょうか。

(原文:1999年モノポリー日本チャンピオン 宮野徹
 監修:日本モノポリー協会専務理事・
    2000年モノポリー世界チャンピオン 岡田豊)

2008-02-25-MON

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