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第121号 少年の後ろ姿は切ない。
(※昨日からひきつづき、
ここ数ヶ月の「なごみとホロリ」の
バックナンバーを、すべておとどけします。
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●姪が3歳くらいの頃。
「‥‥だけど」と「でも‥‥」がまざって、
「‥‥けも」と言っていました。
(くみ)

●会社の近所での出来事です。
会社のお使いで
せかせか道を歩いていた時でした。
桜やイチョウの木のある家の前で
3歳くらいの女の子が
一生懸命道端で何かを探しているのです。
(落し物かな?)
そう思いつつ見ていると、
その女の子は、桜やイチョウの
落ち葉を見つけるたびに、ちょっと離れて
その子を見守っているおばあさんに
落ち葉を嬉しげに渡しにいくのでした。
それはもう、満面の笑みで。
おばあさんも嬉しそうに落ち葉をもらって
大事にその葉っぱを持っているのでした。
そういえば子供の頃、
綺麗な落ち葉って貴重品だったなぁ、
などと思ってしまった。
イチョウの葉っぱって地面に落ちてると
たいがい端っこが欠けてたりして。
形が綺麗に整っている葉っぱを見つけると
なんだか嬉しかったっけ。
なんてことはない光景ですが、
冬のこの忙しい時期に
ちょっとほのぼのとした光景でした。
(茜)

●うちの息子が小学校一年の冬のある日。
「ママ、おリボン座がきれいだよ」
と言いました。
おリボン座?
とっさに「オリオン座」の
まつがいだと気づきましたが、
「リボン」に「お」がつくあたり、
育ちのよさも表われているんじゃないか
と、間違いを指摘しないでおきました。
(RUN)

●少年の、後姿は切ない。
ピークは、3〜4歳から
小学校の4年くらいまででしょうか。
和菓子屋さんのショウウィンドゥの前で、
俯き加減に財布を覗いているらしい、
少年の後姿。
寒風が吹く中、電車に乗り遅れまいと
急ぎ足で歩いていると、
流行の歌らしきものを大声で歌いながら
元気よく、大きさな身振りで踊っている
お姉ちゃんをジッと見ている弟らしき、
少年の後姿。
ちょっとした残業を終えて、
やっとという思いで家に帰り着くと
「おかえりっ!」とテレビに釘付けで
振り向きもせず言い放つ、
私の息子でもある少年の後姿。
いろんなシチュエーションがあるけれど、
なんだか今思い返してみても、切ない。
少年のうなじには、どういうわけか
ミゾというか、スジというか、
そんなものがあるんだけれど、
それがあるから切ないのかな。
うなじのスジがなくなると、
後姿の切なさも
消えてなくなってしまうのかなぁ。
(お)

●わたしは39歳サラリーマンですが、
カマンベールチーズを、ついつい、
「カモンベイビー・チーズ」
と言ってしまいました。
(こ)

●私の大事な人は、
中学の同級生だった人です。
絵が本当に上手い子で、
彼がノートに書いてくる
マンガの続きを読むのが
いつも待ち遠しかったのを覚えています。
中3の受験期、私が
ちょっと体調を壊してしまったこともあり、
不安な入試の前日を迎えていたのですが、
その時、彼が、
「受かるようにお守りを書いてやろう」
とノートの切れっ端に、
いつもの脱力系のイラストと、
『合格祈願』と書き、私にくれました。
なんの気なしにもらって、
ペンケースに入れ、
3つの高校を受けたのですが、
全て受かりました。
それから、「縁起いいのかな」と
ペンケースに入れたままで、
高校時代を過ごすことに。
彼とは高校が反対方向に離れ、
まったく会うことも無くなりました。
高校3年のとき、留学することに決め、
イギリスの学校を日本で受けたときも
もうボロボロになっているそのお守りは
私のペンケースにあり、
そして希望校に入ることが出来たのです。
むむむ、これは効力ホントに大だぞ?
‥‥と思い始めたころ、
地元のバイト先で再会して、
また交流が始まり、彼は私の留学先にも
友達を連れて遊びに来たりしました。
その時にこのお守りの話をしたのですが、
案の定、なーんにも覚えておらず、
「オレのおかげかー」
と威張られてしまいました。
今、どちらも社会人です。
彼はデザイナーとして
フリーで頑張っています。
会社を辞めるのも勇気が要ったでしょうし
親の世代から見ると、
イマイチ信用しきれない
フリーのデザイナーという仕事。
フリーになる頃、
「親父と一緒に大きな顔で
メシを食うまでは
もうちょっとかかるかなぁ」
と言っていた言葉が忘れられません。
恋愛感情とはまた違うけれど、
そんなにしょっちゅう
会ったりするわけではないけれど、
私にとっては、頑張る気持ちを
後押ししてくれる大事な人の一人です。
貰ったお守りは、
今も手帳の中にあります。
紙がボロボロ過ぎて、
折り目を開くこともできませんが、
見る度に、与えてもらった
この安心感を、いつか返せたらと思います。
「こういう仕事したよー」と連絡が来て、
それを見るときの気持ちは、
中学の頃、ノートに書いてある
マンガのページが増えるのを
楽しみに待っていたときと同じです。
この先も、実家は近所だし、
なんだかんだで友達でいられそうですが、
いつか、「すごいな」と
こっちが言うばかりでなく、
あっちにも言わせてやる、と、
密かに努力しています。
負けたくないし、
恥ずかしくないようにしたい。
前に進む原動力になる、
私にとっての、「だいじな人」です。
(匿名のかた)

●今やニキビ面になった息子が
保育園に通っていた頃のこと。
帰り道で明日の映画鑑賞会の話を
聞いてみたところ、
「何を見に行くの?」
「かぁしゃん、カルピスの少女ハイジさ」
行き交う人がおかしさのあまり
足を止めていた。
(イデオン)

●4年前の獅子座流星群のお話が
「なごみとホロリ」に載っていたのを見て、
メールを書いています。
その時間、母に起こされました。
私の実家は瀬戸内の島。
私は大阪に就職して住むようになって
10何年になります。
その年、たくさん星が降ると聞いた母は
数日前から「降るんだって!」と
電話をかけてきて、留守であれば、
「何時ごろだから起きてみるように」
と入れておくほど大興奮。
でも、大阪の、それも
高速がすぐ右上を走る私の家では
「星を見ようにも
明るすぎてこりゃ無理だわ」
と諦めていました。
そして当日。
寝ていると深夜電話が鳴りました・・・
母です。
「見てるー?!
私は今おとうちゃんと庭に出てるの!
すごいわよー!!!」
と興奮気味の母。
「・・・見てないし、寝てた。
見ても見えないし」
と寝おきを起こされ、
怒りすらちょっと覚えつつ
興奮している母の報告を聞き、
なんとか見てみろ!という母の電話を
はいはい・・・と切りました。
かわいいのーと思う気持ちと
起こしてまで見させるか?
とあきれる気持ちといろいろでしたが、
見えないとわかりつつも
しゃらっとカーテンを開けて
夜空を眺めてみました。
やはり煌煌と高速のライトや街頭が輝き
空は明るく星は
ほとんど見えませんでしたが
きっと夜になると真っ暗になるあの島では
たくさんの星が降り落ちるさまが
見えているのかと思うと
「今同じ空を見て
母が笑っているのならばいいか」
となんだかぽっと心があたたかくなり、
床につきました。
(ぽん)

●「なごみとホロリ」に虹の話があり、
それで思い出した凄い虹の話があります。
その特別な虹を見たのは10年以上前。
突然にわか雨が降ってきたのですが、
降ったのはうちのビルの周辺の
極狭い範囲だけのようで
回りは明るい青空のままでした。
「狐の嫁入りだ」
ちらっと思っただけで
下を向いて仕事を続けていると、
窓の方が騒がしくなってきました。
「おお!凄い虹〜〜〜〜!!」
「綺麗やな〜♪」
顔を上げると、窓の外には
物凄いくっきりとした虹が見えました。
しかも、私の会社の事務所は大阪駅近く
33階建のビルの20階にあり、
隣のビルまでは道一つ挟んだだけで、
15mほどしか離れていないのに、
虹はその手前に見えたんです。
慌てて窓に駆け寄って見ましたが、
下を見てびっくり仰天。
その虹は地面まで繋がっていたのです。
つまり、自分の立っている場所を
中心として270度ぐらいの丸さがある。
しかも、それは1本じゃなくて、
くっきりした虹の外側にもう1本
少し薄い虹がある2重の虹だったのです。
もうフロア中の人達が
窓にへばり付いていました。
結局5分ほどで雨は止み、
虹も消えてしまったのですが、
その虹を見た人達は
皆の顔には満面の笑みが浮かび、
余所から来たお客さんも
「いや〜、良いもの見せてもらいました」
と、嬉しそうにしています。
その日は1日中その話題でもちきりでした。
多分2度と見れないと思うのですが、
その時の美しさと、見た人みんなの
幸せそうな顔は忘れられません。
(匿名のかた)

●彼氏と別れる時にも、まるで経理のように
「そのことで生じた得と損」について
収支計算をしてしまうというメールを、
「なるほどなぁ」と読みました。
私も6年間つきあって、
途中からは週末を
ずっと一緒にすごした彼と別れました。
独りになると、もっともっと
孤独で淋しくて耐えられないのでは?
と想像していたのですが、意外と平気。
部屋の掃除も遠慮せずに好きにできるし、
夜中の好きなTV観られるし、
何より1人で過ごす週末が新鮮で!
つきあい始めた頃、デートして別れた後、
淋しくて淋しくて電話しちゃっていた
自分が嘘のようです。
こうして独り上手な大人が
増えていくんでしょうね。
独りでも大忙し。独りでも充実。
最近私の周りにもそういう人が多くって、
出生率はますます下がる一方かも。
(momo)

●私がよく行くうどん屋さんはおいしいし、
家族で経営されていて
とても雰囲気がいいのです。
昨日もおいしくいただいていると、
隣に座っていた40代くらいの男性が
「うどんを持ち帰りできますか?」
と尋ねていました。
家に病気で寝ている人がいるので、
材料を持って
帰って作ってあげるというのです。
お店の人は快く了承され、
男性が銀行で用事を済ませている間に
山菜うどんの用意を
しておくことになったようです。
しばらくして男性が戻ってくると、
お店のお母さんが、
「ご主人、きつねうどんも
一緒に入れておきましたから
よかったら召し上がってください」
と言って、
作り方も丁寧に教えてあげてました。
うどんを持って帰る男性も、
余分にうどんを持たせてくれるお店の人も
とっても温かいなあと思ってしまいました。
(たちばな)
(※バックナンバーのつづきは、明日、おとどけします)
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