ダ・ヴィンチ×ほぼ日刊イトイ新聞共同企画 中島みゆきさん、おひさしぶり。 ややこしくておもしろい、歌をつくるということ。
どうしてそんなに子だくさんなの?
糸井 「夜会」で観念的なところ、
例えば、時間の継ぎ目の話とかが出てきたときに、
この人はいったい、いつ、
そういうことを考えてるんだろう?
って思うんです。
中島 ははは。
糸井 観ながら、そのことについて
深く考えちゃったりします。
中島 あらまあ。
もしかしてあの「夜会」のお客さまは
みんなそうやって考えちゃってて、
芝居全然見てないのかしらね。
糸井 かもしれない。
で、歌の場面になって安心してたりして。
中島 あははは。実は歌の歌詞のところに
ポイントがあるのに、
全然聞いちゃいねぇわ状態だったりして。
糸井 あやしいね。
中島 ね。
糸井 あやしい、あやしい。
中島 「ストーリーがちょっとよくわからなかった」
っていう声があったりして、
「え? どこが? あれは歌詞で
 答えを言ってたじゃない〜」と。
「あ、そうだったのー!」
「何見てたのよー?」(笑)って。
糸井 そういうこと、あると思う。
中島 ね。
糸井 あのね、自分のことや、
あれこれ考えちゃうんですよ。
結局何かを見てるつもりで、
見てないんだね、きっと。人って。
中島 あ、なるほど。そりゃそうだわね。うん。
糸井 で、実はぼくもそういうことしてるんですよ。
「夜会」に行ってるときって
自分のこと考えてる時間がものすごく長い。
中島 それはある意味、
ありがたいことですけれどもね。
糸井 そういうことはあまりないですから、
すごいことだと思います。
すーっと食い入るように
その世界に連れてかれちゃうってのもあって。
中島 うんうん。
糸井 それは、恋というか結婚みたいなもんでさ。
あの舞台だと、一緒に、こう、
暮らしてるみたいな。
中島 あははは。なるほどね。
糸井 あなたはお芝居なさってる。
わたしはわたしでちょっと今、考え事がある。
みたいな。そういう不思議な時間ですね。
中島 そうですか。
糸井 みゆきさんの歌もそうですよ。
中島 そうですか?
恋ではなく、結婚しちゃってるんですかね。
糸井 結婚しちゃってるんです。
中島 あははは。
糸井 歌い手としてそんなこと言われたら嫌かな。
中島 いや、わたしは
子供を嫁に出すような気持ちで発表してるから、
嫁いだ先でどんなになるかが楽しみなんですね。
いつまでも実家にいられちゃ困るわなあ。
糸井 だったらものすごくうまくいってるってことだ。
中島 ってことですよね。
嫁いだ先で実家どおりの味噌汁しか
絶対作らんっていうんじゃ、
この子どうなるのかなって心配に思うけど。
糸井 そうそう。
中島 ね。行って帰ってきて、
里帰りしたときに作ったら
味噌汁の味が変わってると、
おお、うまくいってんだなって思いますわね。
糸井 ああー。お母さんとしてはね。
中島 はい。お母さんとしては。
糸井 お母さんは、どうしてあんなに子だくさんなの?
中島 あははは。
糸井 あははは。
中島 何でなのって言われてもね(笑)!
糸井 嫌んなっちゃったりしない?
中島 ええー?
糸井 誰だって疲れて止まったりするじゃない。
中島 はあ。
糸井 産み続けてるじゃない。
中島 ニワトリかしら。
糸井 多産系っていうか。
中島 多産系なんですかね、わたし。
いや、でもね、今、
コンサートツアーの曲目を決めたり、
歌詞を覚えるために昔のCDを
片っ端から聴き直したりしてるんですけどね、
前は結構たくさん書いたなーと思ってたんですけど、
よくよく聴いてみると、
あれ、あんまり書いてないなって最近思ってるんです。
糸井 あれ、そうですか。
中島 こんだけ? って。
糸井 そういうもんなんですか。
中島 思いましたね。なんだ、これしかないんだって。
 

(つづきます!)

2007-09-10-MON
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