糸井	皆川さんの頭の中にしかないものを作っていったんで、 手帳カバーで、その皆川さんのイメージが 再現できるのかどうかっていうことは、 結構、最後までじたばたしてましたけど、 ──できたと思います。
皆川	きっと普段の工程と違う工程ですよね。
糸井	大変そうでした（笑）。 いろんなチームが並行して動いてるんですけど、 これは、たしか皆川さんの中で最後にどたばたと、 うわぁーっ！　みたいにしてやってたもので。 多分、工場の人なんかも、 「本当にこれやるのかよ」って（笑） 言ってたようなものだと思います。 そんなことを、 人に迷惑を掛けながらやっていくのが、 案外、１つずつの仕事ですけど、 普段はもっとおやりになってるんでしょうね。
皆川	そうですね。
糸井	泣かせてるでしょう（笑）。
皆川	泣かせて、笑わせるみたいな、 っていうことだといいんですけど。 確かに工場では 「やったことないけど、やってみて」 っていうのは多いですよね、きっと。 ‥‥糸井さんもですよね。
糸井	僕もそうですね。僕なんかは、 毎日、「ほぼ日」が11時に更新されるんですけど、 10時くらいになって、 「やっぱりこれさぁ」って言う時が。
一同	（笑）
糸井	いや、みなさん、笑いますけど、 申し訳ありません、ほんとにあるんですよ。
皆川	ありますね。
糸井	で、もう１回言うこと聞いてもらうためには、 その結果に、 「あぁ、してよかったですね」 って言ってもらえないと。
皆川	そうなんですよね。 「あとここちょっと」っていうのが。
糸井	多分、そんなことだらけで やってきてらっしゃると思います。 今年も、皆川さんの「作品」、 ‥‥という言葉を使うと妙なんですけど、 いわゆる商品じゃない、何か、オーラを感じるんで、 あえて「作品」という言い方をしますけど、 そこに、皆川さんから 「提案があるんですけど」と、 後からラインナップに加わったカバーがあるんです。
	タイトルは「smile」。 「今年」ってことを意識して、 下を向いていないで、 笑いながらやれたらいいなっていう 気持ちがあるんですが、 この「smile」が出てきた時のお話を、 皆川さんから、お願いできますか。
皆川	奇しくも、本当に2012年の 「ほぼ日手帳」のテーマが「smile」なんですね。 自分がこれを思いついたきっかけは、 震災の時に、 「ほぼ日手帳」を失くされた被災地の方に、 もう一度手帳をお送りするという プロジェクトをされているのを知って、 「それ、すごく素晴らしいな」 と思ったことです。 そして、新しい年になった時も、 きっとその被災地の方たちは、 「ほぼ日手帳」をいつものように 使いたいだろうと思いました。 手帳は毎日使うものですから、 「smile」、笑顔があったら、 １回はその顔を、「smile」を見る。 そんなところから１日が始まったら いいんじゃないかなぁと思って、 ちょうど糸井さんと対談する機会に提案しました。 これは、油性のマジックで描いたものですが、 もしかしたら混ざっちゃって わからりづらいかもしれないから、 カスタマイズできたら、 自分の表紙になって楽しいんじゃないかな、 っていうのもあって、 このシンプルな「smile」という、 僕らの、何年か前に出した図案の１つを、 もう一度描き起こして、 今回のカバーにさせていただいたんです。
糸井	ちょっと皆川さんに似てるんですよ（笑）。 今日、小さなイベントですけど、 あえてこのように落書きするっていうのを、 皆川さんご本人にやってもらおうと思って。 世界に１つしかないものができます。 ‥‥大胆ですよ、ご本人だから（笑）。
一同	（笑）
糸井	だってね、名前書いただけでもいいんですもんね。
皆川	そうですね。本当に何でも。 家族がいらっしゃる方だったら、 子どもの絵も足しちゃって、 ファミリーみたいにしてもいいしなぁと思ったり。 どうしようかな。例えば‥‥、髪型を。
糸井	（笑）
皆川	‥‥で、ここに名前を、例えばですけど。
糸井	あ、大変だよ、スギちゃん。
一同	（笑）おぉーっ（拍手）。
糸井	うわぁーい。わーい（笑）。 これはいいじゃないか。 これさ、僕さ、事と次第によってはさ、 全国の皆さんに抽選でとかさ、 そういうことを言うかもしれなかったのに、 もうだめだ（笑）。
一同	（笑）
糸井	かわいい。なんていうんだろう、 ご本人が描き足したからだけじゃなくて、 スッと入っていけるようになって。 ありがとうございます。
皆川	はい。
糸井	で、もうちょっとこの 「smile」についてお話がありまして、 この「smile」に関しては、 収益の一部を、寄付しようと思っています。 震災で被害を受けられた子供たちの お手伝いになるような 使い方をしたいっていうことで、 「あしなが育英会」に寄付しようと 思い当たったんです。 皆川さんが、 「これを寄付します」って言った部分と、 「ほぼ日」から寄付できる要素、 もう１つ、ロフトさんが その話に乗ってくださいまして、 それをみんなで持ち寄って、あるお金にして、 「あしなが育英会」にお渡しできるようにします。 皆川さんが提案してくださったおかげで、 （ことしのテーマカラーである） 黄色っていう色の意味がまたポンと上がったり、 いろいろうれしかったです。
皆川	僕も今日、こうやって発表会に呼んでいただいて 飯島奈美さんのおいしいお弁当もご馳走になって、 すごく楽しい時間だなと、 個人的にも楽しませていただきました。 ありがとうございました。 （おわり）

2011-11-07-MON