本の装丁のことなんかを
祖父江さんに訊く。

(雑誌『編集会議』の連載対談まるごと版)

第5回 人を育てる秘訣が、わかった。


 
糸井 祖父江さんのいるところって、
ぜんぶ、かたよってはいるけども、
一級ですよね。
祖父江 何かしらないけど、そうですね。
糸井 工作舎だって、そうじゃないですか。
入りたいと思ってる人もいるでしょ、たぶん。
祖父江 あの当時、アシスタントが
すごく多かったんですよ。
だから行かないと、自分の席がなくなってて。
糸井 はあ・・・。
活気はあったんですね。
祖父江 活気はあって、
大きな部屋で机を並べてやるんですけど、
ちょっといないあいだに、
自分の席だと思っていたところに
違う人が座っている。
糸井 それ自体が楽しいの?
祖父江 それと、仕事をしているというより、
サークル的な、活動をしている感じが
あったんですよ。出版っていう活動。
何か宗教的なところもあったけど。
いや、いや・・・まあ、そんなこんなで。
糸井 そっからは、装丁の人になっていくんだ?
知らないうちに。
祖父江 そうですね。
工作舎の時は、出版はそんなに
売り上げなかったので、広告チームにいて、
とにかく何か作りたかったんですよね。
糸井 工作舎の時は、
本のチームじゃなかったの?
祖父江 ええ、広告チームで。
郷ひろみだとか資生堂とかシチズンとか、
そういったものをお手伝いしていたんです。
工作舎の中で本づくりをしているチームがあって、
うらやましいな、とずっと思ってて。
糸井 逆、逆でいくんだ、ぜんぶ。
祖父江 そうですね、逆です。
糸井 じゃあ、本の知識みたいな、
祖父江さんというと、
みんなこう、編集者たちが、
祖父江さんと装丁をやると
計画が末端までかっちりしていて、
ほんとにいいと言うのですが、
あれはいつ勉強しました?
祖父江 あれは、
本をやりたかったからかもしれないですね。
広告をやらされていたので、
本をやりたくてしょうがなくて。

工作舎に、資料とかがあるじゃないですか。
みんなが床にだーっと寝てるところで、
そこで資料を見ながら、こうやってるのか、とか
やりたいな、という気持ちで見ていたんですよ。
糸井 と言うことはさあ、
ひとを育てるには、させないで
飢えさせるのがいちばん
かもしれない。
祖父江 (笑)
糸井 いま、自分で社員に
そんなことしていないでしょ?
祖父江 教えちゃってる。
糸井 ねえ?
あ、いまの、すごいいいヒントだね。
だから「するな!」って(笑)。
祖父江 「だめだ!」って。
糸井 「お前は、こっちをやれ」(笑)。
祖父江 やりたいことはやらせないで、
そうか、それがいいのかぁ・・・。
糸井 みんなに面接して、
「いちばんやりたいことは?」って聞いて。
祖父江 「これやりたいんです」って言ったら・・・。
糸井 (笑)
「わかった。一切やるな」って。
祖父江 それ、手かも。
糸井 でも実際、そうでしたよね?
祖父江 うん。
糸井 なんかいま、じーんとした。
自分もそうだったんだろうなあと思ったから。
できたらいいなあ、と思うことは、
勝手に勉強しますよね。
祖父江 そうですよね。
そういうのって、覚えちゃいます。
覚えなきゃいけないものって、
何か覚えられないですよね。
糸井 邱永漢さんが、
みんなが麻雀をやるのに
徹夜でも何でもするけど、誰も文句言ってない、
あんなたいへんなことを・・・、って言うけど、
そういうふうにやれたら、いちばんいいですよね。
実際だから、祖父江さんが
本を知りたいという時には、
麻雀とおんなじようにやってたんだ。
祖父江 ええ、そうですね。
糸井 もし、そこのところで
ギャランティされてたら、
あ、このへんのところでやめておこう、
って思っただろうね。
祖父江 そうだ。
糸井 これ、中小企業懇談会としては、
非常に重要な会合
でしたね(笑)。
祖父江 (笑)そうですねえ。
糸井 まったくそうだ。

(つづく)

2001-03-20-TUE

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