本の装丁のことなんかを
祖父江さんに訊く。

(雑誌『編集会議』の連載対談まるごと版)

第2回 恥ずかしいですけどね・・・。


 
祖父江 本が何か苦手で苦手で・・・。
姉がいるんですけど、
姉は本を好きだったんですよ。
糸井 遺伝子が、かたよっちゃったわけだね。
祖父江 かなりかたよっちゃったんですよ。
そうなんだろうなあ。

絵本にもリアルな絵が書いてあって、
こどもの頃、絵か写真か
わからないものがあって、
こわくてね・・・。
絵か写真かわからないから。
糸井 あ、絵か写真か
わからないから、こわいんだ。
ふふふふ(笑)。

写真だと、ほんとにあったみたいだもんね。
赤ずきんちゃんが、
食べられちゃった、とか。
祖父江 だから、見るの、嫌んなっちゃったんですよ。
何か苦手だったんですよ。

だけど、浪人した時に、
勉強しないといけないじゃないですか。
糸井 うんうん。
祖父江 二浪はさせてもらえないな、とか。
そうなると、教科書とか参考書とかを読むんだけど、
やっぱり、読まなければいけないものって、
嫌なんですよね。
糸井 (笑)うん。
祖父江 それで、まず、どうせだったら
こっちのほうがいいよなって、
つくり話とかが好きになったんですよ。
糸井 え、好きになったんだ!今度は。
祖父江 急に好きになったんですよ。
糸井 ええ〜(笑)。
うん、うん?
祖父江 逃げてばっかりですよね。
糸井 高校を卒業してから、
こっちのほうがましだと思ったら?
祖父江 そしたら、何か、おもしろくて。
糸井 その時、何を読んでいましたか?
小説ですか?
祖父江 その時、小説あまり読まなかったです。
糸井 小説じゃなかったんだ。
何を読んでました?
祖父江 うーん・・・。
恥ずかしいですけどね・・・
工作舎の本を。
糸井 へぇ。そっちに行くんだ、いきなり。
極端ですね。
祖父江 極端なんですよ・・・。
ちょっとねえ、あぶないでしょう?
糸井 読まない奴が、いきなり工作舎。
祖父江 宗教が、入ってるでしょう?
糸井 近いものがありますね。
農村でたがやしていた人が、
いきなりオウムに入っちゃうような・・・。
祖父江 うん。
糸井 はあ・・・。
祖父江 「おまえ、かたよった会社の
 ものばっかり、読むなよな」
って言われたりもして(笑)。
糸井 (笑)
祖父江 そう言えば、そうだよな、と思って。
糸井 それが、18歳くらいのこと?
祖父江 そうです。それで大学に入って。
糸井 何科?
祖父江 グラフィックデザインで。
寮生だったんですよね。
学校も、ほかの人の返事もしちゃうくらい
熱心に単位をとってたんですけど。
あの、構内に寮が建ってるから。
糸井 勉強は、できる子だったんですか。
祖父江 勉強ができるというより、
単位のとれる子でしたね。
で、単位をとっていたけど、
何か本が好きで・・・。
糸井 おもしろいなあ。

(つづく)

2001-03-14-WED

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