ほぼ日刊イトイ新聞

マンガでドミノ

『寄席芸人伝』

『寄席芸人伝』

著者:古谷三敏
発行:小学館
なんだよ八っつぁん、おいら仕事中で忙しいんだよ。
なんだい?落語つながりの漫画だって?
そうするってぇと、次はあれだね、
古谷三敏さんの『寄席芸人伝』を
忘れてもらっちゃぁ困るよ。

どっちかってぇと画がほのぼのとしてるから、
軽妙な笑い噺にはぴったりなのは合点がいくが、
時には浮世の情念までも映し出すあたりは、
さすが名人上手と謳われるだけあるねぇ。

師匠と弟子、芸人とその女房、芸人同士、
演者と観客、寄席とそれを取り巻く人間模様を
これだけ描ききった作品は他に知らないねぇ。
明治・大正・昭和とそれぞれの世相までもが
映し出されている上に、芸人世界の符牒も
いろいろ出てくるのも通っぽくていいねぇ。

こいつぁ読まなきゃ損だよ。
あたしなんかは、何回も読み返しちゃぁ、
そのたんびに噺家になりてぇと思って、
今からでもどこかの師匠に弟子入りしようかって
考えるくれぇだ。

おっと、そろそろ仕事に戻らなきゃいけねぇや。
油売ってちゃおまんまの食い上げだ。
寄席の話なだけに、おあとがよろしいようでってなもんよ。

(k)

2012-04-14-SAT