ほぼ日刊イトイ新聞

マンガでドミノ

『キス&ネバークライ』  

『キス&ネバークライ』

著者:小川彌生
発行:講談社
ドラマティックな競技つながりということで
『キス&ネバークライ』をオススメします。

アイススケートのなかでは、あまり知られていない
アイスダンスという競技を通じた、女の子の成長物語。
そこにサスペンス要素も含まれているので、
単なるスポ根恋愛ドラマとは一線を画しています。

主人公の黒城みちるは、
幼い頃に家族で住んでいたアメリカで
フィギュアスケートをしていましたが、
ある事件に巻き込まれ、心に大きな傷を受けてしまいます。
その後、母と日本に戻り、トラウマを背負ったまま
アイスダンスの選手として才能を発揮します。

彼女の心を開放しようと支えてくれる幼なじみの礼音や、
アイスダンスのパートナーの晶。
競技を通じた優しい人たちとの関わりの中で、
次第に心の闇に光を当て強くなっていく、みちる。
年上のパートナー晶さんとの少し背伸びした関係や、
幼なじみの礼音との純粋なやりとりには
ドキドキしちゃいますよ。

この作品は、アイスダンスについて詳しく描かれていて、
まったく知識がなくてもこれで勉強できるくらいですよ。
これを読むまで、得点が出るのを待っているあの場所が
「キス&クライ」という
素敵な名前だったことも知らなかったですから。

それにちなんだタイトルも、ほんとに素敵ですし、
ぜひ読んでみてくださいね。

(N)

2011-12-31-SAT