80's
『豆炭とパソコン』のひとり旅。

第23回

本を読んだ感想をお寄せいただいたハガキや、
「ほぼ日」宛てに送っていただいた励ましのメールは、
私たち本の制作に携わった者にとっては宝物です。
もう本当に嬉しく読ませていただいています。
中でも「イラストがかわいい!」「装丁がいい!」
という声がたくさん寄せられていますので、
今回は素敵なイラストを書いてくださった山田詩子さんと、
あったかくて可愛らしい装丁を手掛けてくださった
祖父江慎さんとの裏話をお話しましょう。

6月半ばのある日、永田さんと私の元に
糸井さんからメールが届きました。

標題は「丸いさん、なが田さん!!!」

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イラストレーションの候補が見つかったよ!!!

http://www.mmjp.or.jp/karelcapek/

山田詩子って人らしい。
いいんだよ、これ。
これでばっちりじゃないかと思うんだけど。
あ、でも、男の大人には向いてないかなぁ??

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思いがけなく宝物を見つけた子どもが
走って知らせに来たようなメールにつられて、
早速、記されているサイトを覗いてみました。
「カレルチャペック紅茶店ホームページへようこそ」
そこには、手描きの文字と可愛らしいイラストが!

「カレルチャペック? え? 吉祥寺の?」
実は私は少し前まで吉祥寺界隈に住んでいたので、
その紅茶屋さんを訪れたことがあったのです。
勝手なご縁を感じつつ夢中でページをクリックするうちに、
どうやらそのお店を経営しているご本人が山田詩子さんで、
ホームページにふんだんに散りばめられているイラストも
全て山田さん自作のものであるらしいことが判明しました。

「う〜ん、確かにかわいいぞ」

と思って眺めているところに、
今度は永田さんからメールが入りました。

標題は「糸いさん、まる井さん!!!」

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永田です。

とってもいいと思います。
なんというか、ミーちゃん周りの風景を、
いい方向へデフォルメしてくれそうな
雰囲気を感じました。

丸いさんどうですか?
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うっ、先を越されてしまった。
「どうですか?」と訊かれて
「そうですね」とだけ答えるのも芸がないし、
ここはひとつ、
担当編集者として冷静な判断を見せなければ、
と考えた私は、一応の賛意を示した後に
「デザイナーさんにも相談したいところですね」
という一文を加えて二人にメールを送りました。
実際、イラストについては、デザイナーにも
相談してから決めようと考えていたのですが、
実はこの段階ではまだデザイナーが決まっておらず、
今をときめく超多忙・超人気デザイナー・祖父江慎さんに
引き受けていただけることが決まったのは、
それから数日後のことだったのです。

2001-01-31-WED

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