80's
『豆炭とパソコン』のひとり旅。

第15回

さて、第3の登場人物です。
自己紹介します。永田泰大です。

僕がイトイさんに呼ばれて
まるいさんに初めて会ったのは
今年の3月3日のことでした。
その日、イトイさんと、まるいさんと、僕の3人で、
のちに『豆炭とパソコン』と呼ばれることになる本を
作るための最初の打ち合わせをしたのです。

そこで覚えているのは、
具体的なことが何も決まらなかったということです。

多くの最初の打ち合わせがそうであるように、
それはぼんやりとしたビジョンの応酬でした。
キーワードをつなげながら始まりに戻るという
白紙に最初の点を打つようなやり取りでした。

僕はそういう、
仕事が始まるとき特有の、
生産物を伴わない熱気が空回りするような、
闇雲に短距離を走っては慌てて戻ってくるような、
過激な準備体操のような濃密な時間がとても好きです。

それで僕は、
その何も決まらなかった打ち合わせが終わったときに、
これはおもしろい仕事になるだろうと感じました。
そういう意味でけっこう満足していたと言えます。

イトイさんもそういう感じだったと思うのですが、
まるいさんは少し違っていたようでした。
いまにして思うとそれは当然のことで、
まるいさんはすっかり準備体操を終えて
いまにも走り出そうとしていたのです。

まるいさんは早くイトイさんに
走り出してもらいたいようでした。
ところがイトイさんは
まだ走る準備が整っていないようでした。
いい記録が出るという確信を抱いてはいたようですが、
まだスタートラインにつかずに
ウォームアップとイメージトレーニングを
くり返しているようでした。
一方、まるいさんは、
スタートのピストルを鳴らすタイミングを探りながら、
いろんな準備をすっかり整えていたようでした。
傍らには火薬の詰められたピストルが
ずらりと並んでいるようでさえありました。

それで、僕が呼ばれたのだろうと思います。

けっきょくそのレースはそれから半年間続くわけですが、
僕ら3人の構造は終始そういう感じでした。
瞬発と弛緩をくり返してレースを作るイトイさんと、
瞬発に備えてゴールを捜し走り回るまるいさんと、
両者を行き来して互いの距離感を調節する僕と。
----もちろん、最終的にゴール間近の直線では
  全員が入り乱れるデッドヒートになるわけですが。

そういう構造を見越してか、
イトイさんはつぎのように提案したのです。
「まるいさんと永田くんとで、
 一度ミーちゃんの家に行っておいでよ」と。

それは、
のちに『豆炭とパソコン』と呼ばれる本に役立てる
具体的な何かを吸収するための取材というよりも、
僕らがこれからひとつの本をまとめるにあたっての
共通の地図を持つような意味を持っていました。

それで僕とまるいさんは、
最初の打ち合わせの翌日に
ミーちゃんの家に向かったわけです。



【お知らせ】

darlingが「決死の覚悟で(本人・談)」
『豆炭とパソコン』の取材を受けまくっている。
だから、普段登場しないような番組とか、雑誌とかでも
「決死の中年男」を目にすることが多いと思います。

どんな番組や雑誌に出たか、出るかについて、
ここしばらくの予定をここに書いておきます。
(編集部調べ)

<書評>
 ・11/10(金)発売「週刊ファミ通」

 他にも共同通信発の各地方紙に記事がありました。

<インタビュー・対談>

 ・11/27(月)発売「ぴあ」
 ・11/28(火)発売「週刊朝日」の「林真理子対談」
 ・12/1(金)発売「日経アドレ」1月号
 ・12/10(日)報知新聞 新刊紹介著者インタビュー
 ・12/28(木)発売「メイプル」2月号の
           「BOOKインタビュー」

<テレビ・ラジオ出演>
 ・12/1(金) ラジオ 文化放送 15:15〜15:30(予定)
        「吉田照美のやる気満々」
        TBS系列 24:35〜25:25
        「CDTV−Neo」
        SOPHIAボーカル松岡充さんと対談
 ・12/8(金) 「CDTV−Neo」前週の対談の続き
        



『豆炭とパソコン』
糸井重里著
1400円
世界文化社
ISBN: 4-418-00520-X

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2000-11-29-WED

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