病院からの大脱出
2021-06-13
病院食はまずいと聞いていたが、
食えないほどまずいとは思わなかった。
始めは多少食えた。
それが早くも3日で飽きた。
なんせ加工食品。
魚も肉も何かの餌のよう。
食べないとなんだか解らない。
大好きな麺が出てこない。
退院の日に、嫌味ったらしくつけうどんが出てきた。
嫌がらせか?
もし、ぼくがイタリア人だったら、三食パスタだよ。
朝からごはん粒なんて食べないよ。
三日目には餓死だよ。
ここでは、患者の気持ちは無視される。
看護師も医者も。
だいたい、言葉が通じないほど。
二交代らしいが、申し送りはなし。
「報・連・相」が懐かしい。
ただ、理解する医師もいて、
それが外れたら、運が悪い。
泣くしかない。
泣いたこと、限りなし。
人は気持ちで生きている。
気持ちを失いそうになる。
N先生が懐かしい。
気持ちだけ、察してくれた。
「医者がついているから、好きなだけ飲め」
なんて言っていた。
Y先生(奥様)のいなり寿司は素晴らしい。
いつも美味しいものを作ってくれる。
今も届けてくれる。
N先生もY先生も医師だが、心で接してくれた。
ありがたい、ありがたい、ありがたい。
人は心で生きている。
心を閉ざしたら、治療なんて出来はしない。
最後まで苦しめられた。
あの病棟は何事もなく、今日も存在している。
何も変わりはしない。
相変わらず、日々が過ぎるだけ。
入院を勧められたら、慎重に考えよう。
地獄を見るかもしれない。
ぼくは、もう一度、入院する勇気はない。
Y先生に、相談してみようかな。
それとも、病院て、どこも同じかなぁ。
とりあえず、退院できたから、ラッキーと思おう。
お家でリハビリ に励むとしよう。
前より元気になったりして。
(この物語はフィクションです。
実在の病院とは、一切関係ありません)
ー明るく軽く親切なのに。
ほんの少し悲しみの味がするのだ。
マジックというのが、もともとそういう
素性のものなのだろうか。ー
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