ライフ・イズ・マジック

人生はマジックだ、なんて言い方そのものが怪しいでしょ。
ひょっとしたら、マジックってのは、
宗教の種かもしれないし、驚きの商品化かもしれないし、
人類最古の情報産業だったりもして。

軽い笑いもとれるし、ちょっと好かれたり嫌われたり、
ひとつの国をまるごとだまし取るようなこともできる。
いま、マジックを考えたり感じたりするのは、
なんだかとても大事な気がするんですよ。

おおげさな紹介はよしましょう。
マジック・ナポレオンズのパルト小石さんです。どうぞ!

ナポレオンズのHPは
http://www.tvland.co.jp/napoleons/
e-mail:napoleons@tvland.co.jp

新・ナポレオンズ小石の無菌室日記7

『無菌室エンターティンメント』

午後の無菌室、
慌ただしかった午前中がウソのように
静かになる。

ベッドに横たわると、
先輩芸人たちのことを思い出す。

先輩芸人たちはシンプルに生きていた。
売れると家を建てた。
売れなくなると、家を売った。

そうして、いつの間にか
彼らの存在を忘れた頃に、
地方の公演でバッタリ、なんてことも。

彼らは少しも変わっていない。
そりゃもちろん、変わり果てた人も
いるには
いるが、中身はちっとも変わってない。

「へへへ、まだ生きてるよ」

彼らから、多くのことを教わった。
私の、どこか切ない反面教師たち。

てなことを考えていると、
まったく別の世界を覗きたくなり、
『オペラ座の怪人』のDVDを観ることにする。

実のところ、何度観てもサッパリ分からない。
でも、最後まで観てしまう。
結局、お終いには感動しきり。

涙までこぼれてくる。
やれやれ。

フィナーレに歴代のファントムが登場、
変わらぬ歌声を響かせる。

「へへへ、まだ歌ってるよ」
とは言ってないと思う。

で、また別の世界に溺れたくなり、
今度は任侠物を観てしまう。

こちらは、とても分かりやすい。
日本語だし。
ストーリーもシンプル。

我慢に我慢を重ねた男が、
ついに殴り込みに行く。

闇夜のシーン、
なぜかピンスポが男を照らしている。

とても奇妙だがまるで気にならない、
これぞ映像の魔力。

途中、もう一人の男が立っている。

「あっしもお供いたしやす」

二人肩を並べて歩き出す。
今度は二人をピンスポが追う。
とてもヘン、なのにカッコイイ。

いよいよ憎っくき敵の家に殴り込むシーン、
さぁ、いつもの決めゼリフ! と思いきや、

「小石さ〜ん、体温と血圧測定しますよ〜」

看護師さんの軽やかな声が聞こえてきた。

 


明るく軽く親切なのに。
ほんの少し悲しみの味がするのだ。
マジックというのが、もともとそういう
素性のものなのだろうか。ー
糸井重里(帯コピーより)

「神様の愛したマジシャン」
著者:小石至誠
価格:1,365 円(税込)
発行:徳間書店
ISBN-13: 978-4198625429
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<DVDの紹介>


『ナポリニコフの魔術学校
(カードマジック編)』

定価 3,150円(税込)
*前田知洋さんがゲストです!


<単行本の紹介>


「ライフ・イズ・マジック
種ありの人生と、種なしの人生と」

定価 1,100円(税込)

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