あのロン毛をもういちど
これまでは、髪を黒く染めていた。
ところが、ある日急に
アレルギーみたいなのが発生し、
頭皮がかぶれてしまった。
それで、このまま染め続けて
毛髪にダメージが残るのも嫌だなぁと、
染めるのをやめてしまった。
僕の心の深いところで、
ハゲ恐怖症が重症化しているのかもしれない。
時々、ハゲてしまった夢を見る。
夢の中で、スカスカになった髪を
必死にイチキュウ分けにしている。
泣いてさえいる。
目が覚め、あわてて鏡の前に立つ。
髪は無事、心底ホッとする。
そんな朝が何度もあった。
髪を染めるのをやめたので、白髪交じりになった。
しょうがない、でも、いいんでないの。
自分には、とても新鮮。
若い人たちの、金髪やら銀髪に染める気持ちが
初めて分かったような。
神様が白髪に染めてくださっていると思えば、
白髪もありがたく思えるもの。
それに、タダだもんね。
もしハゲてしまったら、
今度は仏様のありがたいおぼしめしと
思うことにしよう。
うんうん、そうしよう。
白髪まじりのついでに、髪を伸ばし始めた。
ある日、
「ハゲる前に伸ばすのだ」
という啓示を聞いたような気がして。
それに、ちょい前に知り合った人が
ロン毛だったことも大いに影響した。
彼はロン毛で優しい笑顔、口調は穏やかながら
説得力ハンパないプロ中のプロなのであった。
これはいい、そうそう、これからは再びロン毛の
時代だよと、自分の中で盛り上がってしまったのだ。
でも、本当にやってくるような気がする。
第二次？第三次？ロン毛時代。
でもまぁ、まだ伸ばし始めたばかり。
後頭部に小さなチョンマゲができる程度。
夢の頭頂部お団子スタイルにはほど遠い。
だが、あきらめるな。
才能はちっとも伸びないが、
髪は着実に伸びている。
伸ばした髪をまとめてお団子にすれば、
首回りは涼しげで、この猛暑、酷暑も
乗り切れるかもしれない。
ふっふっふ。
昔のCMを思い出す。
『髪は長〜い友だち』
友だち少ない僕だけど、
長〜い友だちと再び逢える日を
夢見ている。
 
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