magic
ライフ・イズ・マジック
種ありの人生と、種なしの人生と。


サバイバル大宴会

落語家さん主催の、花見会に参加した。

毎年、4月のこの時期に開催されているのだが、
今年は開花が早く、葉桜の下での大宴会となった。

落語家さん、お弟子さん、芸人さん、
ファンの方々でワイワイ、始めから大騒ぎ。

不思議なことに、
「はいっ! かんぱ〜い!」
そう言いながら、
すでに大半の人々が酔っ払っている。

おそらく、開宴の数時間前から
飲んでいると思われる。

大酒飲みが五升の酒を飲めるかどうかの会に
参加することになり、練習で五升飲み、
本番でも五升飲んでしまうという噺がある。

目の前の落語家さんたちの飲みっぷりに、
大酒飲みの噺が、まんざら落語噺とも思えなくなる。

宴会が始まってすぐ、
お弟子さんたちの隠し芸が始まった。

まだ若いお弟子さんもいれば、
中年おじさん風のお弟子さんもいて、
良く言えば多士済々、悪く言うと有象無象。
ごめんごめん。

自慢ではないが、参加している私自身も
有象無象の中のひとり。
はっはっは。

葉桜の下で、お弟子さんたちがウケようと
必死になって隠し芸を披露、見事にすべりまくる。
それが面白てたまらない。

大笑いしながら、だんだんと芸というものが
分からなくなる。

芸がすべり、そこに強烈なツッコミが入り、
その場で芸をやり直すも、完全に失敗するという、
運命に翻弄され続ける人々の、悲劇の面白さ。

面白すぎて涙が出る。
で、もう、なにがなんだか分からない。
ただ、みんながんばっている。

花より団子ならぬ、花より芸の、
摩訶不思議な人生に身を委ねる人々。

突然、以前に聞いた話を思い出す。
「酒が人をダメにするんじゃなくて、
 人間がダメな生き物だということを、
 酒が教えてくれてるだけ」

私も酔っ払ってきた。
ふと気づけば、もう宴会は2時間以上続いている。
誰しも笑い笑われに飽きもしない。
酒も笑いもお代わりお代わり。

すっかり酔っ払い、よれよれと家に帰り、
夕刊を読んで驚いた。

『2時間以上の飲酒、命の危険さえ』

私は固く決意した。
「よし、来年の花見会は、
 1時間55分でお開きにしよう」


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2018-04-15-SUN
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