magic
ライフ・イズ・マジック
種ありの人生と、種なしの人生と。


『マジシャン先生の不思議でヘンな授業、
 始まりますよ〜!』



ある日、ぼくたちの小学校に
マジシャンがくることになりました。

1年生から6年生まで、
ぜんぶの生徒が体育館にあつまって
マジックをみました。

とってもヘンなマジックでした。

「3択マジックですよ。
 空っぽの紙袋から出てくるのは、
 1ばん、ハト。
 2ばん、うさぎ。
 3ばん、いぬ。
 さぁ、どれでしょう?」

なんていうから、ぼくたちは手をあげて答えたよ。
3ばんが多かったかな。

するとマジシャンは、
「ざんねんでした、答えは4ばんの、ネコでした」
といって、紙袋からネコのぬいぐるみを出しました。

ぼくたちは大声で、

「そんなのインチキだよ、サギ師だぁ」

と文句をいいました。

マジシャンは、

「しつれいな。
 サギ師じゃないよ、サギ師は去年でやめました。
 今年からテジナ師です、へへへ」

といって笑うのでした。

「よぉく紙袋の下のほうを見てごらん。
 『4ばんもあります』
 て書いてあるでしょ。

 インターネットでも、
 大きく『無料』って書いてあって、
 下に小さく『有料の場合もあります』と
 あったりするのですよ。
 だから、気をつけなくっちゃね。
 うん」

ぼくたちは、いままでこんなヘンなマジシャンに
あったことがなかったので、びっくりしました。

「1万えんさつを1まい、先生からかりました。
 これをふやしますが、なんまいがいいですか?」

マジシャンが聞くから、ぼくたちは、
「10まい!」
といいました。

するとマジシャンは、
「10まいはムリ、だって、
 10まいにできるんだったら、
 ぼくらはここには、いないよ」
なんていいます。

「10まいはムリだけど、
 2まいにして先生にかえすよ」

そういって1万えんさつを2まいの千えんさつに
変えてしまいました。

ぼくらは、
「千えんはダメ〜!
 やっぱりサギ師だぁ!」
と、おこりました。

マジシャンは、
「ぼくらは、1万えんを
 2まいにふやしますっていわれると、
 かってに1万えんが2まいになると
 おもっちゃうんだよ。

 でも、千えんが2まいとか、
 5千えんが2まいのばあいもあるでしょ」
というのです。

ぼくたちは、またまたダマされたみたいです。
ぼくたちは、とってもダマされやすいんだなぁと
おもいました。

「ぼくらは目でよく見てても、
 耳でちゃんと聞いてても、
 じぶんのすきな部分だけを見て聞いて、
 頭のなかでつごうよくかんがえちゃうんですよ。
 うん」

きをつけようとおもいました。
うん。
おわり。

ツイートするFacebookでシェアする

このページへの感想などは、メールの表題に
「マジックを読んで」と書いて、
postman@1101.comに送ってください。

2017-10-08-SUN
BACK
戻る