magic
ライフ・イズ・マジック
種ありの人生と、種なしの人生と。


『正しいマジシャンの作り方』


僕はサークルでマジックを教わりました。
子供の頃からマジック好きの先輩がいて、
たくさんのマジックを知っていて。

それを僕に一生懸命、手取り足取り、
教えてくれたんだよ。

僕はマジックの知識ゼロだから、
とにかく先輩の言う通り、
そのまんまコピーするだけ。

「小石は、ヘタの天才だねぇ。
 新しい失敗を次々と開発してくれて、嬉しいよ」
って、よく怒られました。

プロになってからは、
外国人マジシャンの出る番組を録画して、
それをマネしたり。

録画といっても、
今みたいな録画機器はなかったから、
ブラウン管テレビの前に映像だけ撮れる
8mmテープのカメラを置いて、
音はカセットテープに録音。

カセットの音とビデオの映像をピッタリ合わせるのは
難しくて、めちゃズレてたりした。

音はマイクをテレビのスピーカーに近づけて録音する。
だから、テレビの音以外も録音しちゃう。

「ごはんだよ〜。
 何やってんの?
 早く食べなさい」

そんな声が、マジックのちょうど盛り上がった頃に
入るんだよ。
これには参るよね。

憧れのマジシャンの、華麗なるマジックのBGMが、
「ごはんだよ〜」
で、一気にコメディになっちゃう。

後年、その憧れのマジシャンに逢えたんだけど、
「ごはんだよ〜」
が思い出されて可笑しくてね。

『万国びっくりショー』だったかなぁ。
外国人マジシャンがたくさん出てくる番組があってね。

その中から気に入ったマジックを覚える。
つまりはコピー、パクリだよ。

でもね、先輩マジシャンも同じようなもんだった。

悪いという意識なんてなくて、
むしろ完璧にコピーするマジシャンの方が
尊敬されてたりした。

「いやぁ、そっくりですね!」
「和製◯◯」
なんてね、賛美さえしてた。

でも、そのうち、
「コピー、パクリはダメです。
 お金を払いなさい」
なんて、コンプライアンスの時代がやってきたのですよ。

僕も100%コピーだったけど、
僕の場合はオーバーになるというか変になるというか、
自己流のアレンジが強かったので、
コピーだと思われなかったみたい。
はははは。

4月、5月になると、
「どうしたらプロマジシャンになれますかぁ?」
なんて質問が多くなります。

なので、この場をお借りして
僕なりのマジシャンの作り方をお話ししました。
どうぞ参考に‥‥しないでください。

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2017-04-16-SUN
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