magic
ライフ・イズ・マジック
種ありの人生と、種なしの人生と。


『絶対鼻臭感』


世の中には、絶対音感の持ち主なる人々がいるらしい。
絶対音痴の私にはサッパリ分からないのだが、
ドレミファソラシドの音程が完璧ということなのだろうか。

なんでも、世の中のすべての音、雑音を
音階として認識してしまうらしく、
「あぁ、あの電車は音がずれてて、不快」

「この電車のノイズは美しい音階。
 まるでワルツのよう」
てなことになるらしい。

実のところ、街のほとんどのノイズが
とても不快な音に聞こえるらしく、
大変にわずらわしいという。

凡人の私は、ほとんどの雑音が日常化しているので
何も感じない。
美しい音階を感じられない代わりに、
不快に感じることも少ない。

絶対音感の人が、
「あぁ、このカラスの鳴き声は素晴らしい。
 まるでマリア様の歌声のよう。
 そうね、このカラスをマリア・カラスと呼びましょう」
と言ったとか言わないとか。
 
絶対音感の人がいるのなら、
絶対美食感の人もいるに違いない。

絶対温泉感の持ち主もいたりして。
ちょいと足先を入れただけで、
細かに泉質を言い当てたりして。

絶対お笑い感の持ち主というのもいそうだ。
「前フリに入る間(ま)が、ほんのちょい、早い。
 オチは逆に、もっとズバッと一気に行かなくっちゃ。
 あぁ、君は面白くない」
なんて、ためらいなく芸人に死刑宣告したりして。

絶対音感とかの天賦の才能を、
英語では『gift』(ギフト)と言うそうな。

『岐阜人』と書いてギフトと読む、
手前勝手な岐阜県人もいる。
そう、私だ。

私の『ギフト』は、絶対鼻臭感である。
簡単に言うと、鼻が利くのだ。
遠くからでもいろんな臭いに気づいてしまう。

タバコの臭い、香水の香り、
鰻屋さんから漂う香ばしい煙の匂い。
どれも人の数倍の感度で嗅いでいると思う。

素敵な香りを人の数倍楽しめているかもしれないが、
欠点は自分の臭いは感知できないこと。

気になる。
私は香っているのか、臭っているのか、匂っているのか。
誰か教えて欲しい。

悩んで友人に問えば、
「お前は、うさんくさい」。

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2017-01-15 -SUN
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