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ライフ・イズ・マジック
種ありの人生と、種なしの人生と。


『夏の日のおうどんさん』


鍋焼きうどんセットをいただいた。

このところ、ずいぶんと蒸し暑くなってきたが、
こういう時期に食べる熱々の鍋焼きうどんも
オツなものかもしれない。

鍋焼きうどんと聞くと、
友人のアメリカ人とのやりとりを思い出す。

「オウッ、ヤーキウドン、シッテマース。
 ヤーキソバ、ノ、ウドン、バージョン、ネ」

うーん、これがちょいと違うんだなぁ。
確かに焼うどんという食べ物はあるけれど、
鍋焼きうどんとなると、
ちょいと、じゃなくてかなり違う。

しかも、鍋焼きと称しながら
鍋の中で焼くわけじゃない。
鍋で煮込むのですよ。

それをなぜ鍋焼きというのか、
未だ友人に説明できないまま。
焼かないのに、なぜ鍋焼きなんだろう?

それはさておき、我が家には
小さな土鍋があるではないか。
一人前の鍋焼きうどんにはピッタリのサイズだ。

どれどれと、まずは作り方を読んでみる。

『美味しいお召し上がり方
 (1)お鍋に「だし汁」と「おうどん」「もち麩」を
    入れて火にかけます。

 (2)沸いてきましたら火力を弱めて、
    おうどんを軽くほぐし、
    「鶏肉」「蒲鉾」「筍」「椎茸」を入れ
    1分間程煮込みます。

 (3)その後「卵」「海老天」を入れ、
    弱火で3分間程煮込みます。

 (4)火を消す直前に「ネギ」を入れ、
    器に盛り、七味をかけてお召し上がり下さい。』

「もち麩」って、初めてかもしれない。
「おうどん」、さりげに高級感が漂う。

しかし、今日は蒸し暑いのでステテコはいて上半身は裸、
「おうどん」さん、ごめんなさい、許してね。

セットには「もち麩」「鶏肉」「筍」「卵」「海老天」
「ネギ」などが小さな袋に小分けされて入っている。
実にありがたいではないか。

それではと土鍋を火にかけ、だし汁とうどん、
もち麩を鍋に投入。
その後、鶏肉や筍、椎茸などを投入。

卵は生卵なのであらかじめカップに割り入れ、
海老天はアルミホイルに包んでガスレンジで温めておいた。
ぐつぐつしてる鍋に卵と海老天を加え、蓋をして煮込んだ。

出来上がった鍋焼きうどんを、裸んぼでいただきました。
美味いの、これが。
これぞ、夏の熱々の楽しみ方。

なんつーか、ちょいと甘めのだし汁が
いかにも老舗の京の味わい、滋味。

うどんは熱々なのにコシがあり、椎茸のだしも甘辛、
たまらん、たまらん。
海老天を、卵の黄身の半熟にくぐらせてガブリ。

汁が熱い、鍋は焼けないが
口の中が焼けそうなくらい熱々。

顔から頭から汗がダラダラ、急ぎタオルで拭いていると、
鏡に映った顔は赤く、いつも以上に目がタレている。

いかん、いかん。
このままでは熱中症になってしまうかもしれない。
自宅で鍋焼きうどんを食べて熱中症になりましたなんて、
ちょいと恥ずかしいではないか。

急いで冷たい水をゴクゴク飲むと、
そのまま汗になって体から吹き出るようだ。

急に風が涼しく感じられて、遠い昔の、
子供の頃の夏を思い出していた。

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2016-07-31-SUN
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