MAGIC
ライフ・イズ・マジック
種ありの人生と、種なしの人生と。


『ゆるゆると2016年』

そりゃもう、嫌も応もなく年は明けるもので、
とうとう2016年になってしまいましたよ。

まぁ、おかげさまでと言うべきなのでしょう、
年明けの仕事は寄席への出演でしたよ。

お正月のお客様というのは、実にご陽気な人が多くて、
大いにウケて笑ってくれるのですよ。
そりゃそうだよね、年明けに不機嫌な人は始めっから
寄席に来て笑おうなんて思わない。

白いボールが指先に出現したり、消えたりする。
そのうち、いつの間にかボールは2個に増えている。
と、そのボールが床に落ちてしまう。

あたしは落ちたボールを拾い上げ、
「あっ、落とし玉、お年玉〜!」
こんなしょうもないマジックにも大笑いしてくれる、
正月ならではですよ。
いっそのこと、正月が半年くらい続けばいいのに。

さて、正月二日も寄席ですよと電車移動。
ドアの横に立っていると、離れた席に座っていた
数人の若者がおいらのことを
ジロジロと見ているのに気付いた。
と、すぐに3人ともスマホで何やら検索し始めたのです。

3人は顔を見合わせてゲラゲラと笑い、
スマホの大画面をおいらに見せるではありませんか。
そこには、そうそう、ナポレオンズの顔が
大写しになっていましたよ。

そんな時、いったいどう反応すればいいのでしょうねぇ。
両手でVサインでも出しゃぁいいのか。

スマホがない時代は良かったなぁ。
せいぜい、
「あの、いつも見てます、ファンです。
 あの、お名前は何と言うんでしたっけ?」

おいおい、ファンと言うのなら名前くらい覚えとけよ、
くらいは思うけれど、嫌じゃなかったなぁ。

それが、スマホで検索して、
「あぁ、やっぱり、こいつだよ」
みたいにされると、妙に不愉快だよね。

なんだか、指名手配の犯人であるのが
バレたような気持ち。
て、別においらは犯罪者じゃないけれどさ。

人間の細胞は、1年ですべて入れ替わっていると
聞きましたよ。

へぇぇぇ〜、だよねぇ。
となれば、年明けも去年と似たような、
しょうもないマジックをやっていても、
来年にはすべて細胞が入れ替わって、
おいらも名人になっちゃってるかも。

て、新年早々、もう来年の話をしちゃったりして。
本当に、鬼も呆れて笑わないよね、まったく。

色々ありの年明けだったけれど、
なんと映画出演のお話もいただけたし、
おかげさまであの長寿番組にも年明け早々、
ひょっとすると今夕、出られることになりましたよ。

2016年もどうぞよろしくお願い申し上げまして、
お後がよろしいようで。

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2016-01-10-SUN
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