MAGIC
ライフ・イズ・マジック
種ありの人生と、種なしの人生と。


『 Sky Ear? Sky Eye ? 』

なんだか最近、聞き間違いをする。
空耳、というのだろうか。

空耳って、不思議な響きがする。
ちなみに、空耳を英語では何というのだろう?

まさか、Sky Ear ではないだろうと調べてみると、
Mishearing 、あるいは Imagination とあった。

聞き間違えることも多いが、
見間違えることも
しょっちゅうな今日この頃。

レストランに入った。
さて何を食べようかとメニューを見ていると、
遠くから女性の声が聞こえてきた。

「しいたけさんのご注文を伺ってください」

私は心の中で、
「ははぁ、ここはテーブルに
 キノコの名前をつけているんだな。
 なんだか可愛いじゃないの」
そう納得した。

続いて、いつものように私の夢想が始まって、
「あれが『しいたけさん』のテーブルか。
 すると、その横が
 『えのきさん』テーブルだったりして。

 その並びが『エリンギさん』、『シメジさん』で、
 『ナメコさん』なんてのもあったりして。

 更に、奥まった部屋には
 『松茸さん』テーブルがあって、
 当然ながらV I P席に間違いなし」

再び女性の声が、今度はハッキリと聞こえてきた。

「C卓さん、ご注文、いただきました〜!」


街中を歩いていると、妙に気になる看板を見つけた。

『本格的なあかちゃん居酒屋、ついに誕生!』

「なるほど、あかちゃん連れのお母さんたちも、
 時には居酒屋で飲んだり騒いだりしたいよね。
 子育てのストレスも相当にあるだろうし。

 でも、普通の居酒屋だと、
 あかちゃん連れでは行きにくいし、
 ミルクだって作るの難しいだろうし。

 ははぁ、そうか、そういう母親たちの需要に応えて、
 あかちゃん用の飲み物、離乳食メニューも
 あったりして。
 
 となると、ミルクは常温、ぬる燗、
 熱燗が用意してあり‥‥」

妄想しつつ、再び看板に目をやると、

『本格的あかちょうちん居酒屋、ついに誕生!』


たぶん新聞で読んだ、
ちょっと切ない勘違いのお話を思い出した。

金のない若者が、お腹をすかして食堂に入った。
安くてお腹いっぱいになるものをと
メニューに目を凝らし、
やっとオニオンスライスに決めた。

なぜなら、彼はオニオンスライスを
オニオンス・ライスだと思ってしまったのだ。

オニオンス・ライスなんて食べたことはないが、
とりあえずライスが付いてりゃ腹一杯になるだろうと。

皿に盛られたオニオンは出てきたが、
いつまで待ってもライスは出てこなかった。

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2015-08-30-SUN
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