MAGIC
ライフ・イズ・マジック
種ありの人生と、種なしの人生と。


『私の愛しき日常』

< 深い悩み >

最近、四十肩らしく、右肩の周辺が痛い。
本当は五十肩なのかもしれないが、
思いっきりサバを読んで
四十肩と思うことにしている。

普段は痛くないのだが、Tシャツを脱ぐ時イタタ、
電車のつり革につかまっている時イタタ、
ふとした時にイタタ、イタタ。

右か左か、片方だけがなるらしい。
右も左も同い年なのに、なぜなんだろう。
人間の体って、本当に不思議だ。

先輩たちに訊くと、
「あぁ、誰でもなるよ。
 そいでね、自然に治るから、
 ほっときゃいいんだよ」

ある先輩は、
「動かした方がいいよ。
 なんせ、固まってるから、
 ほぐさなくっちゃ」

また別の先輩は、
「動かしちゃダメだよ。
 だって、炎症をおこしてるんだから、
 変に刺激しちゃいけませんよ」

はて、どうしたものか。

「いずれにしてもさ、そのうち治るよ。
 で、今んとこ、あんたの悩みはそれだけ?
 そりゃぁ、シアワセだねぇ、ヘーワだねぇ」

シアワセでヘーワな悩みが、もうひとつ。
朝、お腹の調子が悪い時がある。
常備している様々な胃腸薬をあれこれ、服用する。
効果覿面、お腹は順調に回復軌道に乗る。

ありがたいのだが、
問題はどの薬が効いたのかが分からない。
いつも、いっぺんに
3、4種類の薬を一緒に飲んでしまう。
そのうちどれかひとつ、
あるいはふたつが効いているのか、
はたまた全部の薬の効果なのか。

まずは、前夜に飲み過ぎないというのが
いちばんの療法なのだが。
分かっちゃいるんだけどねぇ。


< 膝カックン >

かつて、
「私はミスター・ガーリックです。
 あのミスター・◯リックさんはうさんくさいが、
 私はニンニクくさい。
 ガーリック・パワーです」
などと、評判になったマジシャンを茶化したことがある。

業界の先頭を走っているマジシャンの後方に
そっと忍び寄り、後ろから膝カックンするのが、
私は大好きなのだ。
やられる方はたまったもんじゃないらしく、
時に恨まれることもあるのだが、
好きなんだから仕方がない。

問題は、先頭に立って勢いのあるマジシャンが
いなければならないことだ。
後方でヨレヨレしているマジシャンの膝の裏を
カックンしても面白くもなんともないのだから。

すると、かっこうの標的が現れた。
彼はマジック・セロと名乗るイケメンのマジシャン。
こいつを狙わない手はない。

さっそく私も、マジック・セロと名乗ることにした。
ただ、私の場合はマジック・セロとは読まず、
あくまでマジック・セ口(セぐち)である。


< 私の主張 >

仕事に遅刻しそうになり、
閉まりかけている電車のドアに飛び込もうとした。
すると、ひとりの男性が
勢いよく電車から飛び出してきたではないか。
その勢いに負けて後ずさった瞬間、
ドアは無情にも閉まってしまった。

私は電車に乗り損ねてしまったのだ。
そこに、
「無理なご乗車は危険ですからお止めください」
というアナウンスが聞こえてきた。

私は主張したい。
「無理な乗車は結果的にしておりませんよ。
 確かに無理な乗車をしようとはしたけれど、
 無理な下車男に負けたんだよ。
 だから、アナウンスは、
 『無理なご乗車、
  もっと無理なご下車はお止めください』
 というのが正しいんじゃないの?」


< 早起き >

函館に行った。
泊まったホテルのすぐ横に、朝市があった。
翌日、私はがんばって早起きして朝市に出かけた。

朝市を歩いていると、カニやウニ、イクラなどを試食し、
気に入ったのをたっぷり、
ごはんに乗せて食べることもできるのだ。

「今日はサーモンがうまいよ。
 ほら、ひと切れ、食べてみて」

ひと切れを醤油に漬けると、脂が花のように広がる。
うまい、うまい、今まで味わったことない、
こんなサーモンは初めてだ。

「おっ、気に入ったかい。
 じゃ、もうひと切れ、いや、もう好きなだけ、
 食っていいよ」

私はひと切れ、またひと切れと食べ続け、
あまりのうまさに
とうとう、ひとり合点した。
「早起きはサーモンの徳」

このページへの感想などは、メールの表題に
「マジックを読んで」と書いて、
postman@1101.comに送ってください。

2014-11-09-SUN
BACK
戻る