MAGIC
ライフ・イズ・マジック
種ありの人生と、種なしの人生と。

『夢のマジック・キャッスル』

私は夢を見た。
◯◯のナポレオンという焼酎を飲んで寝たせいか、
どうにも奇妙な夢だった。
なぜか、私はたったひとりの観客になって
寄席の高座を見ている。
そこに登場してきたのは、
漫才師のような手品師のような二人組で・・・。

ナポ(以下Nとする)
「どうも〜、ナポです」


レオン(以下Rとする)
「レオンです、ようこそいらっしゃいました」

N「まぁ本当に、淡白な拍手をいただきまして」
R「淡白じゃなくて、上品な拍手でしょ」

N「マジック・キャッスルに行きたいですね」
R「なんだよ、急に」
N「皆さん、アメリカのロサンゼルスに
  マジック・キャッスルという、我々マジシャンの
  あこがれのお城があるんですよ」

R「そうそう、ヨーロッパの古いお城をね、
  ロスに持ってきて移築したんですよ」
N「お城の全部が、もうマジックなんですよ」
R「そうそう、大きな玄関に入ると
  いきなり巨大な本棚が入り口を塞いでてね」
N「さぁ、そこでマジック・ワード、
  おまじないを言うんですよ。
  皆さんもよかったら覚えてください。
  オープン・サラミ〜」

R「あのねぇ、それを言うならオープン・セサミ、
  開けゴマ〜 でしょう。
  サラミ開いてどうすんだよ」

N「そうそう、とにかくおまじないを言うとね、
  なんと大きな本棚がギィ〜と開くんですよ。
  と、いよいよマジック城の
  入り口が見えるんです」

R「マジック城だから、
  入るところからビックリさせるんだよね」

N「僕らも、玄関で何度も
  オープン・セサミ〜って言いました」

R「そうそう、ところが、
  やっぱり英語の発音が正しくないと
  本棚が開かないんですよ」
N「英語の発音、難しいからね。
  僕が苦手なのが、バス・ルーム。
  直訳するとお風呂なんですが、
  普通はトイレを意味するんです」

R「そのバスっていうのが、
  どうも難しいですね」
N「我々が言うとどうしてもあの走っている車、
  バスに聞こえてしまうんですよ」

R「だから、バスというより
  バツに聞こえるくらいに舌を歯で挟んでね」
N「そうそう、歯で噛んで、少し血が出るくらいに」
R「血は出ないよ。そんなに舌を噛んでどうすんだよ」
N「英語しゃべる人は、
  みんな血を流してバツって言ってるんですよ」

R「ウソもいい加減にしろよ。
  アメリカ人の誰も血出してしゃべってないだろ」 

N「それでは、私が
  マジック・キャッスルの中をご案内しましょう」

R「マジック城観光だね」
N「右手をご覧ください。何もありません」
R「紛らわしいんだよ。
  ガイドとマジックを一緒にするなよ。
  ガイドだけでお願いします」
N「右手をご覧ください。
  こちらがメイン・ホールでございます。
  およそ100名のお客様に
  ステージ・マジックを
  ご覧いただく劇場でございます」


R「夜な夜な、着飾った紳士淑女で
  華やかな客席なんだよね」
N「こちらで、私たちの地味なマジックを
  ご覧いただきます」

R「派手にやってくれよ、派手に」

N「左手には、
  カウンターだけの小さなバーがございます」

R「ここでも、バーテンダーが
  トランプのマジックを見せてくれたりするんだよね」
N「そうです。
  日本でいえば、お寿司屋さんのカウンターで
  大将が手品を見せてくれるような感じでございます」

R「例えが違うような気がするけど」
N「中央の階段をお上がりください。
  その右手に、メインのバーがございます。
  夜な夜な、超有名なマジシャンたちが密やかに
  ダメなマジシャンの悪口を
  言い合っているのでございます」

R「悪口なんか言い合ってないよ。
  様々なテクニックなんかを語り合ってるんだよ」
N「時々、こいつ、レオン様も
  グデングデンに酔っ払っていらっしゃいます」

R「人聞き悪いだろ、酔っ払ってないよ」

N「メイン・バーのお隣は、
  サロンになっております。サロンの
  一番奥の大きな椅子は、
  かの有名なマジック界の神様と言われている、
  バーノン様の椅子でございます。
  バーノン様以外は、誰も座ってはいけない、
  特別な椅子でございます。
  どっこいしょ」

R「そう言いながら、
  今、お前が座ってるじゃないかよ」

N「右手をご覧ください。
  こちらはレクチャー・ルームになっております。
  ヘタなマジシャンの矯正施設でございます」

R「矯正施設じゃないですよ。
  たくさんのマジックを
  優しく教えてもらえる部屋ですよ」
N「レオン様も、スプーン曲げを教わりまして。
  でも、ちっとも不思議に見えないので
  先生からサジを投げられました」

R「スプーンだけにサジを投げられ、ダジャレかいっ」

N「私もマジックを習いたいんですよ」
R「飲み屋で女の子を驚かしたいとか?」
N「そんな邪悪な心は
  ほんの少ししか持っておりません。
  私は、マジックをボランティア活動に
  生かしたいんですよ。ほら、
  今、大変な状況に置かれている人たちがいるでしょ。
  そんな人たちに、不思議で面白くて楽しい
  マジックを見てもらいたいんですよ」

R「急に善いことを言うねぇ。
  そうそう、マジックはボランティア活動の
  ツールにもなるもんね。
  特に、子供たちに見てもらって
  笑ったり驚いたりして
  元気になってもらいたいもんね」

N「ということで、ロサンゼルスに行くための
  お金を貸してくれ」

R「ロサンゼルスを挟まないで、
  直接、東北へ行きなさいっ!」

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2012-03-18-SUN
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