MAGIC
ライフ・イズ・マジック
種ありの人生と、種なしの人生と。

『僕の夏休み日記』


8月あつい日

 屋形船に、のせてもらいました。
 中は、4人ぶんのテーブルが2列に並んでいて、
 まんなかは通路でした。
 船の長さは15mくらいでした。

 よるの7時に集まって、のりました。
 東京わんの夜景を見るから、よるなんだそうです。
 本当に、よるの景色はきれいでした。
 でも、さしみや天ぷらがたくさん出てきて、食べるのに
 むちゅうで、あまり景色を見ませんでした。
 しっぱいだとおもいました。

 とちゅうで船がとまりました。
 すると、鳥やどうぶつの声のマネのすごくうまい
 二代目小猫さんがウグイスなどをなきました。
 そっくりでした。
 そのあと、ぼくはあたまをくるくる回すマジックを
 しました。
 大きい船のまわりに、小さい舟がちかづいてきました。
 小さい舟のおじさんがぼくのマジックを
 ずぅ〜っと見ていました。
 すると、大きい船のおじさんが、
 「こらっ、外からタダで見ちゃダメだよっ」
 と、おこりました。
 とってもおもしろかったです。


8月もっとあつい日

 よこ浜のさくら木町にある、にぎわい座に行きました。
 たくさんのお客さんがいました。
 らくご家のみなさんといっしょでした。
 ぼくは少しつかれていて、
 なんだか気分がもりあがりませんでした。
 でも、おきゃくさんがすごく良い人たちで、
 いっぱいわらってくれるのでした。
 ぼくも、どんどんたのしくなりました。
 袖で見ていたらくご家さんが、
 「おもしろくたって、
  お客さんがいなけりゃただの独り言。
  お客さま本願、
  お客さんの助けを借りて良い芸を目指す。
  そうなんだよ、うん」
 続けて、
 「小石くん、まさかの絶好調だねぇ」
 と、ホメてくれました。
 ぼくは、『まさか』は余計だとおもいました。
 でも『お客さま本願』という、
 いい言葉をおぼえました。 


8月やけるようにあつい日

 まちの銭湯でマジックを見せてくれる人がいるそうです。
 銭湯をさがしているうちに汗いっぱいで、
 マジックはあとにしておふろに入りたくなりました。
 マジシャンのタジマジックさんは、
 あかい服で銭湯のふじ山の絵の下のドアから
 とうじょうしました。
 ふしぎなこう景でした。
 ぼくは銭湯のそとで、
 「きょうは、銭湯からびっくりのマジックを
  おとどけします〜!」
 と言うやくでした。
 そとはあつくてボ〜っとしてしまい、
 3回も言いまちがえて
 おこられました。


8月むしあつい日

 柳家花緑ししょうの高座を見にいきました。
 とちゅう、ゲストとのトークのとき、
 花緑ししょうに見えるように
 ドクロのマークが出ました。
 これは『時間オーバー。終了してください』の
 意味だそうです。
 ぼくは、
 「花緑ししょう、ドクローさま」
 と、シャレているのだなぁとおもいました。

 花緑ししょうは、さいごに
 『らくだ』というらくごをしました。
 とってもおもしろかったです。
 花緑ししょう、ほんとうにドクローさまでした。


8月もうしょの日

 ひとつ、おもしろいマジックを考えました。
 からっぽの箱から、ココナッツがたくさん出てきます。
 もう、たくさん出てくるのです。
 数えてみましょう。

 「ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ、いつつ、むっつ、
  ななつ、やっつ、ココナッツ」


8月さらにあつい日

 「ひと財産できたことが、うれしいよ」
 と友だちが言いました。
 「へぇ〜、いくらくらい、たまったの?」
 と、みんながききました。
 すると友だちは、
 「いやいや、お金じゃなくて、ひと財産。だからさ、
  人財産なんだよ。
  つまりさぁ、かけがえのない友だちが
  できたってことなんだよ。
  しかもね、人財産はへらないんだよ」
 ぼくは、とてもかんしんしました。


8月きゅうに涼しい日

 きゅうに涼しくなりました。
 すると、外をあるいてもぐったりしませんでした。
 せん風きの風が、とっても涼しくなりました。
 いままで、暑くてたいへんだったなぁとおもいました。
 でも、
 「あれれ、もう夏はおわっちゃうの?」
 なぜかさみしくなりました。
 すごく暑くてイヤだったのに、
 涼しくなるときゅうに
 さみしくなる。
 夏って、ふしぎな季節だなぁとおもいました。

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2011-08-28-SUN
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