MAGIC
ライフ・イズ・マジック
種ありの人生と、種なしの人生と。

子供の頃、近所にチビという名の犬がいた。
名前はチビなのに、大きい犬だった。
飼い主のお爺さんは、
始めは小さかったからチビと名付けたのだろうか?
大きくなったら、大チャンとでも
改名するつもりだったのだろうか?

でも、
「いいか、チビ。お前は今日から大チャンだぞ」
などと告げても、犬は?のままだろうに。

私が
「チビ〜」
と呼ぶと、大きな犬のチビは
うれしそうに走りよってきたものだ。

お爺さんは亡くなってしまい、
チビという名の大きな犬の名前の由来は
聞けないままになった。


『世界はに満ちている』


〜脱がせた?Tシャツ〜

マジシャンだからだろうか、
トランプ柄とか?マークのTシャツを見つけると
欲しくなる。

ある番組の打ち上げの席で、
?マークの付いたTシャツを着た女性スタッフがいた。

私はそのTシャツが欲しくてたまらなくなり、
拝み倒して私の着ていた普通のTシャツと
交換してもらった。

ずいぶんと遅くなりましたが、
あの時の方に深く感謝申し上げます。

今にして思えば、若い女性のTシャツを脱がして
おじさんのTシャツを着せるなんて、完全な変態行為?


〜ジシューク

自粛という言葉は、英語にはないと聞いた。
自粛は英語で『ジシューク』なのだそうだ。
あえて意味の近い言葉を探すと、

『self-control=自制』

とある。
ちょっと違うような気がする。

自粛というのは、
誰が何のためにするものなのだろうか?
私はいまだ?のままだ。


缶詰〜

石巻から、缶詰を東京に運んできてもらった。
津波で流されてしまった缶詰を、
ガレキの中から掘り出してきてもらったのだ。

泥だらけで、ラベルは剥がれてしまっているものの、
中身はまるで問題なし。
本当に美味しい缶詰なのだ。

まずは外の泥汚れを丁寧に洗う。
続いて缶の裏側に印字された文字を読み、
中身が何であるか確認してフェルトペンで太く書く。

『サンマ水煮』、『サバ味噌煮』、『サケ中骨』、
『エンガワ』など、太書きされた缶詰が並び始める。

しかし、多くの缶詰は印字が消えてしまっていて、
中身が分からないままだ。
それらには大きく『?』と書く。

中身は分からないが、
それはそれで開けてのお楽しみではないか。
『?』缶詰を買い、家でパッカンと開ける。
缶の中身はサンマ? サバ? エンガワ? それとも?


〜洗濯機の謎

急に洗濯機が壊れた。
洗濯とすすぎはしてくれるのだが、脱水の時になると、
「フタが閉まってないので脱水しません」
という表示が出て、脱水しないのだ。
フタはちゃんと閉まっているにもかかわらず。

これは困る。
こんなビショビショの洗濯物では、
一日干しても乾きそうもないではないか。

私は洗濯機に洗濯物を残したまま、
慌てて新しい洗濯機を買いに走った。
幸い翌日には新しい洗濯機が届くことになり、
私はやれやれと家に帰った。

再び壊れた洗濯機を見つつ、
ふと電器店の人の言葉を思い出した。

「あぁ、フタのセンサーが壊れたんですね。
 洗濯機はフタが閉まってないと思ってるんですよ」

この洗濯機は、フタが閉まっていないと
勘違いしているのか。

私は洗濯機のフタを閉め、その上に新聞紙をかぶせてみた。
フタが開いていると勘違いしているのなら、
何かで目隠しをしてしまえば、

「あれ? 暗くなったなぁ。フタが閉まったかな?」

と思ってくれるかもと考えたのだ。

洗濯機が、脱水を開始した!
洗濯機は、フタの上が暗くなったので、

「あぁ、フタは閉まっているな」

と納得して脱水を始めた・・・のだろうか?
フタのセンサーよ、お前は何を、
どこをセンサーしている?


〜遊園地の

カナダのケベック州にある、大きな遊園地に行った。
入り口付近で、黄色地に赤く?マークが書かれた
可愛いTシャツを着た人を発見した。
私はすぐさま、

「良いTシャツですねぇ、どこで買ったんですか?」

と声をかけた。
だが、

「あぁ、これは買った物ではないし、
 買える物でもないと思うわ」

ふと回りを見ると、遊園地のあちこちに
?Tシャツの人がいるではないか。

彼らは、この広大な遊園地の案内係だったのだ。

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2011-05-15-SUN
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